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1章
護衛3
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公爵家の一室
「おじいさま、お久しぶりです」
「元気で、やっているようだね、ランスロット」青年に向かってニコリと笑った。
「はい、おじいさまも、お元気そうで」
「ランスロット、少し、おいたが過ぎるんじゃないか?小うるさい虫供を、引き連れてきおって」
「おじいさまには、護衛が付いているではありませんか、それに、実力を見ないで、おじいさまの護衛は任せられませんよ」
「ほほう、お前も言うようになったの!それで、儂の護衛は合格か?ランスロット」
「ええ、思った以上に役に立つ護衛ですね、女を抱きかかえて、4人相手に、素手から、相手の剣を奪い、切り刻む!なかなかできませんよ」
「女を抱きかかえて?もしかして、ミズキちゃんの事かの?あの子は目が見えないから、護衛の一人が、よく、そこのバラの庭園で、連れて歩いているのを見かける」
「彼女は、ミズキと言うんですね」
「珍しいな、お前が人に興味を持つなんて」
「おじいさまこそ、あの子にを気に入っていると、メイド達が、口を揃えていていますよ」
「あの、おしゃべりどもめ」
「どこが気に入ったんですか?おじいさま」
「市井の子にしては教養があり、第一素直な子でな、一番気になったのはこれじゃ」
公爵は引き出しから一個の懐中時計を出した。
「それは、最新式の時計ではないですか、しかもこの国で2つしかない」
「そう、 不幻の谷で見つかった時計を5年かけて、解読し、新たに作った懐中時計を、あのお嬢ちゃんは見て、いや、触っただけだな?なんて言ったと思う、「ゼンマイ仕掛けの時計ですか?古風ですね」と言ってきたよ、この機械が、懐中時計でゼンマイで動くのをあの子は知っていた。しかも、『古風』ときたものだ!面白くないかい?」
「確かに、不思議ですね、その知識をどこで手に入れたんでしょうね?」
「儂も、気になってな」
「今晩の晩餐が楽しみですね」
「あぁあ楽しみじゃの」
コンコンと部屋をノックする音がして、ドアが開いた、家令の、リューモスが入ってきた。
「旦那様、晩餐会の用意が出来ました」
「ランスロット、わしはマグルタを連れて行くので、少々遅れる、先にいててくれ」
「それでは、マグルタおばあ様には、晩餐の時にご挨拶いたします」
「うん、あれも喜ぶ」
「それでは、後で、おじい様」
「うむ」
「リューモス、案内を頼む」
「かしこまりました、ランスロット殿下」
~~~~~
彼女!いいや、ミズキを初めて見たのは。
廊下を歩いている時だった、白いワンピースを着た女が壁に手をついて、きょろきょろと、周りをうかがっていた。
彼女は、首を傾げたり、にやけたり、耳に手をやり、遠くの音でも聞いているようなかっこをしたり、少しの間、じっと彼女を見ていた。最後に彼女は不安そうな顔になったので、声を掛けた。と言うか「クスクス」と笑ったふりをした。
そうしたら、嬉しそうに「いたーーーー!人がいたーーー!」なんて、僕を驚かせた、あんな大声で叫ぶ女性は見た事がなかった、実に面白い!
