6 / 14
戸川一夢1
しおりを挟む
1、2、3、4、5。5秒数えた。けど清美は部屋から出てこない。
当然俺はそのドアを開けようとする。けど、案の定ドアは開かなかった。
「くそ、清美まで閉じ込められちまった。どうなってやがるここは!」
俺は苛立ち混じりの声を出す。声を出すのは、恐怖にのまれないようにするためだ。ここは、ヤバい。きっと今、俺達の命は脅かされているんだ。そして、助けは呼べない。
「まあ、ここに立っていても仕方ねえや。一夢。俺はあの虎がある部屋に入るぜ。お前はどうする?」
俊二がそう言う。ああ、あの虎の人形が近くにある部屋か。じゃあ、俺は。
「そうだな。なら、俺はうさぎの人形が近くにある部屋にする」
「どれかの部屋に、ここから出られる手段があって、あと季目がいればいいな」
俊二が言う。確かに、その通りだが。
「一応言っておくけど、俺は季目を助け出すまでここから出る気はないからな」
俺はそう言って、もうくじけそうになってしまっている覚悟を必死に固める。
「そうか、外から助けを呼んだ方が早いって考えもあるだろうが、じゃあその時は、分かれないとな」
俊二が言う。く、お前は自分だけがここから出られればそれでいいのかよ。確かに季目を探すのに人手を増やした方が良いかもしれないけど、そんな回り道絶対したくない。
できることなら、俺が季目を救うナイトになりたい。
「じゃあ、俺はもううさぎの部屋に入る」
「おお。さて、虎の部屋はどうなってるのかなっと」
こうして俺達は、本当に行動を別にした。
うさぎの人形が近くにある部屋に入ろうとすると、勝手に体が部屋に入り、ドアが勝手に閉まった。
「ひっ」
おどろきつつも、部屋を見てみる。おちつけ。今は俺一人だ。しっかりしないと。
部屋には、小さな金庫と、テーブル。あと、果物のぬいぐるみがいくつもあった。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、モモ、ぶどう、パイナップル、栗。
あのぬいぐるみに、意味はあるんだろうか。とにかく、テーブルの上を見ようとする。
するとその時、どこからか音楽が聞こえてきた。
「!」
お、おおお、おちつけ、俺。ここにはイスがないけど、とにかくこの部屋がどうなってるのか詳しく調べなきゃ。きっと、何かあるはずだ。
「待ってろよ、季目!」
俺は季目のことを思い出し、季目から勇気をもらうと、意を決してテーブルを見た。
テーブルの上には、紙が置いてあった。その紙に書いてある字を読んでみる。
うさぎをどかす玉を手に入れるためには、鍵が必要。鍵は、仲間外れの中に入っている。
「仲間外れって、あのぬいぐるみの中から選べってことか?」
俺は改めて、部屋にあるぬいぐるみを見る。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、モモ、ぶどう、パイナップル、栗。
それを再確認した俺は、思わず笑ってしまった。
「ふっふっふ。はっはっはっはっは。この天才の頭脳を持つ一夢様をなめるな。一見全部果物に見えるが、確かにこの中に仲間外れはある!」
俺は迷わず、イチゴのぬいぐるみを手にする。
「イチゴは野菜だー!」
イチゴのぬいぐるみを詳しく調べると、一部に手をさしこめるすきまが作られていた。
「この中に、鍵があるのか?」
手を入れてみる。すると、何かつかめた。
イチゴのぬいぐるみから手を出すと、その手は確かに鍵をつかんでいた。
「よし、やった、俺やった、くうー、イチゴ農家で良かったー!」
この鍵はおそらく、あの金庫を開けるためのものだろう。
で、ところで、もし違うぬいぐるみを選んでたらどうなってたんだ?
「試しに、他のも見てみるか」
なんとなく、近くのバナナのぬいぐるみを手に取る。するとそのぬいぐるみにもすきまを見つけたので、鍵を持っていない手を入れてみる。
すると。
「あれ。ぬけない。手から離れない!」
なんと、バナナのぬいぐるみが手から取れなくなってしまった。そして中には、何もないようだ。
「くうう、余計なことをしなければ良かった。とにかく、鍵だ鍵。早く開けよう」
バナナに片手を塞がれたまま、金庫の鍵を開ける。すると中には玉が入っていた。
「これがあれば、うさぎをどかせるのか」
玉を手に取ると、バナナのぬいぐるみが手から取れ、更にドアが開いた。
「ラッキー、早く出よう!」
それで、イスに座らなきゃ!
