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第二章 〜情動〜
09 あの時、たけるに何が
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──夏休み終盤・八月下旬頃
『あの』災害が起こってから一ヶ月ほどになった。
帰ってきてから二人は毎日のように会って、お互いの生存確認をして安心し合っていた。
また、そこで特に話していたのはあの災害の事についてだった。
二人にとって、あの日の出来事は一生忘れることの出来ないほど衝撃的な出来事だった。
特にきよみはたけるが生きているか怪しい中、周りから無情な言葉を掛けられながらも、また不安を背負いながらも、たけるが生きている事を心から信じていたが、半分ほどは『もう帰って来ないのかな……』と諦めていた節があったのだ。
しかし、たけるの生存が分かった時は、たけるが生きている事を信じていて良かった、と心底思っていた。
一方たけるは、津波に飲み込まれた途端記憶が無く、夢を見ていたそうだ。
そこは、見渡す限りの花畑──まるで天国への入口のよう──だったそうだ。
目が覚めたら、そこはある高台だったそうだ。
高台に避難していた一人──この人は後にたけるをきよみの所へと連れて行く事になる──によると、大きな波が高台へと押し寄せて来たそうだ。
当然の如く、高台にいた人はパニックになったそうだ。
間もなく波が引いて行ったので、一同安堵したそうだ。
しかし、高台で一人意識を失って倒れているたけるを見つけたそうだ。
その人によると、『最初は波に気付かずに巻き込まれた人だったのかと思っていた』そうだ。
しかし、『すぐにそれは違うんだって思った。なぜかは分からないけど』
それからたけるはたまたまその場に居合わせた医師により応急処置はして貰えたそうだ。
すぐに応急処置をしたからなのか、すぐに目が覚めたそうだ。
そして、何日かしてからきよみがたけるの事を捜している事が分かり、すぐに行こうかとたけるは思ったが、津波がまだ引いていない為に危険と周囲から反対された。
高台近くには車も津波で流され一台も無いため、波が無くなってから徒歩で行く事になった。
そしてきよみの所へ来た。という話だった。
━━この事は"運が良かったんだね"という話で幕を閉じることになった。
"もうこんな思いはしたくないね"とも言い合っていた。
そして、時間が経つにつれ二人はもうすぐ二学期を迎える学校の話題へと変わって行くことになったのであった。
『あの』災害が起こってから一ヶ月ほどになった。
帰ってきてから二人は毎日のように会って、お互いの生存確認をして安心し合っていた。
また、そこで特に話していたのはあの災害の事についてだった。
二人にとって、あの日の出来事は一生忘れることの出来ないほど衝撃的な出来事だった。
特にきよみはたけるが生きているか怪しい中、周りから無情な言葉を掛けられながらも、また不安を背負いながらも、たけるが生きている事を心から信じていたが、半分ほどは『もう帰って来ないのかな……』と諦めていた節があったのだ。
しかし、たけるの生存が分かった時は、たけるが生きている事を信じていて良かった、と心底思っていた。
一方たけるは、津波に飲み込まれた途端記憶が無く、夢を見ていたそうだ。
そこは、見渡す限りの花畑──まるで天国への入口のよう──だったそうだ。
目が覚めたら、そこはある高台だったそうだ。
高台に避難していた一人──この人は後にたけるをきよみの所へと連れて行く事になる──によると、大きな波が高台へと押し寄せて来たそうだ。
当然の如く、高台にいた人はパニックになったそうだ。
間もなく波が引いて行ったので、一同安堵したそうだ。
しかし、高台で一人意識を失って倒れているたけるを見つけたそうだ。
その人によると、『最初は波に気付かずに巻き込まれた人だったのかと思っていた』そうだ。
しかし、『すぐにそれは違うんだって思った。なぜかは分からないけど』
それからたけるはたまたまその場に居合わせた医師により応急処置はして貰えたそうだ。
すぐに応急処置をしたからなのか、すぐに目が覚めたそうだ。
そして、何日かしてからきよみがたけるの事を捜している事が分かり、すぐに行こうかとたけるは思ったが、津波がまだ引いていない為に危険と周囲から反対された。
高台近くには車も津波で流され一台も無いため、波が無くなってから徒歩で行く事になった。
そしてきよみの所へ来た。という話だった。
━━この事は"運が良かったんだね"という話で幕を閉じることになった。
"もうこんな思いはしたくないね"とも言い合っていた。
そして、時間が経つにつれ二人はもうすぐ二学期を迎える学校の話題へと変わって行くことになったのであった。
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