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第4章 エルセニム国のおてんば姫

第4章第025話 戴冠式も終わって…

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第4章第025話 戴冠式も終わって…

・Side:ツキシマ・レイコ

 ダーコラ国王が降伏受諾してから一月経ちました。忙しかったですよこの一ヶ月。

 まず、王都周辺での大量の奴隷の調査です。
 奴隷と言っても、鎖に繋いで鞭打っての重労働とかではなく、衣食住だけ保証した給料の要らない従業員ですね。要は合法的な社畜です。
 この辺はギリシャ時代の奴隷制度に似ていますか。むしろ人質を取られて戦わされていたエルセニム人兵士達の処遇が異常だったのです。黒人の家政婦なんてのが昔のアメリカのイメージにありますが、そんな感じの方が多いようです。
 奴隷を買うにもお金が必要です。それも結構な費用がかかります。労働力として買った訳ですから、早々に使い潰すなんてことはしません。ただまぁ、この辺の待遇は所有者によってだいぶ差があるようで。従業員として普通に扱っているところから、家畜同然に扱っているところまで、様々なようです。

 ダーコラ国府から奴隷解放が市井にも発布されました。比較的まともな所有主でも、最初は財産権を盾に奴隷解放をごねましたが。新法令の発布と、継続して雇用したい場合には人並みの待遇と給与を支払うことという内容、及び違反した場合の罰則を知るに、能力のある奴隷には頭を下げて改めて従業員として残って貰うという光景がそこかしこで見られました。まぁまともに雇用したより安い労働力ということでの奴隷でしたので、その分の損切りは被っていただきましょう。このへんはまだマシな事例ですね。
 この発布を知った奴隷に袋だたきに遭った所有主も結構います。まぁ普段の行いの結果ですから、殺してしまわなければ黙認されてるようです。自業自得ですね。
 他の街や領へも調査は出す必要がありますし。故郷に帰ることを臨む人、その職場をとにかく離れたい人。そういった人へのサポートも必要です。もともとダーコラ国には奴隷を管轄する省があったのですが、いまは奴隷解放省として大忙しです。

 ただ、エルセニム人で奴隷だった人は基本的に帰国推奨です。見た目ですぐエルセニム人だと分りますし、差別意識はすぐには消えませんし、逆恨みではありますが今回の政変で確執を持つ人は少なくありません。ダーコラ国に置いとくのは危険だろうという判断ですが。


 「…というわけで。一度マーリア様に彼らを説得していただきたいのですが…」

 エルセニム人奴隷をどうしても引き渡さない商会が王都に一つあるとのことで、説得にマーリアちゃん呼ばれ、私も一緒に赴くことになりました。
 また嫌な話か…と思いきや、当人らから話を聞くに全くその逆でして。
 跡取りの息子を若くして亡くした商会の老夫婦が、奴隷として売られていたエルセニム人の若い夫婦を不憫に思って、二人とも買い取ったそうです。その後は商売についてもいろいろ手ほどきされて、二人は商会にとっても居なくてはならない人材となりました。
 そのエルセニム人夫婦には子供も生まれた上に、老夫婦に恩を返したいし見捨ててここを去ることなんて出来ないと解放を望まず。老夫婦も、すでに我が子同然の夫婦は当然として孫同然の子とも別れがたく。どうしたもんだ?と言うことで、調査していたネイルコード国の騎士からマーリアちゃんにお呼びがかかりました。

 「私としては反対したくないんだけど。この国でエルセニム人が商売するのは、しばらく難しいと思うわよ」

 王族であるマーリアちゃんに言われては、そのエルセニム人夫婦も断れないのでしょうが。別れがたいからと逆にダーコラ人をエルセニム国に連れていくのも不安があります。
 私がこの件をアイズン伯爵に相談したところ、彼らにえらく感銘を受れられまして、エイゼル市に揃って移らないか?という提案をしてくれました。主従交えていろいろ話し合われた結果、老夫婦は商会の資産を処分してエイゼル市に移り住むこととなり。エルセニム人の夫婦は一旦エルセニム国に帰国して残っている親や親類を説得した後にエイゼル市に移住、老夫婦の資産を元手にネイルコード国で起業し同居を続ける…という形に収まったそうです。
 …まぁダーコラ国にも悪い人ばかりでは無いと言うことで。ちょっとホッとしました。…エイゼル市の利益になるとニヤっと笑っているアイズン伯爵の方が悪人に見えます。



 クズおっさん王子に捕われていた女性達ですが。ちょっと事情が複雑です。
 親や親族に売られた人と、借金が返せずに奴隷に身を落した人が8割ほど。…酷な言い方ですが、これらはダーコラ国では合法ですし。犯罪者の強制労働と債務返済のための強制就労、いわゆる犯罪奴隷と借金奴隷の制度は、待遇等の監視は必要でしょうが刑罰として今後も無くすことも出来ません。冤罪や詐欺、借金契約や利率など再調査はされますけどね。
 残りの女性は、強制的に奴隷とされた者、つまり見た目が気に入られて"徴発"されたという扱いですね。やっている事は拉致誘拐ですが。この辺は、指示していたのがクズおっさん王子ということで不問にされていましたが、本来はダーコラ国でも違法です。

 取り巻きの護衛騎士についても調査がされまして。拉致に関与した者、止めようとした親族に暴力を振るった者等。程度の差はあれもれなく犯罪者として扱われます。
 クズおっさん王子と取り巻き騎士の財産は没収の上、護衛騎士の地位も剥奪、一兵卒に降格です。放逐しないのか?と思ったのですが、そのまま放り出すと治安が悪くなるとの理由でした。そもそもクズおっさん王子の命令ということと、もともと身分による免責の法律があったので、ここが限界です。
 護衛騎士ともなれば家があるのはあたりまえですが。離婚や絶縁の処理の後に分与された財産を押収です。家から丸ごと取ってしまっては連座になってしまいますからね。老人女性子供をいきなり路頭に迷わすことは望みません。
 ちなみに、その能力で残留を求められる元奴隷というのには軍の兵士にもいまして、昇進した上で軍に残ることになった人も多いそうですが。そういった所に一兵卒として放り込まれるのです。せいぜい揉まれて下さい。

 押収した財産ですが。王子の分だけでもかなりな額ですし、この国で奴隷として辛酸を舐めたのは彼女らだけではありません。王や宰相の財産も清算されて、それらの助成に充てられる予定です。それでも、合法的な奴隷だった女性でも借金を清算して新しい人生を始めるのに十分な額が支給されました。
 …元の街や村に帰りたがる人は少ないですね。帰ったところで、それまでどういう所に居たのかはなんとなくでバレてしまう物です。家族の元に戻る人はわずかで、自分を知っている人のいない新しい土地での新生活を望む人がほとんどでした。この辺は人それぞれです
 ネイルコード国から拉致された少女は、家族には会いたがっていましたが、元の街にはもう住み辛いとのことで。アイズン伯爵の取り計らいでエイゼル市に住むことになりました。ご家族は、旅行にかこつけてエイゼル市に会いに連れてこられることになりそうです。一緒に住むかどうかは会ってからの話し合いとなりますが。


 オルモック将軍やハルバニ外相を始め、ダーコラ国の貴族にも思ったよりまともな人が残っており、新政府の組閣もなんとかまとまりました。
 それでもまだ不満を持つ領主貴族も多いでしょうし、正教国からの干渉は必至です。前途は多難ですが、うまくいってほしいものですね。


 港町バトゥーを拠点に、ネイルコード国との交易もすることになりました。
 ネイルコード国側からは食料や街道敷設等に使う工具類などが販売されます。ダーコラ国でないと取れない作物も多いそうですが、輸出より収穫量を増やす農業改革が先だと、アイズン伯爵がぼやいております。
 アイズン伯爵とエルセニム国の文官とも話しで、北の方に有望なマナ鉱床があるという話が出てきまして。そもそもエルセニム国ではそんなに量が必要とされていなかったことと魔獣由来のマナ塊の方で事が足りていたため、ほとんど手を付けられていなかったそうです。それを聞いたアイズン伯爵の目がキラリと光ります。再度、詳しい調査採掘のための費用提示をしていました。将来的に有望な交易品ですね。

 経済規模からしてしばらくは不均等な貿易となりますが、なるべく早く是正されるように産業にも口を出していくそうです。

 「ダーコラ国が市場としてネイルコードから物を買えるくらい豊かになって貰えば、搾取するだけより遙かに儲かる」

 アイズン伯爵の言です。さすが、経済が分っております。



 最後に、テオドール様の戴冠式です。
 即位の布告から一ヶ月でというのも異例の速さですが。ダーコラ国王族でもあるローザリンテ殿下がいるうちにということと、正教国が干渉してくる前に急いでということですね。

 今までの戴冠式では、正教国から高位の祭司が招かれて行なっていたのですが。なんと今回は私がやることになりました。ますます正教国に喧嘩売っていきますね、ローザリンテ殿下も。
 ダーコラ国の教会は、この事で分裂しました。正教国をおざなりにする新国体に憤慨して正教国に帰る者。本物のレッドさんを目前にして信仰を新たにする者。その二派の間で日和見する者、等々。
 残った祭司達は比較的協力的で、このおかげで戴冠式もなんとか執り行うことが出来たわけですが。準備と練習の間にも一部の祭司から、正教国に来ないですか、いや来るべきだ、等々とうるさかったですね。祭司と教会所属の騎士合わせて五名ほどが骨折することになりました。

 教会に用意されていた一番豪華な祭司服が私用に寸法を詰められて、それを着て戴冠式に挑みます。
 私にサイズを合わせたら再利用できないですよ?良いんですか? え?巫女様が着た服だからそのまま保存する? さいですか。

 王城の敷地の中央にそびえ立つ教会の礼拝堂。居並ぶ重鎮と貴族達。もちろん、来なかった貴族は今後マークされます。
 私に背を向けたテオドール様が膝をつき、後ろから私が王位を現わすでかいゴルゲットを首に回して付けるわけです。…膝をつかれても、身長差でちょっと難しかったですね。台座、用意してもらいました。
 ゴルゲットを付けたテオドール"陛下"が私の方に向き直り、再度膝をついて礼をします。そこで私が抱えたレッドさんが、その頭に手を置いて祝福するわけです。

 「クックッ! クーッ!」

 あの小竜神の祝福です。宗教的にも、これ以上の戴冠式はないでしょうね。会場が歓声に包まれます。



 そのあとすぐに、ネイルコード国とエルセニム国との国交樹立式となります。

 「まずは、長年にわたるエルセニム人への迫害、ダーコラ国国王としてエルセニム国に謝罪する」

 テオドール陛下が、参列していたアトヤック殿下に頭を下げます。
 練習時には、戴冠直後にここまでしていいのかな?とは思ったのですが。エルセニム人への偏見と奴隷制度を撤廃するには、トップがこれくらい罪悪感を感じているのだと示した方が良い…とテオドール陛下自らの提案です。

 「恨みが無くなったとは言えないが。今ここにおられるダーコラの歴歴方に責任があるとは思わない。それでも罪悪感を感じると仰るのなら、今後の両国の繁栄に尽力することで還していただきたい」

 「承知した。共に繁栄を模索していこう」



 さて。戴冠式も終わって、やっとネイルコード国に帰国する準備となります。

 マーリアちゃんとアトヤック殿下は、エルセニム国に引き上げました。…もうちょっとしんみりしたお別れかと思ったのですが。なんかにこやかでしたね。

 「まぁ、会おうと思ったらすぐに会えるからね。これから交流も増えるだろうし。またねと言っておくわっ!」

 王族が直接交流というのも難しそうで針余すが。まぁ笑顔で「またね」が出来るのなら、それに越したこともありませんか。

 セレブロさんとレッドさんもお別れの挨拶をしています。わたしも最後にセレブロさんをモフモフしておきましょう。

 エルセニム国の内相にあたる方が、長いことアイズン伯爵と会合を行なっていました。すぐにこれだ!という振興策は無いのですが。マナ術の技師をネイルコード国に派遣して、その辺を活用して商業化出来ないか模索することと。エルセニム国の領内での魔獣以外の資源の探索をネイルコード国の技師を派遣して行なうこととなりました。
 私も、マナ塊を直接いじれるというエルセニムのマナ技術には大変興味があります。今後が楽しみですね。



 ローザリンテ殿下がネイルコード国に戻るために、港町バトゥーに戻り。そこからは帰りも船となります。国境の三角州周辺は、街道がまだ整備されていないですからね。陸路の整備も今後の課題です。

 ネイルコード国の護衛騎士達の半分ほどは、オルモック将軍が軍を完全に掌握するまでしばらくダーコラ国に残ります。
 戴冠式に出なかった領持ちの貴族は、ほとんどが正教国国境沿い出身でした。レッドさんが戴冠式を執り行ったと聞いて、釈明の使者を送ってくる貴族が結構いたらしいですが。まぁ今更という気もしますが、なにも反応しないところよりはマシでしょうか。
 まぁ、彼らの立場からすれば、正教国を無視するなんてことも容易くは出来ないでしょう。今のところ、ダーコラ国から離脱を表明した貴族はいないですし、様子見しているのならまだまともにも思います。

 バトゥーの拠点から沖合の船に戻り、出航です! やっとエイゼル市に戻れます!。
 いいかげん、エイゼル市でのんびりしたいところですが。多分アイズン伯爵の奥方を迎えにユルガルムに再度行かないと行けないんだろうな。マルタリクの方も、進捗状況を見ておきたいですし。…まぁ働きますか。

 帆に風をはらんで船は進みます。

 「気持ちいい風よね~。私、帆船の旅大好きだわ。自分で走らなくてもいいし」

 「…マーリアちゃん、なんでここにいるん?」

 出航直前に、マーリアちゃんが乗ってきました。最後のカッターに飛び乗っての乗船です。
 もちろんセレブロさんも一緒。レッドさんを頭に乗せて一緒に風を楽しんでます。

 戴冠式の後、お兄さんと一緒にエルセニム国に帰ったはずなのですが… 

 「私もお父様から大使に任命されたのよ! エルセニム国大使ね!。しばらくファルリード亭にお世話になるわ!」

 「…宿屋を大使館って… それに、せっかくエルセニム国のご家族の元に帰れたのに。いいの?」

 てっきりしばらくのお別れ…と思っていたのですが。

 「まぁ、お父様もお母様も元気だし。お兄様も国に戻ったし。会いたいと思えば陸路でもけっこう早く帰れるしね。ローザリンテ殿下とアイズン伯爵にも許可はいただいているわよ。なにより…」

 「なにより?」

 「エイゼルの街は、食べ物が凄く美味しいしねっ!。昔は気にしたこと無かったけど、エルセニム国は食事がやっぱり地味で…」

 「家族の情より食い気なの?!」

 まさに、胃袋を掴まれていますね。

 「エルセニム国からネイルコード国へ、うちのマナ術師を派遣することになったって聞いたからね。ついでに王宮の料理長も派遣してくれってねじ込んどいたわよ。エルセニム国に本格的に戻るのは、あそこの料理が美味しくなってからかなぁ…」

 頑張れコックさん。王女が戻ってくるかどうかは、あなたの腕前にかかっています!

 「あと。学校に通わせてくれるとアイズン伯爵にも言っていただいたし。レイコも通っているんでしょ?学校」

 「え?私は通わないわよ?」

 ギルドの講習だけですね、私が受けたのは。

 「ん? …私より年下なのにいいの?」

 「あれ?聞いていない? 私、この体の前に別の体で生きていたって」

 「…赤竜神様に復活させてもらったって話は聞いているけど…」

 「前の私、二十五歳」

 「えっ?…えーーーーーっ?!」

 マーリアちゃんの叫びが海上に響きます。私、最高学府卒業してましてよ。

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