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2章
疑問
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「思い出せ!少しでもいい俺の事を思い出せ!ミズキ!!」
去り際に言ったジェリドの言葉が心を刺します。
『覚えていますよ。ジェリドさん・・・私は、あなたをこれ以上巻き込まない事が、この世界で私を助けてくれた貴方への恩返しです。だから・・・・・さよならです』
歩きながらジェリドの言葉を反復する。
でも何故、ジェリドはこうも私に関わろうとするのだろう?親切?いいえ親切なんて言葉では言い表せない。
それとも執着?なのかしら?又は嫌がらせ?な訳無いか?ジェリドさんに限って!
初めて会った時から、ジェリドはミズキに絡んできた。本気で泣かされた事もある。口だけは悪い男だ。よくダリル兄さんは、ジェリドと友達でいられるんだと思った事もあった。私が異世界から来たと分かってからは、物凄く親切にしてくれた。
最初はいこごちが悪かったが・・・・。
あれが、本当のジェリドさんなのだろう。
それにダリル兄さんに聞いたけどジェリドは二刀流だとか?
なぜだとかと疑問符が付くのは一度もジェリドの剣技を見た事が無かったから、それにあのモジャモジャ髭、私が何度言っても剃ってくれなかった・・・かっこいいと思っているのかしら?
それに、ダリル兄さんの妹のアイシャちゃんにデレデレと腕を組んで、鼻の下伸ばして歩いちゃって・・・女たらし!!のバカ!
なんか段々腹が立ってきたわ。胸がムカムカする。
「ジェリドさんのバカ!」
「誰がバカだって?ミズキ」
「女たらしのジェリドさんにきま・・・・って・・ます・・よ・・・ジェリドさん・・・どうして・・・まだ・・・ここに」
ジェリドの姿を確認すると 、ミズキの顔が見る見る青くなってきた。
反対にジェリドの方は、イタズラが成功した子供のように人の悪い笑顔になっている。
「いるのかって?・・・やっぱり、覚えていたなミズキ!危うくまた騙されるところだったよ」
なぜこうもタイミング良く現れるかな?
「俺がここに居るのがそんなに不思議か?ミズキ!」
ジェリドに腕を掴まれそのまま、王宮の奥まった一角の、さらに奥の薬師のイオルの実験室&部屋のこじんまりとした家に着いた。
「部屋を借りるぞ」
「どの部屋でも使え!」イオルが答えた。
温室にいるイオルに声をかけたジェリドはそのまま家の中に入って行った。
いつの間にこいつらは仲良くなったにだろうか?などと考えていたら、「今度こそ、話して貰うぞミズキ」と言ってテーブルにミズキを座らせて、ジェリドはミズキの隣に座った。
腕を引っ張られていたせいか?背中が痛い。
「・・・話すまで、ここから出ていけると思うなよミズキ」
唸るようなジェリドの声に、掴んだままのジェリドの手に、もう逃げ道がない事をミズキは理解した。
少しの沈黙に、やっとミズキは話し始めた。
「・・・・何が知りたいのですか?ジェリドさん」
「全部に決まっているだろう?」
「全部ですか」
ミズキはため息をついた。
「お金と権力が欲しかった私は、ダリル兄さんとジェリドさんを捨てて、ランスロットの愛人になり、今や、蝶よ、花よの生活を送っています。めでたし、めでたし!これが全てです。いい加減にしないと、衛士を呼んで!投獄しますよ、ジェリドさん」
ミズキは目を伏せる。
ミズキはジェリドを見る事が出来なかった。
ジェリドの目を見たら全て話して楽になりたくなる。
そう言えば、いつもジェリドに感情をぶつけてきた。心の奥底にある気持!元の世界に帰りたい気持をいつも受けてめてくれた。
ダリルではなく、ジェリドに!
「・・・どうしてもお前は、本当の事を話してくれないんだな?よく分かったよ、ミズキ・・・」
ジェリドはミズキの腕を掴んでいた手を離した。
「コレは、俺が仕入れた情報だ・・・・お前がおかしい行動をし始めたのは、お前の目が見えるようになってからだ。その頃は、ランスロット陛下が、即位してばかりの時だったな!
お前もギルドのミルディンと一緒になって俺をはめたよな!頭に血が上った俺はまともな判断ができなかった。
ここまでは合ってるよな?」
「・・・・・」
ジェリドは、ミズキの反応を見て、フッと笑った。
ミズキの顔が真っ青で、ハイと言っているようなものだった。
更に、ジェリドは話を続けた。
「だがどうしてお前は、そんな事までして俺やダリルから離れなければいけなかったかという事!それは、ここからは俺の考えだが、お前は、ランスロット陛下に俺とダリルの命を盾に脅された。違うか?」
ミズキは俺の言葉に震えるように左右に首を振った。無意識に首を振っているのだろう。
俺は確信した。この推理は正解だと。
「・・・バカな事を言わないで・・・どうして私がそんな事のために脅されなくちゃいけないのよ・・・話にならないわ」
立ちあがろうとするミズキを俺は無理やり腕を掴んで座らせた。
「ミズキ、まだ、話は終わっていない、それに今、立ちあがって俺から離れる事は、俺の推理は正しかったと言っている様なものだぞ!」
「そんなことない!」
ミズキは叫んだ。そして部屋を走って逃げて行った。
俺は、今のミズキで確信した。だってそうだろ?ミズキ!5年だぞ5年、とうとう突き止めた。どうしてお前が突然変わってしまった理由を!
