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一学期

対策会議(1)

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 クロの話から、富澤先生が妖花に憑かれている上、ソレが周囲にも影響を与えるということで、わたしの警戒度は上がった。

 だって、アレは思い出すだけでも、ゾッとする光景だったんだもん。

 クロが言うには、元々“妖花”はごくありふれたモノで、そんなに悪いモノでもないみたい。
 宿主の心や願い、本質を反映した花を咲かせた後は、ひっそりと消える前に、また種子を飛ばす――そういうモノで、上手くすれば、宿主の抑圧された感情解放につながることさえあるというの。

 霊的なモノだから、宿主の咲かせた妖花が周りや自分自身に認識されなくても、ひっそりと咲いたソレにより、知らないうちに感情が慰められるんだって。
 だから、その後、その宿主の負の部分が昇華されたり浄化されたりして、宿主に幸いをもたらす面もあるという。

「うう、……なら、富澤先生は、どーしてああなっちゃったのー?! 怖いよ、ぶきみだよ~……もう、いっそ早く卒業したい。違うクラスに行きたいー!」
 
 思わず、泣き言も出てきちゃうよ~。
 妖花に良い面や救いがあるなら、何で物の怪やあやかしレベルまで育てちゃったの、あの先生はー!?

『アレは相当な年代物。最初は妖花の性質上、それでも時間をかけて、少しずつ増えていったハズだよ。だけど、宿主は変われず、妖花には消える間もなく育つモノ、この場合は抑圧された心の願望やらが与えられ続けたんだろうね。結果、特異点を越えた』

「とくい……てん?」

『そう。コレを越えちゃうとね、もう少しのことでは戻れない。まず、周囲から孤立する。孤独感やら何やらで負の面が増大する。妖花も増殖する、とまあ負のスパイラルの完成。で、加速度的に立派な怪異へと大成長! 今、ココだね』

 そんな大成長はいらない!
 対策だ、対策を練らないと!

「アレの、もののけ妖花の対策をしないと! クロ、危険なことって何?! やっぱり、クラス中に飛び散った、あの紫色の何かが危ないの?!」

 勢いよく聞くわたしに、クロはしょんぼりして答えた。

『うん。――――アレはよくないよ。ぼく、名付けてもらったから、今日は防げたけど、……その前は頑張ったけど、全部はダメだった』

 え? ソレってもしかして――――?!

「前も、GW前も先生はで、ひょっとして、わたし既にあの紫色の何かに汚染済なの?!」

 形相の変わったわたしを見て、クロは慌てて首を振った。

『うん、いや、ううん、ちがう』

 どっちなのーーー?!

『アレは最初っから、主の言うところの、もののけ妖花憑きだよ。……そもそも主の2種類の加護、氏神様と盾のが揺らいでいたとはいえ、ぼくがソレを突破して主の側へ行けたのは、アレのせいなの。ぼく、主に存在を認識わかってもらえて嬉しかった。だから、その分、頑張って厄落としはしてた、けど――だけど、どうしても、あのとき全部はダメで――』

 と、いうことは、やっぱりアレがわたしの中に?! 
 イーーヤーーー!!
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