78 / 130
第3章 魔王編
魔王4
しおりを挟む
魔王のいる広間へとやってきた
映像通り奥には階段があり椅子が1つ置いてある
薄暗くてよく見えないけどシルエットで1人座っているのが確認できた。
海斗達はゆっくりと近づいていくが魔王は動こうとも喋る事もない
罠か?
「ねぇ、海斗さん。もしかして魔王気絶してるんじゃないかな?」
ヨシユキが目を凝らしながら伝えてくる
そんな馬鹿なと思いズームをかけて見てみた
・・・うん、気絶してるね
皆んなに伝えて目の前までやってきた
魔王はものの見事に気絶している。そりゃ静か過ぎるはずだ
レオンが思いいたったように言う
「そうか!塔の最上階から落ちたら気絶するのは当然だな」
そう言われて、あぁ!そう言われてみればそうだねと納得した
即死確定のフリーホールをするようなものだから気を失っても仕方がない
「んで、どうするよコレ?」
レオンは気絶してるうちに魔王を倒そうかと武器を握っている
「戦いになれば命を奪う前提で動いていたけど今なら動きを封じて話を聞けるチャンスがある。処分はその後で考えようか」
アルフはそう言ってロープを取り出して魔王をキツく縛り首輪を取り付けた
それは何かと尋ねると、魔法を使えないようにする為の首輪だそうで念の為付けとくのだそう
メアが魔王を見ながら「なんか呆気なかったですね」と呟く
まあ、100階にもなる大型ダンジョンが1階層のダンジョンになってしまい、魔王をこんなにも簡単に捕まえることが出来たらそんな気持ちにもなるだろうね
「うぅ・・」
気絶していた魔王が薄らと目を開いてゆっくりと辺りを見回す。
そして自分が縛られている現状と取り囲まれている状況は理解したみたいだ
「お!お前らいつの間に!?100階層のダンジョンは?あの衝撃は何だったんだ!?」
魔王が矢継ぎ早に叫んでくる。思っていた以上に混乱しているね
「塔は無くなったよ。ちなみに君が気絶したのはこの広間が落ちたからだろうね」
アルフが剣を取り出して答えながら魔王の首筋に当てる
「ひっ!?」
剣を突きつけられた事に恐怖し、逃げようとするが縛られて身動きが取れずバタバタと芋虫のように這いずる事しか出来ない
レオンが魔王を掴み動きを封じる。観念して大人しくなったのを見計らって気になることを聞いていく事にする
彼の名前は安在シュウマ、サラリーマンだそうだ。彼は他の同期数名と一緒に巻き込まれて此処へとやってきた
ただ本人はその日スーパーに行く気が全くなかったが、半ば強引に連れてこられたそうだ。
そう、彼はその同期生からいじめを受けていた。そして彼等からこのスーパーで万引きをしてこいとの指令を受けて、見張られている最中だったそう。中学生のイジメみたいな関係と言う感想が浮かんでくる
そして魔王を選んだのも彼等だ。
彼等の実験台にされて初めに押せと言われ、選ばれた後も魔王という事で虐められスーパーで奴隷として働かされていた
東堂兄妹はその話を聞いてハッとする
そう言えばグループの中にそういう集まりがいた事を
2人とも複雑な表情をしながら話を聞き続ける
そして東堂兄妹が居なくなってからもイジメは続き、それどころか異世界のストレスもあったのだろう、次第にエスカレートしていく
彼は心身ともに疲弊しきっていた。
ある日、彼が虐めから逃れる為に一時スーパーの外へと避難した時、1匹のゴブリンに出会す
彼は怯えて腰を抜かし後退りするがゴブリンの異様な行動に驚いた
ゴブリンがシュウマに傅いたのだ
怪訝に思いながらも様子を見ていると目の前に透明なウィンドウが表示されゴブリンが配下になった事が分かった
その時、シュウマの中に黒い感情が芽生える
ゴブリンを従え、近場のゴブリンやウルフなどの魔物を次々と配下に収めスーパーへと戻ってきた
戻ったシュウマは同期生達を外へと連れ出し魔物に襲わせ復讐心を満たす。そこに罪悪感は無かった
残った日本人達は恐怖し次の犠牲になると思い散り散りに逃げ出すが魔物の数に負け殺されてしまう
シュウマにとって見て見ぬふりをした人達も同罪と考え後悔はしなかった
そして人を殺した事により魔物召喚や魔王城として塔を建設する事が出来る様になり、もっと魔王らしく人や街を襲えばこの世界で最強になれるのではないかと思ったんだそうだ
