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第2章 ユルガルム領へ
第2章第014話 製鉄と石炭
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第2章第014話 製鉄と石炭
・Side:ツキシマ・レイコ
次の日は、小クレーターの方を見学です。こちらは、小ユルガムルと呼ばれている地域だそうです。
クレーターの外輪山部分で鉄鉱石が取れるそうで。横から外輪山を崩すように掘っている場所がいくつか見えています。
意外なのが、クレーターの外の地域から大量の木材が運び込まれていること。これで炭を作って、鉄鉱石の精錬をするんだそうです。
鉄鉱石は酸化鉄なので、製鉄の時に鉄から酸素を剥がすのに炭素が必須だったはず。いわゆる還元ですね。
ここは、マナが熱源としてはメジャーな世界です。エイゼル市の職人街トクマクでも、金属加工時の熱源にはマナが使われていたはずです。でも、製鉄には熱だけでは駄目です。
ここでの製鉄に大量の木材を消費するのが難点で。小クレーターの内側や外輪山にははもう木が無いそうです。いつか外輪山そのものも、削り尽くされるのでしょうか。
「石炭は使わないんですか?」
と聞いてみました。地球での製鉄では、石炭が使われています。億トン単位の鉄を木炭で製鉄なんて無理ですしね。
ただ、この星で石炭が生成されるような時間があったのかな? 大量の植物が生い茂って、なおかつ植物繊維を分解できる菌がいないってのが、石炭の地層を作るのに必要な要因だったような。だからこそ付いた石炭紀の時代名。地球だと三億年くらい昔だったかな?
よくご存じでとウードゥルさん。クレーター中央の丘を指し、
「あそこで石炭が取れるんですが…」
あるんですね、石炭。でもクレーターの真ん中ですか?
ただ、その石炭で鉄の精錬をすると鉄の質が悪くなるとのこと。そう言えば、石炭に含まれる硫黄の成分が、鉄にはよろしくないはず。
他の金属の精錬や、鍛冶の段階では使えるところがあるので、多少は石炭を採掘しているとのことですが。やはり炭の方が鉄の質が良くなるとか。
「石炭をコークスってものにすれば、製鉄に使えるはずなのですが…」
「っ! …その話、詳しく聞かせていただいても?」
硫黄の沸点は四百度程度なので、石炭をそのくらいの温度で蒸し焼きにすると、硫黄が蒸発していきます。これがコークスです。
地球での製鉄も、このコークスで鉄を作っていたはず。
出てきた硫黄の処理とかがまたいろいろ面倒なので、いずれはその辺も対策する必要がありますが。
「石炭の蒸し焼きですが…木材から炭を作るのと原理は似ているような。試してみる価値はありそうですな」
ウードゥルさんが食いついてきます。
「たまたま知っていただけなので。お役に立てば良いのですが」
クレーター盆地周囲の平原は、もともとは杉、樅、カラマツなど、建材にも敵している木が多く生えていたそうですが。炭の生産のためにかなりの広さですでに伐採がされており。植林も多少は行なっているけど、とてもじゃないが追いつかない状態だそうで。もしそれが解消されるのなら、大変にありがたいことだそうな。
もちろん、いきなり試してみることは出来ないので。石炭の加熱温度、加熱時間、実際の鉄の品質なと、これからたくさんの実験が必要ですが。ユルガルム領にとっては、これは大きな光明となる…とのことです。
「…鉄鉱所の責任者…いやサナンタジュは今いるか?」
近くの職員に声をかけています。
サナンタジュさんとは、ここの製鉄関係の技術者で、いわゆる学者だそうです。
学者と翻訳されてはいますが。探求者や知識人という意味で、むしろ賢者の方がニュアンスは近いかも。
「今ここに、サナンタジュという製鉄などの研究をしている者を呼びます。正直先ほどの話は、私では正確に伝えることができるかどうか自信がないもので。できればその者に直接ご教示いただけないでしょうか?」
いきなり化学の先生やることになりました!
来ましたサナンタジュさん。うん、これで白衣を着ていたらいかにも理科の先生という雰囲気のオジサンです。オジサンは失礼かもしれませんが。
石版に炭の棒で書いて、用が済んだら濡れ布で拭く…という感じの筆記具を使っての、即席化学講座が始まりました。
ちなみに、サナンタジュさんの他に、サナンタジュさんのお弟子さん、アイリさん、クラウヤート様、護衛のエカテリンさんも同席しています。私の見学に付き合ってもらってしまいましたが。まぁここで別行動して待っててもしかたないですしね。
講義の内容です。
物質は、原子というものから出来ていることの説明。
基本的な原子の種類。
水や空気の分子の説明。
化学反応の例として、燃えるという現象の説明。
そして酸化鉄の還元。
実証や証明はともかく。化学とはこういうものだということで、三時間くらい質疑応答しながらの講義です。
意外にも、アイリさんやクラウヤート様やエカテリンさんまでついてきていますね。逆に、事ある毎に唸っているのがサナンタジュさんです。
正教的には、気、火、土、水、金属、マナの六元素で全ての物質が出来ていて、あらゆる現象がこれで説明できる…というのが常識だったそうで。いきなり元素が何十にも増えたことに戸惑っています。
ただ。ここでの製鉄という"現象"が、酸化鉄の酸素を炭素に移すことで鉄を取り出すということであり、それできちんと説明できるということに驚いているようです。
すでに常識として持っている知識が邪魔をしているという状態ですか。
「レイコちゃん、太陽も燃えているってことで良いんですか?」
お、クラウヤート様好奇心旺盛です。いきなり核融合に飛躍ですか?
