29 / 33
一学期
対策会議(1)
しおりを挟む
クロの話から、富澤先生が妖花に憑かれている上、ソレが周囲にも影響を与えるということで、わたしの警戒度は上がった。
だって、アレは思い出すだけでも、ゾッとする光景だったんだもん。
クロが言うには、元々“妖花”はごくありふれたモノで、そんなに悪いモノでもないみたい。
宿主の心や願い、本質を反映した花を咲かせた後は、ひっそりと消える前に、また種子を飛ばす――そういうモノで、上手くすれば、宿主の抑圧された感情解放につながることさえあるというの。
霊的なモノだから、宿主の咲かせた妖花が周りや自分自身に認識されなくても、ひっそりと咲いたソレにより、知らないうちに感情が慰められるんだって。
だから、その後、その宿主の負の部分が昇華されたり浄化されたりして、宿主に幸いをもたらす面もあるという。
「うう、……なら、富澤先生は、どーしてああなっちゃったのー?! 怖いよ、ぶきみだよ~……もう、いっそ早く卒業したい。違うクラスに行きたいー!」
思わず、泣き言も出てきちゃうよ~。
妖花に良い面や救いがあるなら、何で物の怪やあやかしレベルまで育てちゃったの、あの先生はー!?
『アレは相当な年代物。最初は妖花の性質上、それでも時間をかけて、少しずつ増えていったハズだよ。だけど、宿主は変われず、妖花には消える間もなく育つモノ、この場合は抑圧された心の願望やらが与えられ続けたんだろうね。結果、特異点を越えた』
「とくい……てん?」
『そう。コレを越えちゃうとね、もう少しのことでは戻れない。まず、周囲から孤立する。孤独感やら何やらで負の面が増大する。妖花も増殖する、とまあ負のスパイラルの完成。で、加速度的に立派な怪異へと大成長! 今、ココだね』
そんな大成長はいらない!
対策だ、対策を練らないと!
「アレの、もののけ妖花の対策をしないと! クロ、危険なことって何?! やっぱり、クラス中に飛び散った、あの紫色の何かが危ないの?!」
勢いよく聞くわたしに、クロはしょんぼりして答えた。
『うん。――――アレはよくないよ。ぼく、名付けてもらったから、今日は防げたけど、……その前は頑張ったけど、全部はダメだった』
え? ソレってもしかして――――?!
「前も、GW前も先生はああで、ひょっとして、わたし既にあの紫色の何かに汚染済なの?!」
形相の変わったわたしを見て、クロは慌てて首を振った。
『うん、いや、ううん、ちがう』
どっちなのーーー?!
『アレは最初っから、主の言うところの、もののけ妖花憑きだよ。……そもそも主の2種類の加護、氏神様と盾のが揺らいでいたとはいえ、ぼくがソレを突破して主の側へ行けたのは、アレのせいなの。ぼく、主に存在を認識もらえて嬉しかった。だから、その分、頑張って厄落としはしてた、けど――だけど、どうしても、あのとき全部はダメで――』
と、いうことは、やっぱりアレがわたしの中に?!
イーーヤーーー!!
だって、アレは思い出すだけでも、ゾッとする光景だったんだもん。
クロが言うには、元々“妖花”はごくありふれたモノで、そんなに悪いモノでもないみたい。
宿主の心や願い、本質を反映した花を咲かせた後は、ひっそりと消える前に、また種子を飛ばす――そういうモノで、上手くすれば、宿主の抑圧された感情解放につながることさえあるというの。
霊的なモノだから、宿主の咲かせた妖花が周りや自分自身に認識されなくても、ひっそりと咲いたソレにより、知らないうちに感情が慰められるんだって。
だから、その後、その宿主の負の部分が昇華されたり浄化されたりして、宿主に幸いをもたらす面もあるという。
「うう、……なら、富澤先生は、どーしてああなっちゃったのー?! 怖いよ、ぶきみだよ~……もう、いっそ早く卒業したい。違うクラスに行きたいー!」
思わず、泣き言も出てきちゃうよ~。
妖花に良い面や救いがあるなら、何で物の怪やあやかしレベルまで育てちゃったの、あの先生はー!?
『アレは相当な年代物。最初は妖花の性質上、それでも時間をかけて、少しずつ増えていったハズだよ。だけど、宿主は変われず、妖花には消える間もなく育つモノ、この場合は抑圧された心の願望やらが与えられ続けたんだろうね。結果、特異点を越えた』
「とくい……てん?」
『そう。コレを越えちゃうとね、もう少しのことでは戻れない。まず、周囲から孤立する。孤独感やら何やらで負の面が増大する。妖花も増殖する、とまあ負のスパイラルの完成。で、加速度的に立派な怪異へと大成長! 今、ココだね』
そんな大成長はいらない!
対策だ、対策を練らないと!
「アレの、もののけ妖花の対策をしないと! クロ、危険なことって何?! やっぱり、クラス中に飛び散った、あの紫色の何かが危ないの?!」
勢いよく聞くわたしに、クロはしょんぼりして答えた。
『うん。――――アレはよくないよ。ぼく、名付けてもらったから、今日は防げたけど、……その前は頑張ったけど、全部はダメだった』
え? ソレってもしかして――――?!
「前も、GW前も先生はああで、ひょっとして、わたし既にあの紫色の何かに汚染済なの?!」
形相の変わったわたしを見て、クロは慌てて首を振った。
『うん、いや、ううん、ちがう』
どっちなのーーー?!
『アレは最初っから、主の言うところの、もののけ妖花憑きだよ。……そもそも主の2種類の加護、氏神様と盾のが揺らいでいたとはいえ、ぼくがソレを突破して主の側へ行けたのは、アレのせいなの。ぼく、主に存在を認識もらえて嬉しかった。だから、その分、頑張って厄落としはしてた、けど――だけど、どうしても、あのとき全部はダメで――』
と、いうことは、やっぱりアレがわたしの中に?!
イーーヤーーー!!
11
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
甘い香りがする君は誰より甘くて、少し苦い。
めぇ
児童書・童話
いつもクールで静かな天井柊羽(あまいしゅう)くんはキレイなお顔をしていて、みんな近付きたいって思ってるのに不愛想で誰とも喋ろうとしない。
でもそんな天井くんと初めて話した時、ふわふわと甘くておいしそうな香りがした。
これは大好きなキャラメルポップコーンの匂いだ。
でもどうして?
なんで天井くんからそんな香りがするの?
頬を赤くする天井くんから溢れる甘い香り…
クールで静かな天井くんは緊張すると甘くておいしそうな香りがする特異体質らしい!?
そんな天井くんが気になって、その甘い香りにドキドキしちゃう!
もぐらちゃんたちのおはなししゅう
佐伯明理(さえきあかり)
児童書・童話
もぐらちゃんたちの日常を描いた短いおはなし。
1〜4は絵本ひろばに掲載された絵本のノベライズなので、内容は同じです。
5以降は新作なので絵本はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる