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七章:帰宅

83:誓う

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「穂……」
「ん?」

 体を清め、服を着た渉が自信を抱きしめる穂に甘えるように名前を呼び、渉と同じように着替えた穂が名前を呼ばれた事に首を傾げる。

「……幸せだなって、思って……嫌な事もいっぱいあったけど……こうして穂の側にいられるからさ」

 自信の腕の中でそう言って笑った渉に穂はきょとんと眼を見開き、笑みを溢す。

「そうか」
「……これからも、色々あるかも知れないけど……穂が助けてくれるって信じてるから……何があっても愛してほしい」
「誓おう。お前が願うかぎり、我はお主の元に駆け付けるし、お前を愛する」
「願わないとダメ?」

 穂の言葉に不満そうに頬を膨らませる渉に、穂は苦笑する。

「我の思うままに愛するのは重いだろうからな」
「……穂ならいいのに」
「さようか……ならば、お主の体力が回復してからだな。一晩でも二晩でも愛してみせよう」
「ぶ、物理的にかよお!」

 綺麗な顔から吐かれた言葉に渉が顔を赤くして吠え、穂は楽しそうに笑った。

「冗談だ」
「たくっ……」

 冗談だと笑う穂に、渉は拗ね、穂から視線を逸らす。

「何があっても、全てが終わればこうやってお主と語り過ごせればいい。お主が生きている間も、死した後もな」
「……ん」

 穂から出た言葉に、渉もまんざらではなさそうな笑みを浮かべて頷いた。

「穂」
「なんだ?」

 名を呼び見上げた渉に穂は問う。

「大好き」
「ああ、我も愛してるぞ」

 互いに笑みを浮かべ、唇を重ねる。

「俺の体調が戻ったら……どこか出かけよう。二人で」
「そうだな」

 狭いシングルベッドの中、二人は抱きしめあいながら、今後の予定を話す。出かければ、また何かに捕らわれるかもしれない。

 だが、それでも。穂なら助けてくれる。そんな確信と信頼を穂に抱き、穂もまた自身で助け出すという覚悟と共に、話に花を咲かせるのだった。

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