とりあえず。原子も絶対的な物ではなく。さらにばらすことが出来て。水素が四つくっついて別の原子になることで光と熱を出している…という"説明"はしましたが。
まぁ、あくまで触りの知識だけで。実際に証明されるのは何百年の先のことになるだろうとは念押ししましたけど。
「金属というものが、鉄や金銀銅だけではなく、他にもいろんな種類があることは、ワシらは"知っている"が。"同じ金属"なのにそれらが何故違ってくるのかは、六元素ではほとんど説明が出来とらなんだ。気、火、土、水の割合で違う金属になるのだから、鉄から金が作れるはずとかいう話もあるくらいじゃからな。まぁ最初から"同じでない"のなら、さもありなんだわな。ははははは」
おおう、錬金術やっている人もいるようですね。
証拠はなくとも正しいと保証された情報、これをメタ情報と言いますが。今日のこの授業でのメタ情報は、この世界の科学の歴史に結構大きな一歩を記したんじゃ無いでしょうか?
念のため、ウードゥル様に一つお願いしておきます。サナンタジュさんらが教会から異端とされないよう、保護をお願いしたいと。六元素の説明を否定する知識は、この世界では危険視されるかもしれません。
「なるほど。そういうこともあり得るかもしれませんな。ただ、レイコ様がもたらされた知識と言うことならそう邪険にはされないのでは?」
「うーん。正教国の評判を聞くに、その辺の良識はあまり当てにはしていないんです。自分たちの権威のために私を異端扱いする可能性は、けっこうあるんじゃないでしょうか?」
ぶっちゃけ。レッドさんがいるから、今の私は赤竜神の巫女扱いされてるようなものです。
帝国の魔女の話もありますし。レッドさんがいなかったら、私は悪魔の子扱いされていたかもしれません。
考え込むウードゥル様。あり得そうだと判断したらしいです。
「ふむ。…ともかく、当領地での問題の打破に至る知識を戴いたと言う恩もあります。いざというときの彼らの保護はお任せ下さい。最悪、正教国の手の届かないところに逃しましょう」
とりあえず、それでお願いすることにしました。
さて。講義が長引いて、すっかり日も傾いてきました。領主館に戻りましょうか。
・Side:ツキシマ・レイコ
次の日は、小クレーターの方を見学です。こちらは、小ユルガムルと呼ばれている地域だそうです。
クレーターの外輪山部分で鉄鉱石が取れるそうで。横から外輪山を崩すように掘っている場所がいくつか見えています。
意外なのが、クレーターの外の地域から大量の木材が運び込まれていること。これで炭を作って、鉄鉱石の精錬をするんだそうです。
鉄鉱石は酸化鉄なので、製鉄の時に鉄から酸素を剥がすのに炭素が必須だったはず。いわゆる還元ですね。
ここは、マナが熱源としてはメジャーな世界です。エイゼル市の職人街トクマクでも、金属加工時の熱源にはマナが使われていたはずです。でも、製鉄には熱だけでは駄目です。
ここでの製鉄に大量の木材を消費するのが難点で。小クレーターの内側や外輪山にははもう木が無いそうです。いつか外輪山そのものも、削り尽くされるのでしょうか。
「石炭は使わないんですか?」
と聞いてみました。地球での製鉄では、石炭が使われています。億トン単位の鉄を木炭で製鉄なんて無理ですしね。
ただ、この星で石炭が生成されるような時間があったのかな? 大量の植物が生い茂って、なおかつ植物繊維を分解できる菌がいないってのが、石炭の地層を作るのに必要な要因だったような。だからこそ付いた石炭紀の時代名。地球だと三億年くらい昔だったかな?
よくご存じでとウードゥルさん。クレーター中央の丘を指し、
「あそこで石炭が取れるんですが…」
あるんですね、石炭。でもクレーターの真ん中ですか?
