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赤い髪の女
オークダンジョン
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桃色の壁はゴブリンダンジョンに似ている気がした。どのダンジョンも入ってすぐは同じようなものなのかもしれない。
少し進むと笛の音色は聞こえなくなり、ダンジョンの入り口──肛門──はキュッ! っと閉まって暗くなった。俺は慌てて灯りの魔道具を出して辺りを照らす。
ゴブリンダンジョンはブジーと一緒で賑やかだったが、今は自分の足音しか聞こえない。ただ、何の気配もないかというとそんなことはない。もう少し行くと出会す筈だ。傍若無人に振る舞う、食欲と性欲のモンスター、オーク──。
「ブイッ!」
早速のお出ましだ。オークはゴブリンとは違って糞を投げてくるようなことはしない。その分、殺意は高く久し振りの感覚に背筋が自然と伸びる。
ブンッ!
何かの骨で作った斧が振り回されて空を斬る。一介のモンスターに武術なんてものはない。ただその身体能力に任せて嵐のように斧を回転させる。オークには嗜虐的な表情が浮かんでいた。
ただ、いつまでも付き合うつもりはない。こちらも血が疼いてきた。派手にいかせてもらおう。
「秘拳・契約時間外の電話攻撃」
一気に間合いを詰め、挟むようにオークの両耳を手で塞ぐ。一瞬間があった後、穴という穴から一気に血が噴き出し、オークは絶命した。
「ちょっとやり過ぎたか」
俺の独り言に応える者はいない。ダンジョンの壁──腸壁──がタイミングよく動いたが、関係ないだろう。
一応、ナイフでオークの体を抉るが、出てきたのはやはり小さな魔結晶。こんなのじゃ幾らにもならない。早く進んで魔結晶の採れる場所を探さなくては。
#
奥へと進み、壁の色が変わってきた頃だった。今まで感じたことのなかった振動が伝わってくる。これは単体ではない。何体ものオークが慌ただしく走るような気配がある。
このまま行けば十字路という辺り。構えて息を整えているとどうも様子がおかしい。これは、誰かがオークの集団に追いかけられて──。
いやっ!
女の声だ! つまり、女の冒険者がオークの集団に追いかけられているということか?
足音はどんどん近くなり、その振動でダンジョンがたわむ。ダンジョンにいることを忘れ、船旅のことを思い出させるようなうねりだ。
「いやああぁぁ!」
俺の目の前を声を上げながら女が通り過ぎた。灯りの魔道具が照らしたその髪は赤い。あれは、魔道具屋にいた痴女? そしてその後を何体ものオークが連なって追う。あの女、ダンジョンでモンスタートレインを作ってやがる! このままでは陵辱されて死ぬぞ!
俺は舌打ちをしながら後を追った。
少し進むと笛の音色は聞こえなくなり、ダンジョンの入り口──肛門──はキュッ! っと閉まって暗くなった。俺は慌てて灯りの魔道具を出して辺りを照らす。
ゴブリンダンジョンはブジーと一緒で賑やかだったが、今は自分の足音しか聞こえない。ただ、何の気配もないかというとそんなことはない。もう少し行くと出会す筈だ。傍若無人に振る舞う、食欲と性欲のモンスター、オーク──。
「ブイッ!」
早速のお出ましだ。オークはゴブリンとは違って糞を投げてくるようなことはしない。その分、殺意は高く久し振りの感覚に背筋が自然と伸びる。
ブンッ!
何かの骨で作った斧が振り回されて空を斬る。一介のモンスターに武術なんてものはない。ただその身体能力に任せて嵐のように斧を回転させる。オークには嗜虐的な表情が浮かんでいた。
ただ、いつまでも付き合うつもりはない。こちらも血が疼いてきた。派手にいかせてもらおう。
「秘拳・契約時間外の電話攻撃」
一気に間合いを詰め、挟むようにオークの両耳を手で塞ぐ。一瞬間があった後、穴という穴から一気に血が噴き出し、オークは絶命した。
「ちょっとやり過ぎたか」
俺の独り言に応える者はいない。ダンジョンの壁──腸壁──がタイミングよく動いたが、関係ないだろう。
一応、ナイフでオークの体を抉るが、出てきたのはやはり小さな魔結晶。こんなのじゃ幾らにもならない。早く進んで魔結晶の採れる場所を探さなくては。
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奥へと進み、壁の色が変わってきた頃だった。今まで感じたことのなかった振動が伝わってくる。これは単体ではない。何体ものオークが慌ただしく走るような気配がある。
このまま行けば十字路という辺り。構えて息を整えているとどうも様子がおかしい。これは、誰かがオークの集団に追いかけられて──。
いやっ!
女の声だ! つまり、女の冒険者がオークの集団に追いかけられているということか?
足音はどんどん近くなり、その振動でダンジョンがたわむ。ダンジョンにいることを忘れ、船旅のことを思い出させるようなうねりだ。
「いやああぁぁ!」
俺の目の前を声を上げながら女が通り過ぎた。灯りの魔道具が照らしたその髪は赤い。あれは、魔道具屋にいた痴女? そしてその後を何体ものオークが連なって追う。あの女、ダンジョンでモンスタートレインを作ってやがる! このままでは陵辱されて死ぬぞ!
俺は舌打ちをしながら後を追った。
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