僕と間の人達

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1.またさようなら

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誰かの声が聞こえる。
目を開けるとそこにいたのはアルフレッドだ。早くに起こしてすまない話があるんだと言われすぐに着替えていくと伝え部屋を出てもらい起き上がりベッドを出て動きやすい服装に着替えリビングへ行く。
リビングにはアルフレッドの他に3人集まっていた。おはようとかこんな時間にすまんなと言われ問題ないと答えつつどうしたのかと聞くと
「見つかったみたいだ。前に話し合った通りお願いしたい」
 ああもうこの家族ごっこに終わりが来るのかと思いながら
「わかった」
と返事を返した。



菊桜 建物内

スクリーンに映し出された情報と手元の資料を見ながら伊藤はやっと会えるかもしれない普のことを考えていた。大切な友人であり同僚でもあった2人の大事な子…影虎さんの孫。祖父が亡くなってすぐに消息不明になった。何があったのかはわからないが無事に助け出して抱きしめてあげたい。
「伊藤、普の説明を頼む」

「はい」
考え事はまた後にして立ち上がり前に出て話し始める。
名前は普と書いてあまねと読む。髪は恐らく短髪である。どちらとも取れる見た目。知っている人がほとんどだが女であるが性別違和があり言葉で傷つけたり怒らせないために一度も会ったことない者は必要な会話以外はしないこと。小柄ではあるが影虎さんのことだから色々と教えていた可能性がある。あと一部では一族の呪いと言われている力も持っているとのこと。もし戦闘になった場合は無理せず距離を取り続け伊藤と合流すること。
「2年も経っていれば情報はほんの一部しか役に立たないかも知れない。各自その場の判断で動いてもらうしかない」

「仲間の孫だよく知ってる。どうにかするさ。」

古株やある程度の人達は普の両親と祖父を知っているから今回の作戦に参加してくれている人は多い。経験を積ませるために数名この家族のことをあまり知らない世代も参加している。戦闘になった場合の戦力は問題ない。こちらの想定外の事が起きなければいいがと伊藤は思った。


会議が終わり伊藤が廊下を歩いていると走ってきた虎二に声をかけられた。
「どうしたんだ?」

「普さんの呪いは戦闘にどう影響があるですか?」

座って話そうかとカフェへ向かい適当な席に座り少し長い話だいい話し始めた。
かなり昔、戦争があった。物資が届きにくい場所では仲間がどんどん死んでいく。それに一人の優しい軍人は耐えられず刀と姿を消した。その後昼夜問わず敵野営地の幹部などが殺される事件がいくつもおきた。こちらも敵も誰もその姿を知らない。分かっているのは刃物で切られた跡があることだけ。この事件のおかげかはわからないが戦争が終わった。
ある軍人は家族を持ち子供にも恵まれた。だが子供がある程度の年齢になると刀や銃などに異常なまでに興味を持ち扱い方を教えていないのに扱えた。軍人は家族を集め自分のしたことを話した。家族は受け入れる覚悟をしてこれは大事な何かを守るための力であると代々力の扱い方やどうにもならないことをまとめ本にしてあるんだという。この軍人の血が普にも流れているという訳だ。
「わかってるのは普にとって大事な人に何かあれば力が表に出てくることと勝てる人はなかなかいない。止められる人もね。」

「だから戦闘になった場合伊藤さんと合流する必要があるということか。」

「そうだね。今は俺以外止めるのは無理だろう。」

虎二と別れ仕事場の部屋で作戦の準備をしながら今の普にまだ俺の声は届くのだろうかと伊藤は少し不安になった。 


その後手に入った情報は少なかった。なぜ普は何者かもわからない人と消えたのか。情報が手に入らない以上は必要な準備をしその場での対処しかないと参加メンバーは話し合いを重ね作戦当日を迎えた。


建物内
情報通り建物は大きい。建てた当時の設計図や地図は手に入ったため複数チームで探すことになっている。
「軽症複数出てます」

「数分撃ち合いになったが人数がわからん。どうなってんだ」

気付きづらい罠が多くちょっとした怪我をし止まるを繰り返すチームが増えてきた。撃ち合いでの怪我人はいない。撃ち合いをした場所には細工された銃が仕掛けられていたりと人数がすぐには把握出来ないようにしてあるようだ。罠といい細工銃といい知識豊富なやつが敵にいるようだと伊藤は思いながらチーム再編成を提案する。怪我人とそれを援護するチームと残りを探すチームである。古株も伊藤も気づいている。先程から撃ち合いに人の気配がないし回数が少ない。時間稼ぎをされているのだろうと。
「エリザと先に進みます」
虎二からの連絡に気をつけろと伝え伊藤も先へ進み始めた。



普側
特定の場所で撃ち合いをする。絶対に罠以外で怪我をさせないようにわざと外して撃つ。二人一組で上手く行っていく。最後にこんなに楽なことをするなんてなとアルフレッドは思っていると
「準備できた」
普からの連絡が入った。
伊藤たちが気付き始める少し前、隠し扉を開け
「待たせてすまない」
と二人組が部屋へ入った。数分後にもう二人入り揃うと普からもう一度質問を受け意思は変わらないと4人はそれぞれの言葉で答えた。


菊桜側
「なんの細工もないね。敵の血痕も死体もない」
とエリザは言いながら虎二と廊下を歩いている。あれからいくつか部屋を探したが何もなかった。別チームが敵が住んでいたと思われる部屋を見つけたがそこに普はいなかった。一旦合流すべきかと虎二が他チームに連絡取ろうとしたとき
「あの子資料の写真に似てる」
角を曲がる前にエリザは止まりそう言うと返事を待たずに近づいた。
「こんにちはあなたが普さんかな?」

「  」

「怪我はしていない?」

「  」

「何もされてない?怖くなかった?もう大丈夫だよ一緒に「離れろ!!エリザ」」

虎二の声に反応はしたが遅かった。距離を取ることができない。離れた分以上に迫ってきて掴まれたら終わると対人格闘が得意なエリザでも恐怖を感じるほど隙がなく殺気立っている。殺気だけで相手死ぬのでは?その前に私は何を間違えたのかと今はそんなことより伊藤さんがこの場に来るまでの時間を

「いっ」
床だけが見える。動けないし片腕が折られる気がする。逃げないと…逃げなければ
バキッ
叫びが廊下に響くなか普は止まらない。

撃つなとは言われていない。撃てとも言われていない。撃ってもエリザに当たると虎二は銃を構えながら伊藤に連絡し続けていた。骨が折れた音が聞こえ撃とうとしたその時エリザの近くの窓が割れ何かが入ってきて普を引き剥がし抱きしめ何かを言った。

見つけたのが遅れた…ここからでは間に合わないだろうからと上の階から飛び降り窓を突き破って虎二たちのいる廊下に入ると連絡通りの光景が目の前に。良くないと分かっているが引き剥がし抱きしめ伝えたい言葉を呟く。
普の動きが止まり倒れそうになるのを支える。気を失ったようだね。仲間まで殺す前に止められてよかった。

虎二が他チームにも連絡していたためすぐに仲間が来てエリザの応急処置ができた。
痛みに顔を歪ませながらも
「言った言葉の一部が今の普には良くなかったのかもって…無言でも声は届いてるように見えたんです。」
と伊藤に伝えると運ばれていった。
拘束はしますかと虎二が言うとしなくていいと少し苦しそうな顔をして伊藤は答えた。


懐かしい声が、匂いがする。そこで僕は意識を失った。










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