上 下
7 / 17

第七話 ~日常~ きよみ編

しおりを挟む
 ~きよみの過去~

 きよみには母親しかいない。
 世間的にひとり親であったり、シングルマザー・母子家庭と呼ばれている環境できよみは過ごしている。
 父親はきよみが幼いころに交通事故で亡くなってしまっていた。
 きよみの母は、悲しみに明け暮れ三日三晩泣き明かしたという。
 そんな母親の背中を見て、きよみは母と共に泣きあぐね、母と二人抱き合った。
 そして、二人の絆はその日から深まり、同時に母親はきよみを立派な人間に育てるべく朝から夕方まで近所のスーパーで働き、きよみが不自由なく過ごせ、学習できる環境を作り上げるべく努力を欠かしていなかった。
 そんな努力の甲斐あってか、きよみは高校まで進学することが出来た。
 そして──。

       ☆☆☆ ★★★ ☆☆☆

 ~きよみの日常~

 たけると出会う前のきよみの一日。アイドルを目指している彼女は、日々アイドル雑誌に目を通していた。
 そして、ある日夢見たアイドルのライブの観覧券を勝ち取った彼女は地元埼玉から東京へ足を運んでいた。
 向かうは日本武道館。自宅を出て、電車に乗り、池袋で乗り換え、飯田橋駅で降り、そこから徒歩で向かう。その時間およそ一時間弱──。
 ようやくたどり着いた彼女は、日本武道館の中へ足を運ぶ。
 そして、中へ入ると、ステージ上にはきよみが今まで誌面上で見ていた夢見ていたアイドルたちの姿がそこにあった。
 そこからきよみにとって心躍る時間が数時間に渡って過ぎ去っていく。
 ひとときも休む暇もなく、はしゃぎまくるきよみ。周りのファンもあまりのはしゃぎように引いてしまうほどであった。
 ライブ開始から五時間。沢山の歌を歌い、踊ったアイドルは数回のアンコール応答の末、ステージ上から退出し、ライブは終了となった。
 時間は十五時まで回っていた。そして、そこからきよみは自宅へと帰宅した。
 観覧者の中には遠方からやってきた者もいたようで、日帰りは難しいからとその日は東京で止まって翌朝の便で帰宅するという者もいた。
 きよみはすぐ近くなので、電車で一時間ほど揺られるだけで帰宅することが出来る。
 帰宅すると、きよみはそのライブでの出来事を何度も何度も反芻していた。
 きよみが思っていたことはただ一つ。

 『楽しかった──』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

処理中です...