145 / 325
第5章 クラーレスカ正教国の聖女
第5章第002話 トラーリ・バッセンベル・ガランツ女伯爵
しおりを挟む
第5章第002話 トラーリ・バッセンベル・ガランツ女伯爵
・Side:ツキシマ・レイコ
バッセンベル領ジートミル・バッセンベル・ガランツ元辺境候の娘、トラーリ・バッセンベル・ガランツ様。アトラコムの叛逆未遂の仕置きで家は伯爵に降格となりましたが。ガランツ元辺境候が亡くなったあと、無事爵位を引き継ぐことは出来ました。
条件はいろいろありますが、ネイルコード国では女性でも爵位を引き継ぐことは可能だそうです。
トラーリ様は、春からエイゼル市での研修が待っています。バッセンベル領の代官となる人の家族がエイゼル市に残っているそうで、その奥さんがいろいろとお世話をしているそうです。
彼女とは、アイズン伯爵の屋敷でお会いすることがありました。
「国境での顛末は伺っております。巫女様、ご心労おかけして申し訳ありませんでした」
「悪いのはアトラコム一味だというのは理解しています。トラーリ様が謝られる必要は無いですよ」
「…それでも、父が伏せっていた以上、バッセンベル領貴族のしでかしたことは私にも責任があります」
いきなり謝罪されましたよ。人一倍責任感強い方のようですね。領主の娘として、アトラコムの専横には忸怩たる物があったのでしょう。
「分りました。謝罪は受け入れますので」
切り上げないと話が進まないみたいですからね。
「ありがとうございます… あのアイズン伯爵、ザッコの家族らの墓を参りたいのですが…」
「墓?」
アイズン伯爵とダンテ隊長が、マズイ!って顔をしました。
「あー。アトラコムがですな。ザッコの不始末の処理したという証拠と称して、…ああ…遺体を送りつけてきたんですよ、あの馬鹿は」
ダンテ隊長が若干しどろもどろで説明してくれます。
「…レイコ殿が嫌がるのを分ってやったのか、それとも嫌がらせをしたいのはわし相手なのか。…まぁそれが分ったところで今更何が変わるわけでもあるまいがな。ともかくレイコ殿が不快になることだけは確かじゃからの。母子の方は貴族墓地に丁重に葬ってある」
「あ…あの…申し訳ありません!アイズン伯爵!」
ザッコの件が私に知らされていないことを理解したトラーリ様が、平身低頭です。
「お気遣いありがとうございます、アイズン伯爵。…バッセンベル領で処分されても碌な扱いでは無かったでしょうから。こちらで葬られたのなら、まだずっとマシでしょう」
…向こうでなら打ち捨てられて終わりそうですからね。
「…そう言って貰えると助かる」
私達がダーコラ国に出張っている間に、王都でアトラコム・メペック・モレーロス元伯爵の裁判が実施され、もろもろの証拠によって処刑が決定。私が帰ってくる前に執行されていたそうです。
処刑はだいたい罪人用の墓地で行なわれるそうです。掘られた縦穴の上に絞首刑の台が組まれて執行。死んだらそのまま墓穴に落されて埋められて終わり…だそうです。 死後に遺体を引き取る家があるのならまた違うそうですが、今回はお家断絶ですからね。引取りを申し出た親族もいなかったそうです。
処刑を見世物にするようなことは、ネイルコード国ではほとんどしないそうです。公開処刑は、民に多大な損害を与えたような場合に行なわれるだけだとか。例えば、大量殺人とか放火で街を燃やしたとかがそれにあたりますね。
今回も、処刑の許可を出したクライスファー陛下にカステラード軍相、バッセンベル領新領主のトラーリ様、司法関係者、この程度が見届け人として参列します。
アトラコムは最後まで命乞いしていたそうですが。
「いろいろ言いたいことはありますが、あなたが病床の父に代わりバッセンベル領を切り盛りしていたのは確かでしょうね」
「なっ! ならばっ!」
「…もしあなたがザッコの妻と幼い子供を見逃していれば、私も助命嘆願したかもしれませんね。彼女らの処刑にあなたは立ち会ったと聞きます。彼女はあなたに命乞いをしなかったのですか? せめて子供だけはとは言わなかったのですか?」
こうトラーリ様が言うと、アトラコムは観念したのか何も言わなくなったそうです。
「…今度はあなたの番です」
アトラコムの嫡子であるモンテスは、結局ダーコラ国から戻って来られませんでした。
モンテスに同行していた貴族子弟も骨折で歩けなくなっている者が多いため、奴隷としての価値も無く。彼らの略奪に対する補償金がネイルコード国から支払われたこともあって身代金を取る必要も無くなり。全員が賊として処刑されたそうです。
補償金が支払われたことでそれを身代金と見なして返還という話も、ダーコラ国側から持ちかけられていたそうですが、この件に対するクライスファー陛下の怒りは収まらず「ご配慮に感謝するも、無用に願いたい」という返事がなされたとか。
