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一学期

富澤先生の正体(1)

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 翌日、久しぶりにクロと一緒に登校したわたしは、6年1組の教室へ入り、お友達を見つけて駆け寄った。

「里帆ちゃーん、梨香ちゃん、まいちゃん、おはようー! 久しぶりだね!」

「おー、莉子! おっはよー! ホント久しぶり~」と元気よく挨拶を返してくれるのは、元気印の里帆ちゃん。
 いつも明るくて、テキパキしてて、一緒にいると楽しいの。それに、とっても行動力があって、色んなことに対しても活動的なんだ。

「おはよう、莉子ちゃん! ……元気だった?」と穏やかにおっとり返事してくれるのは、受験組の片割れの梨香ちゃん。
 梨香ちゃんも一人っ子だから、何となくわたしと家庭環境が近いかも。
 お話が合って、感性も近い感じ。
 いつもおっとりと優しいから、一緒にいると癒されるし安心するの。

「おはよー! 久しぶりに組、再会だね~。GWはどうだった?」と口を開くのは、まいちゃん。
 小柄なわたしとまいちゃんは、身長を競うライバルだ! 身長順に並ぶ時は、どちらが後ろになるかをミリ単位で競ってる。
 りりり組は、里帆ちゃん、梨香ちゃん、莉子の最初の名前から、まいちゃんが命名。
 偶然、みんなから始まるからね!
 ちょっと勝ち気なカワイイ系。
 機転もきいて、頼もしいお友達だよ!

 みんなと久しぶりに会って、ワイワイガヤガヤと6年1組のクラスメイト達の顔は明るく、話が尽きない感じでにぎやかだ。
 ホント、クラスメイト達は、みんな良い感じなんだよね。
 クロは定位置となりつつあるわたしの右肩で、そんな様子を興味深く見守っていた。

 そこへ、学校のチャイムが鳴る。
 まだまだお友達と話足りないけど、わたし達は渋々自分達の席へ着いた。
 一部の男子達は、まだ集まって騒いでいる。
 すると、「コラー! 何を騒いでおる! チャイムはもう鳴ったぞー?!」とベテランの橋本先生が注意をしに現れ、男子達もやっと着席した。

 みんな席には着いたけど、担任の富澤先生はなかなか現れない。
 お隣の2組は既に小笠原先生が朝のホームルームを始めているみたいだ。隣のクラスは静かで、たまに3組の橋本先生の声が聞こえるくらい。
 1組のみんなは席には着いたけど、すぐにガヤガヤとお互いの近況を話しだした。
 だって、GWをまたいだから、久しぶりに会う子ばかりだからね。 

 すると、しばらくして、ようやくガラッと教室の戸を引いて、富澤先生が教室へ入ってきた。

 やっと富澤先生、登場かぁ~。
 マイペースというかやる気がないというか、相変わらずだー。

 そんな思いと共にふと富澤先生に目をやったわたしは、驚きのあまりにピシッと固まってしまった。
 そして、信じられない思いで目を大きく見開き、心の中で絶叫する。

 何アレ……何アレ?!
 何っで、頭の上に花が咲いているのーーー?!!
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