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一部番外編

他視点1:従者から見た二人[ロン視点]

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 うちの陛下が……シュロム様が恋をした。

 先王の次代から、シュロム様の学友兼護衛を暗部の任務として側で見ていた俺としては、それはそれは驚くべき事だった。

 女関係ではどうしようもない先王の息子なのに、いや、だからか恋愛感情含めていまいち他人に関心を寄せると言うのが下手だったからなシュロム様。

 一応近しい人間に関しては、気を許してくれはするんだけどまず第一に王としての思考が働くから硬いというか、割り切りすぎているというか……。どこか人間味が欠けてるんだよ。暗部やってる俺が言える事じゃないけど。

 自分の子供である殿下達も大切には思っているくせに、自分が父親に父親らしい事されてないからどう振舞ったらいいかわからないまま、王としてあるべき姿を見せればいいとか考えて、仕事しかしてこなかったしな。

 ま、殿下方も賢い子供だからシュロム様の考えを理解してくれてはいたみたいだけどさ。

 そんな、シュロム様と殿下方の関係を変えたのが現在側妃として迎え入れられたディロス様。陛下の遅すぎる初恋の相手である。

 あのどこからどう見ても貧弱で弱弱しいディロス様が、自分の血の繋がりのない子供であるアグノス様を守ろうとする姿に引かれたのを切欠に恋にも家族にも向き合い、自ら行動を起こすようになったのだから見事な成長だろう。

 恋とは人を変えるというが、ここまで変わるのかと思うと面白くて面白くて仕方がなかった。本人がなかなか気づかなかったところも特に。

 それは、子供の頃からシュロム様を見ていたエリーも同じようで、あの手この手で意識させるように仕向け、ディロス様に夜の準備をさせた時はエリーからやり過ぎだと叱られたが、上手く二人に自覚させたからいい仕事だったと思うんだよ俺。

 亡くなったレーヌ様には多少悪いとは思うけどさ、あの人が心から安らげる場所なんて今までなかったし、せっかく人らしくなったんだから王としての役割だけではなく、人として幸せになってほしいと思うのも臣下としては願いたいものなんだ。

 離宮での襲撃ではちょっとヘマやって、俺もディロス様も死にかけたんだけど……まあ、生きているから結果としては良しと言う事で。

 まさか、先王時代に掛けられた魔法契約が残ってるとは思わなかったんだよなぁ……アレさえなければ、シュロム様の手を煩わせる事なくあの男を殺せたのに。あー、今思い出してもむかつく。

 そんな事を思いながら、俺の事を気にせず長椅子でイチャつく二人を眺める。完全に二人の世界に浸っているが、暗部兼従者としては邪魔するのも野暮なので大人しくしておきますとも。

 まあ、朝になったら少しくらいからかわせて貰いますけどね。

 最近、シュロム様が開き直りすぎてるのが残念だけど、その分ディロス様がいい反応するのが面白くて面白くて。

 一番楽しかったのはくっつくまでだけど、今は今でシュロム様が幸せそうな顔してるから臣下冥利に尽きるんだ。
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