「君は、人を探していたのかい?それより君の顔は面白いね、クックックッ!!」本当に可笑しくて、つい本音が出てしまった。
彼女は面白くなかったようで、ふてくされた顔で、「笑うのは結構ですけど、教えてください、ここはどこらへんですか?わたし、護衛の休憩所まで行きたいのですが!護衛の方ですよね?」なんて言ってきた。この僕を、護衛の一人と勘違いをしている様だった、まあ、彼女に付き合うのも悪くないと、思った僕は、
「護衛の休憩所ね~、良いよ、案内してあげる」なんて、場所も分からない休憩所を一緒になって探す事にした。
「ありがとう」なんて言って、僕に騙されている事も知らないで、彼女の素直さが、とても脆く感じ、僕ががこの子を守らないといけないと思った。
僕にむかって手を伸ばしてきた時は、さすがの僕も、どうして良いか分からず、されるがままになかった。
「君は、何をしたいんだい?」と聞いたら、彼女は「何って、顔を触るんですよ」と言って、平然と僕の顔を、ペタペタと触りだした。普段の僕なら、こんな事をされたら、不愉快で彼女の手を払っていただろう。
でも、どうしたことだろう、ぜんぜん不愉快にはならなかった。
むしろ、触れる手の暖かさに、ホッとした感情が、湧き上がってくる。
彼女は、僕の知っている、令嬢たちとは、一味も二味も違い、とても新鮮だった。
彼女に「これで・・何が・・・わかるんだい?」なんて、どうでも良い事を聞くと、さらに彼女は「あぁあ、手で、顔を触ることで、どんな人か少しだけ分かりますよ!信じてませんね!!」疑いの顔を向けてくる。
このタイミングで、疑うなんてと、思ったら、可笑しくて可笑しくって。
僕が悪党なら、護衛の休憩所など行かず、君を袋にでも詰めて、今頃は、馬車の中だよ。
本当に困ったお嬢さんだ。
僕の考えなど分からない彼女は、そのまま話をつづけた「あなたは、身なりを凄く気にする人で、結構なお金持ちで、人が困っているのに黙って見ている人!!違いますか?」
大体合っているので、「へぇー良くわかるんだね?」なんて答えたのがいけなかった。
「やっぱり、困ってる人を黙って見ている人なんですね!!結構・・・外道ですね・・」
『外道』って、ひどい言われようだ・・・
彼女は僕を困らせる事に関しては、最強のようだ。
遠くから、彼女を呼ぶ声がした。知っている人の声だったのだろう、花が、ほころぶような笑顔をしていたのが無性に悔しかった。いいや、その笑顔が僕に向けばいいとさえ思っている。
「君は、そんな風に笑うんだな・・・・」
さっきの、楽しさや面白さが、一気に僕の心から、消えていった。
そして、僕は、彼女からそっと、消えた。
この後、僕が護衛の腕試し用に放った、チンピラに彼女が、巻き込まれるとは、思いもよらなかった。
「おじいさま、お久しぶりです」
「元気で、やっているようだね、ランスロット」青年に向かってニコリと笑った。
「はい、おじいさまも、お元気そうで」
「ランスロット、少し、おいたが過ぎるんじゃないか?小うるさい虫供を、引き連れてきおって」
「おじいさまには、護衛が付いているではありませんか、それに、実力を見ないで、おじいさまの護衛は任せられませんよ」
「ほほう、お前も言うようになったの!それで、儂の護衛は合格か?ランスロット」
「ええ、思った以上に役に立つ護衛ですね、女を抱きかかえて、4人相手に、素手から、相手の剣を奪い、切り刻む!なかなかできませんよ」
「女を抱きかかえて?もしかして、ミズキちゃんの事かの?あの子は目が見えないから、護衛の一人が、よく、そこのバラの庭園で、連れて歩いているのを見かける」
「彼女は、ミズキと言うんですね」
「珍しいな、お前が人に興味を持つなんて」
「おじいさまこそ、あの子にを気に入っていると、メイド達が、口を揃えていていますよ」
「あの、おしゃべりどもめ」
「どこが気に入ったんですか?おじいさま」
「市井の子にしては教養があり、第一素直な子でな、一番気になったのはこれじゃ」
公爵は引き出しから一個の懐中時計を出した。
「それは、最新式の時計ではないですか、しかもこの国で2つしかない」
「そう、 不幻の谷で見つかった時計を5年かけて、解読し、新たに作った懐中時計を、あのお嬢ちゃんは見て、いや、触っただけだな?なんて言ったと思う、「ゼンマイ仕掛けの時計ですか?古風ですね」と言ってきたよ、この機械が、懐中時計でゼンマイで動くのをあの子は知っていた。しかも、『古風』ときたものだ!面白くないかい?」
「確かに、不思議ですね、その知識をどこで手に入れたんでしょうね?」
「儂も、気になってな」
「今晩の晩餐が楽しみですね」
「あぁあ楽しみじゃの」
コンコンと部屋をノックする音がして、ドアが開いた、家令の、リューモスが入ってきた。
「旦那様、晩餐会の用意が出来ました」
「ランスロット、わしはマグルタを連れて行くので、少々遅れる、先にいててくれ」
「それでは、マグルタおばあ様には、晩餐の時にご挨拶いたします」
「うん、あれも喜ぶ」
「それでは、後で、おじい様」
「うむ」
「リューモス、案内を頼む」
「かしこまりました、ランスロット殿下」
~~~~~
彼女!いいや、ミズキを初めて見たのは。
廊下を歩いている時だった、白いワンピースを着た女が壁に手をついて、きょろきょろと、周りをうかがっていた。
彼女は、首を傾げたり、にやけたり、耳に手をやり、遠くの音でも聞いているようなかっこをしたり、少しの間、じっと彼女を見ていた。最後に彼女は不安そうな顔になったので、声を掛けた。と言うか「クスクス」と笑ったふりをした。
そうしたら、嬉しそうに「いたーーーー!人がいたーーー!」なんて、僕を驚かせた、あんな大声で叫ぶ女性は見た事がなかった、実に面白い!
