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真の実力

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『バトルスタート』
 ゲームマスターの掛け声とともに、戦闘が始まる。
 ちなみに僕は今ガンストライク・オンラインというゲームのイベントの真っ只中である。
 チャットを開きパートーナーである宵風に一言言っておく。
「任せたよ」
 この時まだ僕は知らなかった。宵風の本当の実力を。彼女より弱い自分が仕切ってしまっている現状を恥ずかしくなることを。

 戦闘が始まったとはいえ動きはまだない。そろそろ戦場をかき回してやるか。そう息巻いて、開けた土地で敵が来るのを待つ。もちろん相手がスナイパーである事も考えて縦横無尽に駆け回りながらだが。
 ただひたすらに駆け回る。走って走って走って走って。こんな馬鹿な動きをしてるんだから、そろそろ敵が来るだろう。もしくは一発くらい銃弾を打って居場所をばらしてくれるだろう。そんな風に思っていたのだが、
 カン、カン、カン
『フィニッシュ。勝者、チーム風車』
目の前に表示された勝者の文字。そして、その前にいる何もしていない自分自身。何がなんなんだか、
「えっ、うそ。なんで」
 画面の外でクエスチョンマークを浮かべる僕。
「宵風さんに聞けばいいのか」
 チャットを開き、今起こったことを聞く。 
「今のってどうなったの?」
「いいところにいたので倒しました」
「俺の付近に寄ってきてた?」
「全然違うとこにいました」
 ははっ……は?、全然違うとこにいる敵2人をそんなに早く撃破出来るか?一発ごとにリロードされるから、ぴったり二発と他の動作でギリギリだと思うんだけど。
 ましてや、おびき寄せてないんだから敵がどこにいるのか判断つけるの難しいはずだし、近くにいたとしたらスナイパーは不利なんじゃないのか?
「おつかれさまです」
 送られてきたチャットとともに戦場から広場へと戻された。
 ただ走っただけだから、疲れてないんだけど。

 広場に戻ると、スクリーンで見ていた観客の話し声がいたるところから聞こえる。 
「チーム風車って、マジで風車みたいなのいたな」
「いや~風車回ってたね~」
「あのスナイパーどうなってんだ」
「風車www」
 まてまて、言いたいことだらけなんだが。
 まず一回戦目で戦ってたの俺らだけじゃないはずなのになぜ話題が全部俺らなんだ。
 しかも俺の悪口ばっかじゃねーか。今となっては風車とか本当にあってるわ。もう嫌になっちゃうわ。本当。
 ってか、宵風さんって何者なんだよ。仕切ってた俺とかマジでアホな奴じゃねーか
 う~~~~~~
 恥ずかしすぎる。

「宵風さん強すぎません?」
「気づいちゃった?ww」
 う~~~~
 恥ずかしすぎる。
「まっ、次も頑張りましょうや」
 宵風さんからのメッセージ。
「は、はい」
「次も頼んだよ、風車くんww」
 う~~~~
 まじで死にたい。
 チャットの主導権が宵風さんへと入れ替わった瞬間だった。
 これから、どうなるんだよ………

 もちろんこれからどんどん宵風さんがすごいことになる。




追記 すみません、都合上1話の言葉を弓から、銃に変え
   た箇所があります。

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