去り際に言ったジェリドの言葉が心を刺します。
『覚えていますよ。ジェリドさん・・・私は、あなたをこれ以上巻き込まない事が、この世界で私を助けてくれた貴方への恩返しです。だから・・・・・さよならです』
歩きながらジェリドの言葉を反復する。
でも何故、ジェリドはこうも私に関わろうとするのだろう?親切?いいえ親切なんて言葉では言い表せない。
それとも執着?なのかしら?又は嫌がらせ?な訳無いか?ジェリドさんに限って!
初めて会った時から、ジェリドはミズキに絡んできた。本気で泣かされた事もある。口だけは悪い男だ。よくダリル兄さんは、ジェリドと友達でいられるんだと思った事もあった。私が異世界から来たと分かってからは、物凄く親切にしてくれた。
最初はいこごちが悪かったが・・・・。
あれが、本当のジェリドさんなのだろう。
それにダリル兄さんに聞いたけどジェリドは二刀流だとか?
なぜだとかと疑問符が付くのは一度もジェリドの剣技を見た事が無かったから、それにあのモジャモジャ髭、私が何度言っても剃ってくれなかった・・・かっこいいと思っているのかしら?
それに、ダリル兄さんの妹のアイシャちゃんにデレデレと腕を組んで、鼻の下伸ばして歩いちゃって・・・女たらし!!のバカ!
なんか段々腹が立ってきたわ。胸がムカムカする。
「ジェリドさんのバカ!」
「誰がバカだって?ミズキ」
「女たらしのジェリドさんにきま・・・・って・・ます・・よ・・・ジェリドさん・・・どうして・・・まだ・・・ここに」
ジェリドの姿を確認すると 、ミズキの顔が見る見る青くなってきた。
反対にジェリドの方は、イタズラが成功した子供のように人の悪い笑顔になっている。
「いるのかって?・・・やっぱり、覚えていたなミズキ!危うくまた騙されるところだったよ」
なぜこうもタイミング良く現れるかな?
「俺がここに居るのがそんなに不思議か?ミズキ!」
ジェリドに腕を掴まれそのまま、王宮の奥まった一角の、さらに奥の薬師のイオルの実験室&部屋のこじんまりとした家に着いた。
「部屋を借りるぞ」
「どの部屋でも使え!」イオルが答えた。
温室にいるイオルに声をかけたジェリドはそのまま家の中に入って行った。
いつの間にこいつらは仲良くなったにだろうか?などと考えていたら、「今度こそ、話して貰うぞミズキ」と言ってテーブルにミズキを座らせて、ジェリドはミズキの隣に座った。
腕を引っ張られていたせいか?背中が痛い。
「・・・話すまで、ここから出ていけると思うなよミズキ」
唸るようなジェリドの声に、掴んだままのジェリドの手に、もう逃げ道がない事をミズキは理解した。
少しの沈黙に、やっとミズキは話し始めた。
「・・・・何が知りたいのですか?ジェリドさん」
「全部に決まっているだろう?」
「全部ですか」
ミズキはため息をついた。
「お金と権力が欲しかった私は、ダリル兄さんとジェリドさんを捨てて、ランスロットの愛人になり、今や、蝶よ、花よの生活を送っています。めでたし、めでたし!これが全てです。いい加減にしないと、衛士を呼んで!投獄しますよ、ジェリドさん」
ミズキは目を伏せる。
ミズキはジェリドを見る事が出来なかった。
ジェリドの目を見たら全て話して楽になりたくなる。
そう言えば、いつもジェリドに感情をぶつけてきた。心の奥底にある気持!元の世界に帰りたい気持をいつも受けてめてくれた。
ダリルではなく、ジェリドに!
「・・・どうしてもお前は、本当の事を話してくれないんだな?よく分かったよ、ミズキ・・・」
ジェリドはミズキの腕を掴んでいた手を離した。
「コレは、俺が仕入れた情報だ・・・・お前がおかしい行動をし始めたのは、お前の目が見えるようになってからだ。その頃は、ランスロット陛下が、即位してばかりの時だったな!
お前もギルドのミルディンと一緒になって俺をはめたよな!頭に血が上った俺はまともな判断ができなかった。
ここまでは合ってるよな?」
「・・・・・」
ジェリドは、ミズキの反応を見て、フッと笑った。
ミズキの顔が真っ青で、ハイと言っているようなものだった。
更に、ジェリドは話を続けた。
「だがどうしてお前は、そんな事までして俺やダリルから離れなければいけなかったかという事!それは、ここからは俺の考えだが、お前は、ランスロット陛下に俺とダリルの命を盾に脅された。違うか?」
ミズキは俺の言葉に震えるように左右に首を振った。無意識に首を振っているのだろう。
俺は確信した。この推理は正解だと。
「・・・バカな事を言わないで・・・どうして私がそんな事のために脅されなくちゃいけないのよ・・・話にならないわ」
立ちあがろうとするミズキを俺は無理やり腕を掴んで座らせた。
「ミズキ、まだ、話は終わっていない、それに今、立ちあがって俺から離れる事は、俺の推理は正しかったと言っている様なものだぞ!」
「そんなことない!」
ミズキは叫んだ。そして部屋を走って逃げて行った。
俺は、今のミズキで確信した。だってそうだろ?ミズキ!5年だぞ5年、とうとう突き止めた。どうしてお前が突然変わってしまった理由を!
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