上 下
60 / 130
第3章 魔王編

作戦を言っただけなのに引かれる

しおりを挟む
「穴?穴など掘ってどうすんだ?」


先生の1人が意図が理解出来ないという感じで聞いてきた


「いえ、穴を掘れたら色々出来そうなんですけど」

「穴なんて空けても見て直ぐにわかるだろう?迂回されたらどうすんだ?」

まあ、普通はそう言うよね

海斗は壁に貼ってあった地図の前に立って説明を始める

クマランの村の近くには大きな崖があり後は平野と山だ

なので先ずは崖側を通るように平野部の山側の広範囲に大きな落とし穴を間隔を狭くし沢山作る。

そして見せ用の穴の近くに土魔法で薄く蓋をする見えない落とし穴を作るという風に絵に描いて説明した

見える落とし穴を避けると本命の落とし穴に落ちる算段だ

しかしこれを全体的に作るのは時間的に無理なので半分だけ

それでも落とし穴があると判断した魔物は躊躇して進みが遅くなるはず

もし強行して進んできてもペースは遅くなりこちらからの攻撃がしやすくなる。

ちなみにその間の土を柔らかくしておけば足を取られて落ちやすくなる方法もありかな

あ!穴の中には棘や水を入れて刺したり溺れさせるのは良い手だよね!


後、全体の5分の1の確率で深い穴を開けておけば更に侵攻は遅くなるかも。あとは半分残った方の平原だけど


落とし穴が無いと分かったら魔物の速度は上がると思うんだよね。だから最初は分かりづらい様に傾斜を崖側につけておき砂浜にしておく。

すると移動が遅くなるし魔物の体力も奪えると思うんだよね


こちら側に来るたびに少しずつ傾斜を強めていく


すると少しずつ崖側に滑って寄っていくのでそこに長距離で魔法を放つ。これは当たらなくてもいい。


ただ目線を逸らすための攻撃だからだ

そしてそこに大きな蟻地獄をいくつか作って土魔法で流動させる

すると魔物は知らない内にどんどん滑って崖や蟻地獄へと落ちていき、崖下へと落下していくという作戦だ。

崖下には土魔法で棘を用意しておけば自動的に数を減らして行けると思う

そして減った魔物がこちらに来たところを総力戦で叩こうと言う訳だ。

これならば少ない人数でも何とかなりそうでは無いだろうか?

説明が終わった後、何故か先生達が引いていた

あれ?なんかおかしな事言ったかな?もしかしてこの作戦に大きな穴があるとか?

穴だけに?

コホン!よくよく見るとなんだコイツという顔だ

「海斗殿、これはちょっと・・」

「エゲツない、なんという卑怯な作戦なんだ」

「相手の行動を操作して罠に嵌めるなんて!?悪魔か!」

「正々堂々と戦うのでは無いのか!?」

「1対1にするような作戦なのだと思っていたのに・・」

ひでぇ・・ちょっと思いついた事を言っただけなのに
というか普通の戦法だと思うんだけど

騎士や魔法使いは正々堂々と戦うものだと思っていた先生達からは卑怯や騙しは邪道だったらしい

だからサーニャは盗賊に対してあんな言動を起こしたのか!?それに第3魔法科の生徒達が簡単に幻術に引っかかる筈だよ

教育方針見直した方がいいんじゃない?

逆に海斗が呆れ返っていた

学校の教育は置いといて、現状学園都市にいる土魔法と水魔法の使い手を総動員すればギリギリ可能だという事で魔法を使える人は生徒も含めて先行して作業を進めておくという事で決定した

最終的には海斗の作戦が採用されたのだが納得がいかない

作戦名が「エゲツない誘導殲滅」と名付けられたから

なんだよ!不貞腐れるぞ、この野郎

落ち込む海斗をアリアが終始慰めていた

次の日には学園都市中に話が流れており街中が騒がしくなっている

備蓄をするもの、心配で避難を開始する人、魔物を倒すために志願する人、怯え家に引き篭もる人

そこら中に不安と喧騒が流れている。

海斗は朝からマツキヨ商会にいた。昨日の時点で対抗戦は中止となり、アリアとマリーはウルが死んだ事で実害は無いだろうけど、暫くは家にいる方針をとった

なので一先ず護衛の任は解かれている

マツキヨ商会にいるのは村に行くのに必要な物資とキキにキックボードの余りがないか訪ねる為だ

「こんにちは海斗さん。聞きましたよ、大変な事になりました。私も微力ながらお手伝いをさせて頂くつもりです。」

物資の後ろ盾は有り難い。お礼を言ってキキがいるかどうか聞いてみる。

「一応学校は全て臨時休校になったのですが生徒達は自主的に学校に行って道具を開発しております。少しでも役に立ちたいらしくて・・

キキも学校にいるはずですよ」

無茶するなぁと思いマツキヨさんにお礼を言って第2魔道具科学校へと向かう

学校に着くと生徒と先生が一丸となって魔道具を作っていた

キックボードを改良して数人で移動できる乗り物や、竹とんぼ型の監視カメラモドキ、大型の簡易テントを全員で作っている

「あ!海斗さん」

見て回っているとキキが気付いて寄ってきてくれた

「学校は休みじゃなかったの?」

「そのはずだったんですけど、居ても立っても居られなくなって。

私達に出来る事といえばなるべく負担を減らす為の支援をする事だけですから」

グッと拳を握りしめて戦えない事を悔やんでいる

「だけじゃないさ、その頑張りのお陰で前線の人達は全力で戦う事が出来るんだよ。誇っていい」

キキの頭を撫でて褒めちぎり今回の事の責任と重大さを感じとる

キキに話をしてキックボードの余りがないか訪ねると試作品なら沢山あると言われたのでいくつかもらう事になりました

なんか変な装置が付いているのばかりだけど大丈夫なの?

聞いてみると目を逸らされた。ねぇ?廃棄処分に困ってたからとかじゃないよね?ね?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

貴方のために

豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。 後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...