「だから俺は悪くない!悪いのは全部アイツらだったんだ!」
「だからといってお前のやった事は許される事じゃない」
レオンが冷たく突き放す。俯くシュウマを一瞥してどうするのかを話し合う事にした
「今回の件はこの国の大事になりかねない事態だったから王都へ連行し、王に処罰してもらう事になるね」
アルフの言葉に東堂兄妹が悲痛な表情を浮かべる。犯罪を犯したとはいえ、同じ日本人だ。この世界に飛ばされて数日間一緒にいた仲間意識もあるのだろう
「「海斗さん・・」」
2人の困惑顔も理解出来る。けど犯罪は犯罪だ、自分達が負けていれば被害は相当出ていただろう。けれどせめて
「アルフさん、出来れば極刑以外でお願い出来ませんか?」
「?それは難しいと思うけどどうしてだい?」
「今回の件で悪いのはコイツでしたが環境のせいでこんな事件を起こしたんです」
「それを言ってしまえば、稼ぐ事が出来ず止む無く盗賊などに身を落とした者達にも言えることだ。国の法律では盗賊になった者や重罪を犯した者達は基本生死問わずになっている。例外はなくね」
「そうなんですが、勿体無いと思いませんか?」
海斗の勿体ない発言でアルフは怪訝な顔を見せた
「彼の魔物を使役するのは非常に有効だと言う事です。そして今回の事件が元々の性格ではなく環境によって生み出された結果なら・・」
そこまで言って気がついたアルフは目を見開き黙り込む
「海斗、どう言う事だ?処刑はしないって事なのか?」
レオンはまだよく理解できてない様だ
「ふむ、海斗君の意見も分かるけど裏切られないと言う保障は無いよね。王都へ連れて行き、もし処刑を免れたとしても彼の今後の自由は一切無くなると思うよ」
アルフの不安は最もだ。だけど
「死なれるよりはいいと思います」
「・・分かった。王にはその様に進言してみるよ。期待はしないでね」
アルフの言葉に兄妹は安堵したようだ。まぁ俺としても同郷が目の前で死ぬのは抵抗あるからね。よかったと思う
映像通り奥には階段があり椅子が1つ置いてある
薄暗くてよく見えないけどシルエットで1人座っているのが確認できた。
海斗達はゆっくりと近づいていくが魔王は動こうとも喋る事もない
罠か?
「ねぇ、海斗さん。もしかして魔王気絶してるんじゃないかな?」
ヨシユキが目を凝らしながら伝えてくる
そんな馬鹿なと思いズームをかけて見てみた
・・・うん、気絶してるね
皆んなに伝えて目の前までやってきた
魔王はものの見事に気絶している。そりゃ静か過ぎるはずだ
レオンが思いいたったように言う
「そうか!塔の最上階から落ちたら気絶するのは当然だな」
そう言われて、あぁ!そう言われてみればそうだねと納得した
即死確定のフリーホールをするようなものだから気を失っても仕方がない
「んで、どうするよコレ?」
レオンは気絶してるうちに魔王を倒そうかと武器を握っている
「戦いになれば命を奪う前提で動いていたけど今なら動きを封じて話を聞けるチャンスがある。処分はその後で考えようか」
アルフはそう言ってロープを取り出して魔王をキツく縛り首輪を取り付けた
それは何かと尋ねると、魔法を使えないようにする為の首輪だそうで念の為付けとくのだそう
メアが魔王を見ながら「なんか呆気なかったですね」と呟く
まあ、100階にもなる大型ダンジョンが1階層のダンジョンになってしまい、魔王をこんなにも簡単に捕まえることが出来たらそんな気持ちにもなるだろうね
「うぅ・・」
気絶していた魔王が薄らと目を開いてゆっくりと辺りを見回す。
そして自分が縛られている現状と取り囲まれている状況は理解したみたいだ
「お!お前らいつの間に!?100階層のダンジョンは?あの衝撃は何だったんだ!?」
魔王が矢継ぎ早に叫んでくる。思っていた以上に混乱しているね
「塔は無くなったよ。ちなみに君が気絶したのはこの広間が落ちたからだろうね」
アルフが剣を取り出して答えながら魔王の首筋に当てる
「ひっ!?」
剣を突きつけられた事に恐怖し、逃げようとするが縛られて身動きが取れずバタバタと芋虫のように這いずる事しか出来ない
