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一学期
凪ちゃんと奏君
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今回の帰省で、ようやくわたしは父方の従姉弟達を認識出来た。
今までは、わたしが幼すぎて、彼らのことを覚えてられなかったんだ。
今回で会うのは3回目だよ、と言われてもねー。
わたしも奏君も今まで、お互いの記憶は少しもなかったよ。
今回、はじめまして、の状態からのスタート。
凪ちゃんはわたしよりも2つ上なだけあって、何となく覚えているらしい。
流石の記憶力だ!
お庭でたくさん遊んだよね、と言われてしまった。
だけど、記憶があろうがなかろうが、今回の帰省中ずっと一緒に過ごして、色んなお話しながら遊んでいるうちに、わたし達はすごく仲良くなれたんだ。
凪ちゃんは今、中学2年生だけど、名門の私学中学校に通っているんだって。
将来はお医者さんになりたいからって、中学受験をして見事合格を勝ち取り、今は寮に入っているらしい。
ここは交通の便が悪いから仕方ない、と寮へ入るのも伯父さんが許してくれたんだ、と聞いて驚いた。
小学生のうちから、キチンと自分の将来のことを考えて、努力し続けているのってすごいな、と尊敬する。
奏君も凪ちゃんを見ているからか、やっぱりもう将来のことを色々考えていた。
奏君はこの土地が好きだから、ずっとここで農業や林業をして、暮らしていきたいんだって。
自然が好きだから研究者にも憧れがあって、今は色々調べてるって、少し照れながらも教えてくれたの。
わたしよりも1つ下、小学5年生なのにすごいな。
わたしも頑張らなくちゃ! と気合が入ったよ!
わたしは1人っ子だから、何だかここで頼れる素敵なお姉さんと可愛くてしっかりした弟が出来たみたいな気がして、すごく嬉しくなったの。
「莉子ー! そろそろ帰らないと、晩御飯におくれちゃうよ!」
「ヤバい、もうそんな時間なの?」
「そうだねー、奏と私だけなら、まだ少しは時間の余裕があると思うけど」
「ううっ、ソレを言われると……わたし、コレでも体力はある方だと思ってたんだけどね」
「アハハ、莉子、コレで?」
「奏、仕方ないよ。山歩きなんて、したことなかったんだから」
凪ちゃんがわたしを慰めてくれる。
「莉子ちゃん、今日はね、梨香子伯母様の一家も晩御飯を一緒にするんだって。だから、遅れないように、少し早めだけど帰ろうか」
「え? そうなの?! もちろん、帰るよ! ごめん、わたし急ぐから……!」
大変だ! 急いで帰らないと……と焦るわたしを見て、奏君が笑う。
「そんなに焦らなくても大丈夫だよ! バッチリぼくが近道教えてあげる。……にしても、やっぱり伯母さん達、来るんだ?」
「うん。さっき、携帯が一瞬圏内のところで帰って来いLINEが来てた」
「……一家ってことは、あいつらも?」
「そうだね、響と湊も来るみたいだよ」
ソコで、奏君は眉間にシワを寄せて黙り込んだ。
奏君らしくないその態度に驚き、凪ちゃんをチラリと見ると、凪ちゃんは苦笑しながら教えてくれた。
「響は私と同じ中2で、湊は1つ下の中1の男子。2人共、奏が可愛いらしくて、絡みまくるんだよね。……可哀想に」
「……そっか」
ココでまた、新たに従兄に会うことになるんだね~。
のほほんと聞いていたら、奏君がらしくない低い声で言いだした。
「そんな他人事にしてる場合じゃないよ、莉子。莉子だって、奴らからみたら、年下。どうなるか分からないんだから」
「こら、奏。脅かさないの! 今日で3日目、莉子ちゃん一家がいるGW最後の夜でしょ? だから、理恵子お祖母ちゃんが姉弟一家みんなで過ごしたい、って楽しみにしてたの。幸い、何とか伯母様達もこちらへ来られることになったから――」
「そっか、もう3日目なんだ。……野山や川、色んなところでたくさん遊べて楽しかった。凪ちゃん、奏君、ありがと」
少ししょんぼりしたわたしに気を遣ったのか、奏君はパッと明るく表情を変えた。
「そんな顔、するなよ、莉子! またいつでも遊びに来れば良いし、今晩はご馳走が待ってるんだぞ! さあ、家まで競争だ!」
え、競争はムリだから――!!
今までは、わたしが幼すぎて、彼らのことを覚えてられなかったんだ。
今回で会うのは3回目だよ、と言われてもねー。
わたしも奏君も今まで、お互いの記憶は少しもなかったよ。
今回、はじめまして、の状態からのスタート。
凪ちゃんはわたしよりも2つ上なだけあって、何となく覚えているらしい。
流石の記憶力だ!
お庭でたくさん遊んだよね、と言われてしまった。
だけど、記憶があろうがなかろうが、今回の帰省中ずっと一緒に過ごして、色んなお話しながら遊んでいるうちに、わたし達はすごく仲良くなれたんだ。
凪ちゃんは今、中学2年生だけど、名門の私学中学校に通っているんだって。
将来はお医者さんになりたいからって、中学受験をして見事合格を勝ち取り、今は寮に入っているらしい。
ここは交通の便が悪いから仕方ない、と寮へ入るのも伯父さんが許してくれたんだ、と聞いて驚いた。
小学生のうちから、キチンと自分の将来のことを考えて、努力し続けているのってすごいな、と尊敬する。
奏君も凪ちゃんを見ているからか、やっぱりもう将来のことを色々考えていた。
奏君はこの土地が好きだから、ずっとここで農業や林業をして、暮らしていきたいんだって。
自然が好きだから研究者にも憧れがあって、今は色々調べてるって、少し照れながらも教えてくれたの。
わたしよりも1つ下、小学5年生なのにすごいな。
わたしも頑張らなくちゃ! と気合が入ったよ!
わたしは1人っ子だから、何だかここで頼れる素敵なお姉さんと可愛くてしっかりした弟が出来たみたいな気がして、すごく嬉しくなったの。
「莉子ー! そろそろ帰らないと、晩御飯におくれちゃうよ!」
「ヤバい、もうそんな時間なの?」
「そうだねー、奏と私だけなら、まだ少しは時間の余裕があると思うけど」
「ううっ、ソレを言われると……わたし、コレでも体力はある方だと思ってたんだけどね」
「アハハ、莉子、コレで?」
「奏、仕方ないよ。山歩きなんて、したことなかったんだから」
凪ちゃんがわたしを慰めてくれる。
「莉子ちゃん、今日はね、梨香子伯母様の一家も晩御飯を一緒にするんだって。だから、遅れないように、少し早めだけど帰ろうか」
「え? そうなの?! もちろん、帰るよ! ごめん、わたし急ぐから……!」
大変だ! 急いで帰らないと……と焦るわたしを見て、奏君が笑う。
「そんなに焦らなくても大丈夫だよ! バッチリぼくが近道教えてあげる。……にしても、やっぱり伯母さん達、来るんだ?」
「うん。さっき、携帯が一瞬圏内のところで帰って来いLINEが来てた」
「……一家ってことは、あいつらも?」
「そうだね、響と湊も来るみたいだよ」
ソコで、奏君は眉間にシワを寄せて黙り込んだ。
奏君らしくないその態度に驚き、凪ちゃんをチラリと見ると、凪ちゃんは苦笑しながら教えてくれた。
「響は私と同じ中2で、湊は1つ下の中1の男子。2人共、奏が可愛いらしくて、絡みまくるんだよね。……可哀想に」
「……そっか」
ココでまた、新たに従兄に会うことになるんだね~。
のほほんと聞いていたら、奏君がらしくない低い声で言いだした。
「そんな他人事にしてる場合じゃないよ、莉子。莉子だって、奴らからみたら、年下。どうなるか分からないんだから」
「こら、奏。脅かさないの! 今日で3日目、莉子ちゃん一家がいるGW最後の夜でしょ? だから、理恵子お祖母ちゃんが姉弟一家みんなで過ごしたい、って楽しみにしてたの。幸い、何とか伯母様達もこちらへ来られることになったから――」
「そっか、もう3日目なんだ。……野山や川、色んなところでたくさん遊べて楽しかった。凪ちゃん、奏君、ありがと」
少ししょんぼりしたわたしに気を遣ったのか、奏君はパッと明るく表情を変えた。
「そんな顔、するなよ、莉子! またいつでも遊びに来れば良いし、今晩はご馳走が待ってるんだぞ! さあ、家まで競争だ!」
え、競争はムリだから――!!
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