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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

41:騎士になりたい令嬢

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 おそらくノウリッジ様夫妻もマリカ嬢の両親達も家では、マリカ嬢に言い聞かせていたのだろう。

 でも、マリカ嬢の性格的におそらく家では頷きつつも、納得してなくて、イデアルに直談判しに来たんじゃないかな……。

「マリカ様は、どうして騎士になりたいんですか?」

 困っているイデアルの視線に僕からマリカ嬢へと声をかける。

 ノウリッジ様達もどうすべきか頭を悩ませているだろうし、僕が動いた方がいいだろうと判断した。

「我が家の私兵達もかっこいいですし……本で読んだ忠義の騎士がかっこよかったんですの!」

 目を輝かせる彼女に、あれかと思い当たる本がある。

 遥か昔、王太子に使えた騎士が王太子の実父である狂王の刃から王太子を守って死ぬ物語だ。

 一般的に広まっている内容はそういった内容なのだが……実をいうと王家に伝わる話はちょっと違ったりする。

 僕も側妃になってから知ったのだが、実は、ロン達暗部や護衛騎士達にかけられたけど忠誠の誓いで死んだ騎士の史実の話なんだよね。

 王太子を殺そうとした、狂王を忠誠の誓いに反して、撃ち取り、死した騎士の話。

 王子であるイデアルやティグレの教育用にいつの間にか書斎に置かれていて、知ってる内容と違っていて驚いたのを思い出す。

 でも……そっか。一般的に広まってる内容が好きなら確かにマリカ嬢が騎士に憧れるのは、わからなくもない。

 だって、僕もかっこいいと思っていたもの。

 運動神経も悪くて、幼い頃に兵士や騎士は諦めたけど。

 その代わり軍師に憧れて、軍略や歴史にハマったというのが今世の僕の幼少期である。

「確かに、あの話の騎士はかっこいいですよね」
「そうなのです!王家に忠誠を誓いながらも悪の王を倒し、善なる王太子に忠義を尽くすその姿に私感動しましたの!」

 マリカ嬢に同意すれば、マリカ嬢が嬉しそうに身を乗り出す。

 なんと言うか……ずっと感じてはいたけど、本当にティグレと気が合いそうだなこの子。

「だから、私は守られるより、守る立場に……王妃より、騎士になりたいのです」

 身を乗り出し、目を輝かせていたマリカ嬢が落ち込んだように視線をテーブルへと落とす。

 両親や祖父母に王妃になることを望まれていても、自分の憧れるものと違うと役職につくのは、辛いものがあるだろう。

 さて、問題はここからだ。なんで、原作の彼女が王妃としてイデアルの隣に立ったのか……。

 僕がいない世界で、誰がどう立ち回った結果なのか。それとも彼女自身がどう折り合いをつけたのか考えなきゃならない。

 僕がこの場にいるということで、僕の知る世界とは違うのだから、僕も考えて関わっていかなければならない……。
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