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16.散歩という仕事
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「この後は何するの?」と一緒に休憩しているエリザに聞かれたので「散歩かなぁ」と答える。
働かなくてはいけない年齢ではないので今のところは自由にすればいいんだよと言われているし、ここにいなくてはならないわけでもない。大事な人達がいて安全で何かしら仕事をすれば給料がもらえるし、広い敷地内を散歩するのは気持ちが落ち着くから好きだからここにいる。事情を知ってる人だらけだから説明がいらないのも助かる。
そろそろ行こうかと立ち上がり
「エリザは続ける?」
「向こうから歩いてくる人たちとこれからやるんだ!」
とても嬉しそうな顔でエリザは言った。
「エリザの格闘訓練が終わる頃行ってみようかな地面に伸びている人を見に」と思いながら歩いていると花が咲いているのが見えた。そういえばこの前ここを歩いたときは蕾ができてきた頃だったなと端末を取り出し写真を撮った。
菊桜敷地内はなぜか植物が多い。仕事内容を考えれば気づかないうちににストレスが溜まったりするから植物=癒やしということでたくさん植えておこうなんてなったんだろうか。木や花、誰かしら寝っ転がっている芝生、誰が植えたのかハーブとかが生えていたりする。手入れはされているので一つの植物が大量繁殖していたりなんてことは無い。過去にいつの間にか畑があったなんて話を古株から聞いたのを普は思い出す。流石に今はないはずだけど見つけたらどうしようかと思う。あったら写真だけ取っておこうかと思いつつ別の気になった植物の写真も撮る。
写真を撮る理由は散歩のついでに気になったものだけでいいから植物やら虫やらなんやらこの端末で撮ってくれと頼まれたから。鳥や風が運んできた種の中には良くない植物もあったりするし、いつの置かれたのかわからない物があったりして危ないので早く見つけ片付けたいのだという。
ただ散歩するより面白いと引き受けたが何度目かの散歩からこれといって気になるものが無くなってきた。
さてどこへ歩いていこうかと考えていると数日ぶりに虎二を見つけた。向こうも気づきこちらへ歩いてきた。
「おつかれ」
普の手にある端末を見ると
「管理課の仕事の手伝いか?」
「そう」
虎二にも何かないか聞いてみようかと思い頼まれた内容を話すと
「石碑がある辺りにアスパラが生えていると聞いたことがある」
「…行ってみる」
「案内する」
虎二が仲間に加わり目的の場所まで歩きながら仕事はどうだったかなど話をした。特に何もなく終わったようだ。
「ここだ」
「なんかたまねぎの匂いもする」
「それはこれだろうな」
虎二がただの草に見えるのを引っこ抜くと小さい玉ねぎのようなものついている。
「昔、学校の掃除の時間に草取りをした場所に生えていてな調べたらノビルというものらしいとわかった。取ったような跡があるから食べられるのかもしれないな。」
カシャッと虎二の持っているノビル?を撮る。生えている場所も。
「あ、アスパラ」
カシャッ
「なんだろアスパラが伸びたやつかな」
カシャッ
「そうやって増えていってるんだろう。アスパラも取られたあとがある。」
写真を撮り終えすぐ伝えるべきかと渡された端末で電話をかけ場所を伝えると近くで見回っていた人が来てくれた。
「畑にはなっていませんね」
「これはこの後どうするの?」
「収穫した人が見つかれば話を聞きますがこの生え方は自然に生えたと考えてよさそうですね」
「ノビルとアスパラは意外なところに生えていたりする。アスパラが歩道に生えていたのを見たことがある。種が飛んだんだろうな」
「あれ普じゃないかこんなとこで何してんだ」
近くを通った古株がこちらに来たので説明すると「確か知ってるやつが敷地内に生えてたって取ったの見せてきたことあったな。その後調理して食っとったな」と笑っていた。
「一回端末回収しますね」と古株と会話を終えた管理課の人に言われ端末を渡すとざっとアルバムを見て「たくさん撮ってくれてありがとうございます」と喜んでいた。
古株と管理課の人と別れ虎二と2人になる。「伸びている人を見に行くか」と聞けば「行く」と返ってきた。
「えーもう終わり?誰かまだいないの戦える人!!」
エリザの大きな声が聞こえる。地面には疲れて伸びている人が何人もいる。1時間と少しこの場を離れただけなのだと虎二に言えば
「もうこの状態か。いつもより周りがもたなかったな。エリザはポジティブスタミナお化けと呼ばれるくらいの人だから長期戦が得意ではない人は基本保たない」
「ポジティブスタミナお化け」
「本人は褒め言葉と捉えている」
「…」
満足はしていないようだが伸びている仲間に飲み物を渡し歩いている。受け取った仲間と笑いながら話しているからお互いにいつものことなのかもしれない。
「虎二おつかれぇ。普おかえりぃ」
「エリザまた別の日に相手するよ」
「俺は今回の任務のまとめが終わったら考える」
「2人ともありがと!!」
話しているとエリザの端末に電話がきて「やるやる」と言い電話を切ると「荷物運びの手伝いしてくるね」と走り去っていった。
