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一学期

親戚一同揃ってのお食事会(2)

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「俊浩! あなた、そんなことばっかり言って……?! あなた、自分は小さな頃からずっと、キチンとしてもらってきたクセに……!」

「キチンと……? ああ、お神札のこと? なら、莉子は3歳の本家の顔見せのときにしただろう?」

「は?!」

 その発言を受けて、お祖母ちゃんと伯母さん一家全員が固まった。

 何? 何かダメなこと、あった?

 不安に思ったお母さんとわたしが顔を見合わせた時、伯母さんの雷が爆裂した。

「俊浩ーー!! そういう問題じゃないのは、分かってるでしょう?! お参りというものは、一度行けば良いというモノではないの! 神札――神符や御守の効力は、永遠のモノではない。少なくとも年に一度、出来れば新年に入ってすぐのうちに、と毎年変えてゆくものでしょう!!」

「効力? ハ、ソレは、毎年出来れば新しくするべきだ、ということは、知ってるさ! だけどな、全国各地を仕事で転々としていると、その土地その土地に馴染むことがどうしても最優先になるんだよ! しかも、法的手続きやら何やらで、いつもやることや心配事が沢山出てきて、いっぱいいっぱいになるとな、余裕がないんだ! 別にお参りやら何やらは、余裕のある時にすれば良いんだろう?!」

「俊浩ーーー!!! 仮にも天童家の出で、まだそんな事を言うかー!」

 クールビューティにあるまじき形相で伯母さんは言いつのり、和やか乾杯ムードから一転して、イキナリ険悪なムードになり、わたしとお母さんはオロオロしだした。

 どうしよう、わたしのせい?
 氏神様へのお参りって、何?!
 わたし、ここに来てから遊んでばっかりで、何もしてないよ――!

 その時、お祖母ちゃんの悲しそうな、

《俊浩の、……無能者の鎧がこんな風に作用するとはね……》という、小さな声を聞いた気がする。

 そして、わたしの心が不安に波打つのと同時にまた、視界の中に、いつの間にか見慣れてしまった黒いモノが戻ってくる。
 今のわたしは、何故かソレが喜んでいるのが分かった。

「――なるほどね、こういう成り立ちか」

 お向かいの席の智也さんが小さく低くつぶやくと、両手をパァン、と打ち鳴らした。
 驚きで周りのが消え失せるのと同時に、気のせいか空気が変わり、何だか澄んできたような気もする。

「は~い、そこまで、かな。梨香子も俊浩君もお酒で悪酔いしちゃったんじゃない? 熱くならない、ならない。せっかく久しぶりに会ったのに、ね? 莉子ちゃんもビックリしてるよ?」

 おどけた風にしつつも、ヒートアップしていた2人の会話の間にサラッと入った智也さんを見ると、バッチリ目があった。
 その目は面白そうなモノを見つけた! といった感じに光っている気がする……。
 全く同じ光をともした目で見つめてくる、響君が何だか怖い。
 隣で湊君があちゃーと額に手を当てていた、何で?!

「2人共、相変わらずだな。会えばぶつかり合う――これはもう、性分だから、莉子ちゃんは心配しなくても良いよ、アハハ」

 全く動揺もみせずに、笑い飛ばす貴浩伯父さんを見て、わたしも少し落ち着いてきた。

「ホントにもう、何を騒いでおるか。氏神様には明日、詣でれば良い」

 達郎お祖父ちゃんの一言でその場は収まり、わたし達家族は明日、改めて氏神様へ参拝することが決まった。
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