レオンが魔王を掴み動きを封じる。観念して大人しくなったのを見計らって気になることを聞いていく事にする
彼の名前は安在シュウマ、サラリーマンだそうだ。彼は他の同期数名と一緒に巻き込まれて此処へとやってきた
ただ本人はその日スーパーに行く気が全くなかったが、半ば強引に連れてこられたそうだ。
そう、彼はその同期生からいじめを受けていた。そして彼等からこのスーパーで万引きをしてこいとの指令を受けて、見張られている最中だったそう。中学生のイジメみたいな関係と言う感想が浮かんでくる
そして魔王を選んだのも彼等だ。
彼等の実験台にされて初めに押せと言われ、選ばれた後も魔王という事で虐められスーパーで奴隷として働かされていた
東堂兄妹はその話を聞いてハッとする
そう言えばグループの中にそういう集まりがいた事を
2人とも複雑な表情をしながら話を聞き続ける
そして東堂兄妹が居なくなってからもイジメは続き、それどころか異世界のストレスもあったのだろう、次第にエスカレートしていく
彼は心身ともに疲弊しきっていた。
ある日、彼が虐めから逃れる為に一時スーパーの外へと避難した時、1匹のゴブリンに出会す
彼は怯えて腰を抜かし後退りするがゴブリンの異様な行動に驚いた
ゴブリンがシュウマに傅いたのだ
怪訝に思いながらも様子を見ていると目の前に透明なウィンドウが表示されゴブリンが配下になった事が分かった
その時、シュウマの中に黒い感情が芽生える
ゴブリンを従え、近場のゴブリンやウルフなどの魔物を次々と配下に収めスーパーへと戻ってきた
戻ったシュウマは同期生達を外へと連れ出し魔物に襲わせ復讐心を満たす。そこに罪悪感は無かった
残った日本人達は恐怖し次の犠牲になると思い散り散りに逃げ出すが魔物の数に負け殺されてしまう
シュウマにとって見て見ぬふりをした人達も同罪と考え後悔はしなかった
そして人を殺した事により魔物召喚や魔王城として塔を建設する事が出来る様になり、もっと魔王らしく人や街を襲えばこの世界で最強になれるのではないかと思ったんだそうだ
「だから俺は悪くない!悪いのは全部アイツらだったんだ!」
「だからといってお前のやった事は許される事じゃない」
レオンが冷たく突き放す。俯くシュウマを一瞥してどうするのかを話し合う事にした
「今回の件はこの国の大事になりかねない事態だったから王都へ連行し、王に処罰してもらう事になるね」
アルフの言葉に東堂兄妹が悲痛な表情を浮かべる。犯罪を犯したとはいえ、同じ日本人だ。この世界に飛ばされて数日間一緒にいた仲間意識もあるのだろう
「「海斗さん・・」」
2人の困惑顔も理解出来る。けど犯罪は犯罪だ、自分達が負けていれば被害は相当出ていただろう。けれどせめて
「アルフさん、出来れば極刑以外でお願い出来ませんか?」
「?それは難しいと思うけどどうしてだい?」
「今回の件で悪いのはコイツでしたが環境のせいでこんな事件を起こしたんです」
「それを言ってしまえば、稼ぐ事が出来ず止む無く盗賊などに身を落とした者達にも言えることだ。国の法律では盗賊になった者や重罪を犯した者達は基本生死問わずになっている。例外はなくね」
「そうなんですが、勿体無いと思いませんか?」
海斗の勿体ない発言でアルフは怪訝な顔を見せた
「彼の魔物を使役するのは非常に有効だと言う事です。そして今回の事件が元々の性格ではなく環境によって生み出された結果なら・・」
そこまで言って気がついたアルフは目を見開き黙り込む
「海斗、どう言う事だ?処刑はしないって事なのか?」
レオンはまだよく理解できてない様だ
「ふむ、海斗君の意見も分かるけど裏切られないと言う保障は無いよね。王都へ連れて行き、もし処刑を免れたとしても彼の今後の自由は一切無くなると思うよ」
アルフの不安は最もだ。だけど
「死なれるよりはいいと思います」
「・・分かった。王にはその様に進言してみるよ。期待はしないでね」
アルフの言葉に兄妹は安堵したようだ。まぁ俺としても同郷が目の前で死ぬのは抵抗あるからね。よかったと思う
0
お気に入りに追加
239
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる