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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

56:親子二人での就寝

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「それでは、おやすみなさいませディロス様、アグノス様」
「うん、おやすみモリー」

 自室に戻ると僕に着いていたモリーは、他の人達と入れ替わり、部屋の中には数人の従者や侍女、護衛騎士が僕らに着いてくれている。

 既に慣れたものだけど、やっぱり僕やアグノスにここまでの人員を割かれるのは不思議だ。

 アグノスの血筋を考えたら当たり前ではあるのだけどね。

「アグノス、寝ようか」
「ん……」

 人に囲まれる事に慣れた事を実感しながら、しがみつくアグノスを抱え直してベッドまで運ぶ。

「はい、座って」

 ベッドにアグノスを下ろし、少しガウンを整えてから僕もベッドへと入る。

「父様……」
「うん、ここにいるよ」

 横になった僕にアグノスが擦り寄り、抱きついてきた。

 僕らが横になったことで大きな明かりの消された部屋は、か細いランプの明かりだけが薄暗く部屋を照らしている。

 薄暗い中で見たアグノスは、どこか不安げな顔で僕を見上げた。

「父様……」
「うん、なぁに?」

 不安そうなアグノスを安心させるように微笑む。

「……父様は、アグノスの……父様だよね……?」

 僕の笑みを眺めていたアグノスがポツリと呟く。

「兄上や……兄様の……父様でもあるけど、アグノスの父様……だよね?」

 僕が戸惑っている間に、アグノスは確認するように言葉を繰り返した。

「……そうだよ」

 アグノスがそう思ってくれるかぎり……ううん、アグノスが真実を知って、僕の事が嫌いになっても僕はアグノスの父親であり続けるよ。

 経った一言頷く裏に、それだけの言葉を隠してアグノスを抱きしめる。

「うん……!」

 ほんの少しだけ安心した様にアグノスが頷き、僕の胸に頭を寄せた。

「今日は、寂しかった?」
「うん……」
「ごめんね。これからも寂しい思いさせると思うけど……僕が勉強するのは、僕だけじゃなくアグノスの為でもあるから少しだけ我慢してほしいな」

 僕が公的な場で皆といる為。アグノスの側に居てあげる為に、頑張らなきゃいけない。

 アグノスに寂しい思いをさせてしまっているのはわかるけど、それでもやらなきゃいけないのだ。

「うん……」
「その代わり、この離宮から出なきゃいけない日は、こうやって一緒に寝よう? 二人で寝る前にいっぱいお喋りしたりしながらね」
「っ……うん!」

 落ち込むアグノスへ、二人で過ごせる時間を増やそうと提案したら、ようやく嬉しそうな顔で笑ってくれた。

「アグノス。僕の可愛いアグノス」
「ふふふっ、父様」

 アグノスを抱きしめて、額に口づけを落としたらアグノスがくすぐったそうに笑う。

「アグノスも、父様にちゅー」
「ふふっ、ありがとうアグノス」

 僕の頬に口づけてくれたアグノスに笑いながら、二人で頬を寄せ合った。

 こうやって触れあってくれるのもたぶん、数年といったところだろう。

 いや、何年もないかもしれない。だからこそ、こうやって触れ合う時間を大事にしたかった。
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