勇者さまは私の愚弟です。

異世界ライフ2

プレゼントは何が良い？

「旦那様、奥様は今日も、お一人でお食事をするとのことです」
「どうしてだ、どうして、一花に会ってはいけないんだ、おかしいだろう、俺が直接一花の所に行って話してくる、セドリック、退け」
「お断りいたします、旦那様、ジルから、話は聞いております。いま、奥様にお会居にならない方がよろしいかと」
「まさか、一花が・・・会いたくないと言っているのか？」
「それ以前に、この屋敷に居たくないと、おっしゃっております。何とかなだめて、この屋敷に居てもらっていますが、いつ、出ていかれてもおかしくは無いかと」
「どうし、一花は・・・俺を好きだと言ったのはうそだったのか？」
「嘘では無いと思いますが、旦那様が事を急ぎすぎたのではないでしょうか？まずは旦那様、奥様の喜ぶ物を、まずプレゼントしてはいかがでしょうか？」


「プレゼントか・・・」
そういえば、いつもプレゼントをするときは、一花の欲しいものより、俺が贈りたい物を、送っていたな・・・・一花の欲しいものが、思い浮かばない・・・


今まで、相手の欲しいものなんて、考えたことが無かった。
そんな事しなくても、女に不自由したことが無かった。
・・・・何を送れば、一花は、もう一度、振り向いてくれる？
同じ家に居るのに、もどかしい。
・・・悠馬を連れて来るか？悠馬さえいれば、一花は言う事を聞く・・・・それじゃ、今までと同じじゃないか。

困った、本当に困った。

一体、一花は何が欲しい？

夫婦寝室の隣にある、執務室の中を、ぶつぶつ、と口走りながら、歩き回わった。

意を決して、俺は一花に会いに行った。
がま口財布も渡しそびれていたし、欲しいものを聞きたいし、会いたいし、会いたい、会いたい、一花の顔を見たい。


執務室と目と鼻の先の一花の部屋の前で、片手に一輪の薔薇を持ってノックしようと、どれだけの時間、ドアの前に立っているだろうか！

「大丈夫、一花は会ってくれる、財布とバラを渡すだけだ、後は何もしない！一花を怖がらせない！欲しいものを聞く！後なにが足りない。

良し、さあノックするぞと、思った瞬間、部屋の中から「痛い」と一花の声が聞こえた。

「一花、どうしたの」
ドアをノックもせず、部屋に入ると、一花が、ナイフで指を切っていた。ラヴィニスは一花の手を取って、傷口を舐めた。

そして自分の魔力で、一花の傷を跡形もなく消すとほっと息をついた。
「一花、どうしてナイフなんか持っているの？危ないでしょう？」
ラヴィニスは、一花からナイフを取り上げ、後手に怪我がないか、一花の両手を握っていた。



「・・・・さわらないで・・・・」



「・・・ゴメン、もう触らないから」
言うなり、両手を放した。


「・・・まだいるの・・・出て行って・・・」



今まで一花の声でこんなに底冷えする声は初めて聴いた。ラヴィニスは正直驚きを隠せない。


「・・・渡したいものがあって、これ一花の財布だろ?大事な物なんだから、落としちゃダメじゃないか一花」

「名前を呼ばないで、あなたに名前を呼ばれると気持ちが悪くなるわ」


「・・・・一花・・・幾らなんでもそれは無いよね？傷を治したのにお礼も無し？一花はずいぶん冷たい女になったんだね」


「・・・言いたい事はそれだけ？・・・終わったら出て行って」


「・・・・・・一花・・・いい加減にしろ、さすがに俺も怒るよ！俺が一体何をした」


「あなたが出ていかないなら私が出ていくわ、お世話になりました」

「待って一花ここは君の部屋だ、何処に出ていくの」


ラビニスは一花の手を掴んで、そのまま腕の中で抱きしめた。
「一花、君の居場所はこの腕の中だ、何処にも行かせない、いかないで・・・・」


「私は・・・・貴方のオモチャじゃない！いい加減にして・・・・触らないで・・・私をいじめないで・・・大っ嫌い、大っ嫌い・・・顔も見たくない・・・出てって！」

私の心は大きく傷ついているのに、ラヴィニスは私の心を無視して、好きかって言っている、私はまだこんなに辛いのに、大っ嫌いよラヴィニス！！

一花はラヴィニスを睨み、ラヴィニスは放心状態で一花から離れて部屋を出ていった。





執務室に戻ると、すぐに、セドリックがドアをノックをして入ってきた。

「旦那様、ギルタスが、先日の報告をしたいと、申しておりますが、いかがいたしましょうか？」

「・・・分った、すぐに連れて来い」
ラヴィニスは、執務氏の机に座り、引き出しの中から、一花誘拐の、書類を手に取って見た。

ラヴィニスは、視線は書類を見ながら、セドリックに指示をする。
「セドリック明日、一花と話し合う。一花にそう伝えてくれ・・・一花は、誤解している」

「畏まりました。旦那様」

セドリックは、深々と、頭を下げ。
ラヴィニスは、深いため息をついた。