「君は、人を探していたのかい?それより君の顔は面白いね、クックックッ!!」本当に可笑しくて、つい本音が出てしまった。
彼女は面白くなかったようで、ふてくされた顔で、「笑うのは結構ですけど、教えてください、ここはどこらへんですか?わたし、護衛の休憩所まで行きたいのですが!護衛の方ですよね?」なんて言ってきた。この僕を、護衛の一人と勘違いをしている様だった、まあ、彼女に付き合うのも悪くないと、思った僕は、
「護衛の休憩所ね~、良いよ、案内してあげる」なんて、場所も分からない休憩所を一緒になって探す事にした。
「ありがとう」なんて言って、僕に騙されている事も知らないで、彼女の素直さが、とても脆く感じ、僕ががこの子を守らないといけないと思った。
僕にむかって手を伸ばしてきた時は、さすがの僕も、どうして良いか分からず、されるがままになかった。
「君は、何をしたいんだい?」と聞いたら、彼女は「何って、顔を触るんですよ」と言って、平然と僕の顔を、ペタペタと触りだした。普段の僕なら、こんな事をされたら、不愉快で彼女の手を払っていただろう。
でも、どうしたことだろう、ぜんぜん不愉快にはならなかった。
むしろ、触れる手の暖かさに、ホッとした感情が、湧き上がってくる。
彼女は、僕の知っている、令嬢たちとは、一味も二味も違い、とても新鮮だった。
彼女に「これで・・何が・・・わかるんだい?」なんて、どうでも良い事を聞くと、さらに彼女は「あぁあ、手で、顔を触ることで、どんな人か少しだけ分かりますよ!信じてませんね!!」疑いの顔を向けてくる。
このタイミングで、疑うなんてと、思ったら、可笑しくて可笑しくって。
僕が悪党なら、護衛の休憩所など行かず、君を袋にでも詰めて、今頃は、馬車の中だよ。
本当に困ったお嬢さんだ。
僕の考えなど分からない彼女は、そのまま話をつづけた「あなたは、身なりを凄く気にする人で、結構なお金持ちで、人が困っているのに黙って見ている人!!違いますか?」
大体合っているので、「へぇー良くわかるんだね?」なんて答えたのがいけなかった。
「やっぱり、困ってる人を黙って見ている人なんですね!!結構・・・外道ですね・・」
『外道』って、ひどい言われようだ・・・
彼女は僕を困らせる事に関しては、最強のようだ。
遠くから、彼女を呼ぶ声がした。知っている人の声だったのだろう、花が、ほころぶような笑顔をしていたのが無性に悔しかった。いいや、その笑顔が僕に向けばいいとさえ思っている。
「君は、そんな風に笑うんだな・・・・」
さっきの、楽しさや面白さが、一気に僕の心から、消えていった。
そして、僕は、彼女からそっと、消えた。
この後、僕が護衛の腕試し用に放った、チンピラに彼女が、巻き込まれるとは、思いもよらなかった。
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