ただ、その石炭で鉄の精錬をすると鉄の質が悪くなるとのこと。そう言えば、石炭に含まれる硫黄の成分が、鉄にはよろしくないはず。
他の金属の精錬や、鍛冶の段階では使えるところがあるので、多少は石炭を採掘しているとのことですが。やはり炭の方が鉄の質が良くなるとか。
「石炭をコークスってものにすれば、製鉄に使えるはずなのですが…」
「っ! …その話、詳しく聞かせていただいても?」
硫黄の沸点は四百度程度なので、石炭をそのくらいの温度で蒸し焼きにすると、硫黄が蒸発していきます。これがコークスです。
地球での製鉄も、このコークスで鉄を作っていたはず。
出てきた硫黄の処理とかがまたいろいろ面倒なので、いずれはその辺も対策する必要がありますが。
「石炭の蒸し焼きですが…木材から炭を作るのと原理は似ているような。試してみる価値はありそうですな」
ウードゥルさんが食いついてきます。
「たまたま知っていただけなので。お役に立てば良いのですが」
クレーター盆地周囲の平原は、もともとは杉、樅、カラマツなど、建材にも敵している木が多く生えていたそうですが。炭の生産のためにかなりの広さですでに伐採がされており。植林も多少は行なっているけど、とてもじゃないが追いつかない状態だそうで。もしそれが解消されるのなら、大変にありがたいことだそうな。
もちろん、いきなり試してみることは出来ないので。石炭の加熱温度、加熱時間、実際の鉄の品質なと、これからたくさんの実験が必要ですが。ユルガルム領にとっては、これは大きな光明となる…とのことです。
「…鉄鉱所の責任者…いやサナンタジュは今いるか?」
近くの職員に声をかけています。
サナンタジュさんとは、ここの製鉄関係の技術者で、いわゆる学者だそうです。
学者と翻訳されてはいますが。探求者や知識人という意味で、むしろ賢者の方がニュアンスは近いかも。
「今ここに、サナンタジュという製鉄などの研究をしている者を呼びます。正直先ほどの話は、私では正確に伝えることができるかどうか自信がないもので。できればその者に直接ご教示いただけないでしょうか?」
いきなり化学の先生やることになりました!
来ましたサナンタジュさん。うん、これで白衣を着ていたらいかにも理科の先生という雰囲気のオジサンです。オジサンは失礼かもしれませんが。
石版に炭の棒で書いて、用が済んだら濡れ布で拭く…という感じの筆記具を使っての、即席化学講座が始まりました。
ちなみに、サナンタジュさんの他に、サナンタジュさんのお弟子さん、アイリさん、クラウヤート様、護衛のエカテリンさんも同席しています。私の見学に付き合ってもらってしまいましたが。まぁここで別行動して待っててもしかたないですしね。
講義の内容です。
物質は、原子というものから出来ていることの説明。
基本的な原子の種類。
水や空気の分子の説明。
化学反応の例として、燃えるという現象の説明。
そして酸化鉄の還元。
実証や証明はともかく。化学とはこういうものだということで、三時間くらい質疑応答しながらの講義です。
意外にも、アイリさんやクラウヤート様やエカテリンさんまでついてきていますね。逆に、事ある毎に唸っているのがサナンタジュさんです。
正教的には、気、火、土、水、金属、マナの六元素で全ての物質が出来ていて、あらゆる現象がこれで説明できる…というのが常識だったそうで。いきなり元素が何十にも増えたことに戸惑っています。
ただ。ここでの製鉄という"現象"が、酸化鉄の酸素を炭素に移すことで鉄を取り出すということであり、それできちんと説明できるということに驚いているようです。
すでに常識として持っている知識が邪魔をしているという状態ですか。
「レイコちゃん、太陽も燃えているってことで良いんですか?」
お、クラウヤート様好奇心旺盛です。いきなり核融合に飛躍ですか?
とりあえず。原子も絶対的な物ではなく。さらにばらすことが出来て。水素が四つくっついて別の原子になることで光と熱を出している…という"説明"はしましたが。
まぁ、あくまで触りの知識だけで。実際に証明されるのは何百年の先のことになるだろうとは念押ししましたけど。
「金属というものが、鉄や金銀銅だけではなく、他にもいろんな種類があることは、ワシらは"知っている"が。"同じ金属"なのにそれらが何故違ってくるのかは、六元素ではほとんど説明が出来とらなんだ。気、火、土、水の割合で違う金属になるのだから、鉄から金が作れるはずとかいう話もあるくらいじゃからな。まぁ最初から"同じでない"のなら、さもありなんだわな。ははははは」
おおう、錬金術やっている人もいるようですね。
証拠はなくとも正しいと保証された情報、これをメタ情報と言いますが。今日のこの授業でのメタ情報は、この世界の科学の歴史に結構大きな一歩を記したんじゃ無いでしょうか?
念のため、ウードゥル様に一つお願いしておきます。サナンタジュさんらが教会から異端とされないよう、保護をお願いしたいと。六元素の説明を否定する知識は、この世界では危険視されるかもしれません。
「なるほど。そういうこともあり得るかもしれませんな。ただ、レイコ様がもたらされた知識と言うことならそう邪険にはされないのでは?」
「うーん。正教国の評判を聞くに、その辺の良識はあまり当てにはしていないんです。自分たちの権威のために私を異端扱いする可能性は、けっこうあるんじゃないでしょうか?」
ぶっちゃけ。レッドさんがいるから、今の私は赤竜神の巫女扱いされてるようなものです。
帝国の魔女の話もありますし。レッドさんがいなかったら、私は悪魔の子扱いされていたかもしれません。
考え込むウードゥル様。あり得そうだと判断したらしいです。
「ふむ。…ともかく、当領地での問題の打破に至る知識を戴いたと言う恩もあります。いざというときの彼らの保護はお任せ下さい。最悪、正教国の手の届かないところに逃しましょう」
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