回復してきた人たちと普と虎二はエリザのスタミナはいつ切れるのだろうかと…切れる事はあるのかと思った。
働かなくてはいけない年齢ではないので今のところは自由にすればいいんだよと言われているし、ここにいなくてはならないわけでもない。大事な人達がいて安全で何かしら仕事をすれば給料がもらえるし、広い敷地内を散歩するのは気持ちが落ち着くから好きだからここにいる。事情を知ってる人だらけだから説明がいらないのも助かる。
そろそろ行こうかと立ち上がり
「エリザは続ける?」
「向こうから歩いてくる人たちとこれからやるんだ!」
とても嬉しそうな顔でエリザは言った。
「エリザの格闘訓練が終わる頃行ってみようかな地面に伸びている人を見に」と思いながら歩いていると花が咲いているのが見えた。そういえばこの前ここを歩いたときは蕾ができてきた頃だったなと端末を取り出し写真を撮った。
菊桜敷地内はなぜか植物が多い。仕事内容を考えれば気づかないうちににストレスが溜まったりするから植物=癒やしということでたくさん植えておこうなんてなったんだろうか。木や花、誰かしら寝っ転がっている芝生、誰が植えたのかハーブとかが生えていたりする。手入れはされているので一つの植物が大量繁殖していたりなんてことは無い。過去にいつの間にか畑があったなんて話を古株から聞いたのを普は思い出す。流石に今はないはずだけど見つけたらどうしようかと思う。あったら写真だけ取っておこうかと思いつつ別の気になった植物の写真も撮る。
写真を撮る理由は散歩のついでに気になったものだけでいいから植物やら虫やらなんやらこの端末で撮ってくれと頼まれたから。鳥や風が運んできた種の中には良くない植物もあったりするし、いつの置かれたのかわからない物があったりして危ないので早く見つけ片付けたいのだという。
ただ散歩するより面白いと引き受けたが何度目かの散歩からこれといって気になるものが無くなってきた。
さてどこへ歩いていこうかと考えていると数日ぶりに虎二を見つけた。向こうも気づきこちらへ歩いてきた。
「おつかれ」
普の手にある端末を見ると
「管理課の仕事の手伝いか?」
「そう」
虎二にも何かないか聞いてみようかと思い頼まれた内容を話すと
「石碑がある辺りにアスパラが生えていると聞いたことがある」
「…行ってみる」
「案内する」
虎二が仲間に加わり目的の場所まで歩きながら仕事はどうだったかなど話をした。特に何もなく終わったようだ。
「ここだ」
「なんかたまねぎの匂いもする」
「それはこれだろうな」
虎二がただの草に見えるのを引っこ抜くと小さい玉ねぎのようなものついている。
「昔、学校の掃除の時間に草取りをした場所に生えていてな調べたらノビルというものらしいとわかった。取ったような跡があるから食べられるのかもしれないな。」
カシャッと虎二の持っているノビル?を撮る。生えている場所も。
「あ、アスパラ」
カシャッ
「なんだろアスパラが伸びたやつかな」
カシャッ
「そうやって増えていってるんだろう。アスパラも取られたあとがある。」
写真を撮り終えすぐ伝えるべきかと渡された端末で電話をかけ場所を伝えると近くで見回っていた人が来てくれた。
「畑にはなっていませんね」
「これはこの後どうするの?」
「収穫した人が見つかれば話を聞きますがこの生え方は自然に生えたと考えてよさそうですね」
「ノビルとアスパラは意外なところに生えていたりする。アスパラが歩道に生えていたのを見たことがある。種が飛んだんだろうな」
「あれ普じゃないかこんなとこで何してんだ」
近くを通った古株がこちらに来たので説明すると「確か知ってるやつが敷地内に生えてたって取ったの見せてきたことあったな。その後調理して食っとったな」と笑っていた。
「一回端末回収しますね」と古株と会話を終えた管理課の人に言われ端末を渡すとざっとアルバムを見て「たくさん撮ってくれてありがとうございます」と喜んでいた。
古株と管理課の人と別れ虎二と2人になる。「伸びている人を見に行くか」と聞けば「行く」と返ってきた。
「えーもう終わり?誰かまだいないの戦える人!!」
エリザの大きな声が聞こえる。地面には疲れて伸びている人が何人もいる。1時間と少しこの場を離れただけなのだと虎二に言えば
「もうこの状態か。いつもより周りがもたなかったな。エリザはポジティブスタミナお化けと呼ばれるくらいの人だから長期戦が得意ではない人は基本保たない」
「ポジティブスタミナお化け」
「本人は褒め言葉と捉えている」
「…」
満足はしていないようだが伸びている仲間に飲み物を渡し歩いている。受け取った仲間と笑いながら話しているからお互いにいつものことなのかもしれない。
「虎二おつかれぇ。普おかえりぃ」
「エリザまた別の日に相手するよ」
「俺は今回の任務のまとめが終わったら考える」
「2人ともありがと!!」
話しているとエリザの端末に電話がきて「やるやる」と言い電話を切ると「荷物運びの手伝いしてくるね」と走り去っていった。
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