ドアを出て、うさぎの人形に玉を見せる。
「使い方とかわからないけど」
するとうさぎの人形がイスから落ち、持っている玉が砕け散った。
「使い方あってたー!」
急いでイスに座る。すると黒いひもがまた俺の体をしばってきて、びくつく。
「こ、こえー。そ、それより。皆はどうなんだ。無事なのか!」
俺は他の仲間のことを思い出して、周囲を見た。頼む、皆無事でいてくれよ。
当然俺はそのドアを開けようとする。けど、案の定ドアは開かなかった。
「くそ、清美まで閉じ込められちまった。どうなってやがるここは!」
俺は苛立ち混じりの声を出す。声を出すのは、恐怖にのまれないようにするためだ。ここは、ヤバい。きっと今、俺達の命は脅かされているんだ。そして、助けは呼べない。
「まあ、ここに立っていても仕方ねえや。一夢。俺はあの虎がある部屋に入るぜ。お前はどうする?」
俊二がそう言う。ああ、あの虎の人形が近くにある部屋か。じゃあ、俺は。
「そうだな。なら、俺はうさぎの人形が近くにある部屋にする」
「どれかの部屋に、ここから出られる手段があって、あと季目がいればいいな」
俊二が言う。確かに、その通りだが。
「一応言っておくけど、俺は季目を助け出すまでここから出る気はないからな」
俺はそう言って、もうくじけそうになってしまっている覚悟を必死に固める。
「そうか、外から助けを呼んだ方が早いって考えもあるだろうが、じゃあその時は、分かれないとな」
俊二が言う。く、お前は自分だけがここから出られればそれでいいのかよ。確かに季目を探すのに人手を増やした方が良いかもしれないけど、そんな回り道絶対したくない。
できることなら、俺が季目を救うナイトになりたい。
「じゃあ、俺はもううさぎの部屋に入る」
「おお。さて、虎の部屋はどうなってるのかなっと」
こうして俺達は、本当に行動を別にした。
うさぎの人形が近くにある部屋に入ろうとすると、勝手に体が部屋に入り、ドアが勝手に閉まった。
「ひっ」
おどろきつつも、部屋を見てみる。おちつけ。今は俺一人だ。しっかりしないと。
部屋には、小さな金庫と、テーブル。あと、果物のぬいぐるみがいくつもあった。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、モモ、ぶどう、パイナップル、栗。
あのぬいぐるみに、意味はあるんだろうか。とにかく、テーブルの上を見ようとする。
するとその時、どこからか音楽が聞こえてきた。
「!」
お、おおお、おちつけ、俺。ここにはイスがないけど、とにかくこの部屋がどうなってるのか詳しく調べなきゃ。きっと、何かあるはずだ。
「待ってろよ、季目!」
俺は季目のことを思い出し、季目から勇気をもらうと、意を決してテーブルを見た。
テーブルの上には、紙が置いてあった。その紙に書いてある字を読んでみる。
うさぎをどかす玉を手に入れるためには、鍵が必要。鍵は、仲間外れの中に入っている。
「仲間外れって、あのぬいぐるみの中から選べってことか?」
俺は改めて、部屋にあるぬいぐるみを見る。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、モモ、ぶどう、パイナップル、栗。
それを再確認した俺は、思わず笑ってしまった。
「ふっふっふ。はっはっはっはっは。この天才の頭脳を持つ一夢様をなめるな。一見全部果物に見えるが、確かにこの中に仲間外れはある!」
俺は迷わず、イチゴのぬいぐるみを手にする。
「イチゴは野菜だー!」
イチゴのぬいぐるみを詳しく調べると、一部に手をさしこめるすきまが作られていた。
「この中に、鍵があるのか?」
手を入れてみる。すると、何かつかめた。
イチゴのぬいぐるみから手を出すと、その手は確かに鍵をつかんでいた。
「よし、やった、俺やった、くうー、イチゴ農家で良かったー!」
この鍵はおそらく、あの金庫を開けるためのものだろう。
で、ところで、もし違うぬいぐるみを選んでたらどうなってたんだ?
「試しに、他のも見てみるか」
なんとなく、近くのバナナのぬいぐるみを手に取る。するとそのぬいぐるみにもすきまを見つけたので、鍵を持っていない手を入れてみる。
すると。
「あれ。ぬけない。手から離れない!」
なんと、バナナのぬいぐるみが手から取れなくなってしまった。そして中には、何もないようだ。
「くうう、余計なことをしなければ良かった。とにかく、鍵だ鍵。早く開けよう」
バナナに片手を塞がれたまま、金庫の鍵を開ける。すると中には玉が入っていた。
「これがあれば、うさぎをどかせるのか」
玉を手に取ると、バナナのぬいぐるみが手から取れ、更にドアが開いた。
「ラッキー、早く出よう!」
それで、イスに座らなきゃ!
ドアを出て、うさぎの人形に玉を見せる。
「使い方とかわからないけど」
するとうさぎの人形がイスから落ち、持っている玉が砕け散った。
「使い方あってたー!」
急いでイスに座る。すると黒いひもがまた俺の体をしばってきて、びくつく。
「こ、こえー。そ、それより。皆はどうなんだ。無事なのか!」
俺は他の仲間のことを思い出して、周囲を見た。頼む、皆無事でいてくれよ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【死に文字】42文字の怖い話 【ゆる怖】
灰色猫
ホラー
https://www.alphapolis.co.jp/novel/952325966/414749892
【意味怖】意味が解ると怖い話
↑本編はこちらになります↑
今回は短い怖い話をさらに短くまとめ42文字の怖い話を作ってみました。
本編で続けている意味が解ると怖い話のネタとして
いつも言葉遊びを考えておりますが、せっかく思いついたものを
何もせずに捨ててしまうのももったいないので、備忘録として
形を整えて残していきたいと思います。
カクヨム様
ノベルアップ+様
アルファポリス様
に掲載させていただいております。
小説家になろう様は文字が少なすぎて投稿できませんでした(涙)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
りこの怖いはなし
月見こだま
ホラー
本文は全て実話を元にしたフィクションです。どこまでが本当なのか、信じるのかはこれを読んでいるあなた次第です。さて、まずは全ての物語の中心となっていただく少女をご紹介しましょう。
少女の名は神田りこ。十一歳の誕生日を迎えたばかりです。
彼女は田舎のごく平凡な家庭の次女として生を受けました。六歳上に姉、三歳上に兄がいますが、その中で彼女が一番『母方』の血を濃く受け継いでしまったようです。
今回紹介するのは、彼女が体験したほんの少しだけ怖いお話。
***更新予定
4話→18日0時
5話→19日0時
6話→20日0時
7話→21日0時
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる