上 下
18 / 28

お約束

しおりを挟む
次の日の放課後、弥勒は一華の家の門前まで来ていた

「ごめん下さーーーい!」


返事はない、ただの屍のようーーって違う違う!
何でこんなに広いのにチャイムが無いんだろ?不便じゃないのかな?

その後も何度も叫んでみるが反応はない。意を決して中に入り昨日通された道場へ向かってみる。

「うーん?やっぱりいないや、買い物にでも出ているのかな?」

昨日、師匠との出逢いは買い物帰りだったっけと思い返しながら、今度は母屋に向かって歩いて行く

あれ?縁側の障子が開いている!不用心だなぁ

「ん?この気配は弥勒かの?」

家の奥から声が聞こえてきた。

なぁんだ!奥に居たから聞こえなかったんだと、弥勒が考えているとトタトタと足音が近づいてきた

「すまんのう、風呂に入っておって聞こえんかったわい!」

「いえ!早く来すぎたんだと思い、、ま・・・すぇぇぇぇぇ!!?」

一瞬思考が飛んだ!?何で?何でパンツ一丁やねん!?タオルで頭を拭いてる場合かっ!?いや、上手い具合に髪の毛が胸隠してるけども!!・・白か・・師匠は清楚って感じには・・って!!?何考えてるんだ俺!?

「し、し、師匠!?」

「ん?どうしたんじゃ?突っ立ってないで上がったらどうじゃ?」

「いや!師匠!!それより隠して下さーーい!」

一瞬何の事か分からない顔をした一華が自分姿を見て


「うーむ、こう見えても容姿には自信はあるつもりじゃよ?胸もDはある!くびれも鍛えておるからの!」

「そうじゃなくて!僕、男です!恥も外聞も気にして下さい!」

弥勒は顔を真っ赤にしながら見ないように必死になって反論する

「ん??・・・ふむ!これ以上はマズいかの、儂は着替えてくる。後は2でよく話し合うと良い・・と思うぞ」

そう言いながら一華は奥へとフェードアウトしていった


??どうゆうこっ!!?


う、うし、後ろから物凄い殺気が漏れている!ギギギとゆっくり振り返ってみると無表情のリリィが右手を振り上げていた




バチコーーーーーン




庭に甲高い音と叫び声が響き渡った


「ううぅ、どうしてこうなった」

俺のせいじゃ無いよね?俺被害者だよね?と、自問自答しながら左頬をさすっている

弥勒とリリィは母屋の一室に座りながら一華を待っていた。リリィの機嫌はまだ直らない

「いやぁ、待たせたかの?」

一華は白い道着に着替え、お茶を持ってきた。

悪びれる様子もなく

3人でお茶を飲み一息ついたところで一華が口を開いた

「さて、取り敢えず昨日事について、ちょいと気になる事があってのぅ、」

俺の左頬はスルーですか!?

「弥勒、お主の禍々しい状態の事じゃ、アレは何だ?」

ん?何の事?

「ふむ、無意識か、取り憑かれた訳でもあるまい。あの修羅には弥勒の意思を感じたからのぉ」

もしかしてキレて記憶が無くなった時の事か?気がついたら買い物袋を持ってる一華さんが横に立ってたやつか!

「あれは「あれは呪いよ」」

弥勒が口を開いたと同時にリリィが被せてきた。てか呪い?

・・・あっ!もしかして称号の《呪われし者》か!

「何じゃ?弥勒、お主呪われておるのか?」

「えっと、その、なんかそんな感じです。」

どうして付いたのかも分からないので、しどろもどろになる。すると、リリィがゆっくりと口を開いた

「貴方が呪われたのは願いの代償。それは負の感情をスイッチに爆発的に増幅してしまうの。
前に一度だけ見た事あるわ、貴方の親友が亡くなった時に発動して、敵味方問わず犠牲が出たの
そして勇者がそれを止める為にクロを殺したわ」


なっ!?そんな事が!だからあの時、勇者は絶対ヴァンから離れるなと言ったのか・・・

「うむ、何となく置いてきぼりをくらっておる様じゃが、呪いか、何とかなるかもしれぬよ?」

「「えっ?」」

いやいやいや!?代償だよ?そんな馬鹿な!?え?出来るの?

「そんな、事、聞いたことない」

リリィも信じてないようだ


「よし、では試してみよう!道場に行こうかの!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。 レベル、ステータス、その他もろもろ 最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。 彼の役目は異世界の危機を救うこと。 異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。 彼はそんな人生で何よりも 人との別れの連続が辛かった。 だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。 しかし、彼は自分の強さを強すぎる が故に、隠しきることができない。 そしてまた、この異世界でも、 服部隼人の強さが人々にばれていく のだった。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...