本来は、この叛逆はバッセンベル領の罪と言うことで、トラーリ様の父親であるジートミル前辺境候が処罰されるところでしたが判決前に病没、代わりに次期領主のトラーリ様が代わりに処刑…ってのはいくら何でも不憫ですので、カステラード殿下が私の恩赦ということで手を回しました。前領主の喪が明けたら、エイゼル市で領主としての勉学予定です。
「ジートミル様は残念でしたね」
「ありがとうございます。巫女様にそう言っていただければ父も喜んでいるかと…父ももっと素直になっていれば、生きている内にアイズン伯爵やレイコ様ともいろいろ話せたと思うのですが…」
「武威で領主にまでなった彼奴からすれば、わしは姑息な手を使って街を大きくしているように見えたんじゃろうな」
「…いえ。父が読んでいたエイゼル市についての報告は結構詳細なものでしたよ。それを読んで一度、自分には出来ないなと洩らしたことがありましたが…」
「ジートミル卿がか?」
「はい。おそらく内政という枠では伯爵に敵わないことは認めていたようです」
「ふむ…彼奴がの…」
「案外、互いの得手不得手を認めて話をしていたら、意気投合していたかもしれませんね」
「そう言われると。亡くなられる前に一度話をしてみたかったの…」
「…多分、父もそう思っていたかと」
伯爵への毒殺未遂は、毒の仕入れをしていた商会までは判明したそうですが、誰が指示して実行したのかまだ不明だそうです。
その商会から毒を買っていた貴族がそこそこの数おりまして、そのことも事件をややこしくしているのですが。
ただ、こうなってくると先代辺境候が指示したとも思えず。一番妖しいアトラコムはすでに墓の下。調査は今後も続行されるそうですが、容疑者が多すぎて迷宮入りしそうですね。難儀な話です。
「トラーリ嬢。ともかくあなたが次の領主じゃ。この街でしっかり学んで、バッセンベルをより豊かに盛り立てて欲しい。それがジートミル卿への供養にもなるじゃろう」
「はい。ご指導よろしくお願いいたします」
「ふふふ。任せておきなさい。なに三年もあれば王国の政にも口が出せるくらいにはして差し上げよう」
あの恐い笑顔でニヤッと笑うアイズン伯爵でした。ほら、トラーリ様ちょっと引いてますよ?
…その後トラーリ様は、いきなり領庁に放り込まれてブライン様の下に付けられ。午前が文官による領経営に関する講義、午後が実際の書類仕事と外回りというスパルタスケジュールで涙目になるのでした。
・Side:ツキシマ・レイコ
バッセンベル領ジートミル・バッセンベル・ガランツ元辺境候の娘、トラーリ・バッセンベル・ガランツ様。アトラコムの叛逆未遂の仕置きで家は伯爵に降格となりましたが。ガランツ元辺境候が亡くなったあと、無事爵位を引き継ぐことは出来ました。
条件はいろいろありますが、ネイルコード国では女性でも爵位を引き継ぐことは可能だそうです。
トラーリ様は、春からエイゼル市での研修が待っています。バッセンベル領の代官となる人の家族がエイゼル市に残っているそうで、その奥さんがいろいろとお世話をしているそうです。
彼女とは、アイズン伯爵の屋敷でお会いすることがありました。
「国境での顛末は伺っております。巫女様、ご心労おかけして申し訳ありませんでした」
「悪いのはアトラコム一味だというのは理解しています。トラーリ様が謝られる必要は無いですよ」
「…それでも、父が伏せっていた以上、バッセンベル領貴族のしでかしたことは私にも責任があります」
いきなり謝罪されましたよ。人一倍責任感強い方のようですね。領主の娘として、アトラコムの専横には忸怩たる物があったのでしょう。
「分りました。謝罪は受け入れますので」
切り上げないと話が進まないみたいですからね。
「ありがとうございます… あのアイズン伯爵、ザッコの家族らの墓を参りたいのですが…」
「墓?」
アイズン伯爵とダンテ隊長が、マズイ!って顔をしました。
「あー。アトラコムがですな。ザッコの不始末の処理したという証拠と称して、…ああ…遺体を送りつけてきたんですよ、あの馬鹿は」
ダンテ隊長が若干しどろもどろで説明してくれます。
「…レイコ殿が嫌がるのを分ってやったのか、それとも嫌がらせをしたいのはわし相手なのか。…まぁそれが分ったところで今更何が変わるわけでもあるまいがな。ともかくレイコ殿が不快になることだけは確かじゃからの。母子の方は貴族墓地に丁重に葬ってある」
「あ…あの…申し訳ありません!アイズン伯爵!」
ザッコの件が私に知らされていないことを理解したトラーリ様が、平身低頭です。
「お気遣いありがとうございます、アイズン伯爵。…バッセンベル領で処分されても碌な扱いでは無かったでしょうから。こちらで葬られたのなら、まだずっとマシでしょう」
…向こうでなら打ち捨てられて終わりそうですからね。
「…そう言って貰えると助かる」
私達がダーコラ国に出張っている間に、王都でアトラコム・メペック・モレーロス元伯爵の裁判が実施され、もろもろの証拠によって処刑が決定。私が帰ってくる前に執行されていたそうです。
処刑はだいたい罪人用の墓地で行なわれるそうです。掘られた縦穴の上に絞首刑の台が組まれて執行。死んだらそのまま墓穴に落されて埋められて終わり…だそうです。 死後に遺体を引き取る家があるのならまた違うそうですが、今回はお家断絶ですからね。引取りを申し出た親族もいなかったそうです。
処刑を見世物にするようなことは、ネイルコード国ではほとんどしないそうです。公開処刑は、民に多大な損害を与えたような場合に行なわれるだけだとか。例えば、大量殺人とか放火で街を燃やしたとかがそれにあたりますね。
今回も、処刑の許可を出したクライスファー陛下にカステラード軍相、バッセンベル領新領主のトラーリ様、司法関係者、この程度が見届け人として参列します。
アトラコムは最後まで命乞いしていたそうですが。
「いろいろ言いたいことはありますが、あなたが病床の父に代わりバッセンベル領を切り盛りしていたのは確かでしょうね」
「なっ! ならばっ!」
「…もしあなたがザッコの妻と幼い子供を見逃していれば、私も助命嘆願したかもしれませんね。彼女らの処刑にあなたは立ち会ったと聞きます。彼女はあなたに命乞いをしなかったのですか? せめて子供だけはとは言わなかったのですか?」
こうトラーリ様が言うと、アトラコムは観念したのか何も言わなくなったそうです。
「…今度はあなたの番です」
アトラコムの嫡子であるモンテスは、結局ダーコラ国から戻って来られませんでした。
モンテスに同行していた貴族子弟も骨折で歩けなくなっている者が多いため、奴隷としての価値も無く。彼らの略奪に対する補償金がネイルコード国から支払われたこともあって身代金を取る必要も無くなり。全員が賊として処刑されたそうです。
補償金が支払われたことでそれを身代金と見なして返還という話も、ダーコラ国側から持ちかけられていたそうですが、この件に対するクライスファー陛下の怒りは収まらず「ご配慮に感謝するも、無用に願いたい」という返事がなされたとか。
本来は、この叛逆はバッセンベル領の罪と言うことで、トラーリ様の父親であるジートミル前辺境候が処罰されるところでしたが判決前に病没、代わりに次期領主のトラーリ様が代わりに処刑…ってのはいくら何でも不憫ですので、カステラード殿下が私の恩赦ということで手を回しました。前領主の喪が明けたら、エイゼル市で領主としての勉学予定です。
「ジートミル様は残念でしたね」
「ありがとうございます。巫女様にそう言っていただければ父も喜んでいるかと…父ももっと素直になっていれば、生きている内にアイズン伯爵やレイコ様ともいろいろ話せたと思うのですが…」
「武威で領主にまでなった彼奴からすれば、わしは姑息な手を使って街を大きくしているように見えたんじゃろうな」
「…いえ。父が読んでいたエイゼル市についての報告は結構詳細なものでしたよ。それを読んで一度、自分には出来ないなと洩らしたことがありましたが…」
「ジートミル卿がか?」
「はい。おそらく内政という枠では伯爵に敵わないことは認めていたようです」
「ふむ…彼奴がの…」
「案外、互いの得手不得手を認めて話をしていたら、意気投合していたかもしれませんね」
「そう言われると。亡くなられる前に一度話をしてみたかったの…」
「…多分、父もそう思っていたかと」
伯爵への毒殺未遂は、毒の仕入れをしていた商会までは判明したそうですが、誰が指示して実行したのかまだ不明だそうです。
その商会から毒を買っていた貴族がそこそこの数おりまして、そのことも事件をややこしくしているのですが。
ただ、こうなってくると先代辺境候が指示したとも思えず。一番妖しいアトラコムはすでに墓の下。調査は今後も続行されるそうですが、容疑者が多すぎて迷宮入りしそうですね。難儀な話です。
「トラーリ嬢。ともかくあなたが次の領主じゃ。この街でしっかり学んで、バッセンベルをより豊かに盛り立てて欲しい。それがジートミル卿への供養にもなるじゃろう」
「はい。ご指導よろしくお願いいたします」
「ふふふ。任せておきなさい。なに三年もあれば王国の政にも口が出せるくらいにはして差し上げよう」
あの恐い笑顔でニヤッと笑うアイズン伯爵でした。ほら、トラーリ様ちょっと引いてますよ?
…その後トラーリ様は、いきなり領庁に放り込まれてブライン様の下に付けられ。午前が文官による領経営に関する講義、午後が実際の書類仕事と外回りというスパルタスケジュールで涙目になるのでした。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます
兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる