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決戦 その3
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小屋に駆け寄った時、すでに銃声は聞こえなくなっていた。
「剛田さん!」
下塚を先頭にドアを開けて小屋に入ると、
奴はそこにいた。床にうずくまり、何かを貪り食っている。
何を食べているのか、俺には分かった。
「貴様あああああああああああああ!」
下塚の怒号が弾け、下塚の散弾銃の銃口がクマを捉えた。
クマがこちらを振り返った。
そのとき、クマが食べていたものが俺の目に飛び込んできた。
やはり剛田さんだった。
剛田さんの死体は床に倒れ、内臓を引きずり出されていた。
下塚も剛田さんの無残な姿を見て固まった。
その瞬間、
バキキ!
なぜか金属の折れ曲がる音が響いた。
クマが散弾銃の銃身を折り曲げたのだ。下塚の愛銃はスクラップ同然になって
いる。
「ヲオオオオオオオ!」
クマが先頭の下塚に飛びかかってきた。
とっさに下塚は、くの字に曲がった散弾銃をバットのようにフルスイングした。
横に振られた散弾銃がクマの横顔を捉えた。
クマが横ざまに倒れる。
もうクマに有効な猟銃は無い。
逃げるなら今がチャンスだ。
そこで俺は気づいた。この人食い熊を倒す唯一の方法を。
「下塚! クマが起き上がる前に小屋から出ろ!」と怒鳴り、
下塚のジャンパーの襟をつかんで引っ張った。
下塚を小屋から引っ張り出し、ドアを閉める。
すぐにクマは起き上がり、ドアに体当たりを始めた。木製のドアが
ミシミシと軋む。破られるのも時間の問題だ。急がなければ。
俺は外に置かれていたポリタンクのキャップを開け、灯油を小屋の壁に
ぶちまけた。
下塚も俺のやろうとしていることが分かったらしい。
ポケットからライターを取り出し、火をつける。
「くらえ、バケモン!」
投げつけたライターの火が引火し、木製の小屋はすぐに燃え始めた。
中からはクマの断末魔が聞こえてくる。
パチパチと炎が爆ぜ、黒い煙が上がった。
「やった・・・・・五人を殺したクマを退治したんだ!」
俺が喜びの声を上げたとき、
「五人じゃないでしょ。クマの被害者は四人だ。あなたは知ってるはずだ」
下塚はゆっくりと言った。
「剛田さん!」
下塚を先頭にドアを開けて小屋に入ると、
奴はそこにいた。床にうずくまり、何かを貪り食っている。
何を食べているのか、俺には分かった。
「貴様あああああああああああああ!」
下塚の怒号が弾け、下塚の散弾銃の銃口がクマを捉えた。
クマがこちらを振り返った。
そのとき、クマが食べていたものが俺の目に飛び込んできた。
やはり剛田さんだった。
剛田さんの死体は床に倒れ、内臓を引きずり出されていた。
下塚も剛田さんの無残な姿を見て固まった。
その瞬間、
バキキ!
なぜか金属の折れ曲がる音が響いた。
クマが散弾銃の銃身を折り曲げたのだ。下塚の愛銃はスクラップ同然になって
いる。
「ヲオオオオオオオ!」
クマが先頭の下塚に飛びかかってきた。
とっさに下塚は、くの字に曲がった散弾銃をバットのようにフルスイングした。
横に振られた散弾銃がクマの横顔を捉えた。
クマが横ざまに倒れる。
もうクマに有効な猟銃は無い。
逃げるなら今がチャンスだ。
そこで俺は気づいた。この人食い熊を倒す唯一の方法を。
「下塚! クマが起き上がる前に小屋から出ろ!」と怒鳴り、
下塚のジャンパーの襟をつかんで引っ張った。
下塚を小屋から引っ張り出し、ドアを閉める。
すぐにクマは起き上がり、ドアに体当たりを始めた。木製のドアが
ミシミシと軋む。破られるのも時間の問題だ。急がなければ。
俺は外に置かれていたポリタンクのキャップを開け、灯油を小屋の壁に
ぶちまけた。
下塚も俺のやろうとしていることが分かったらしい。
ポケットからライターを取り出し、火をつける。
「くらえ、バケモン!」
投げつけたライターの火が引火し、木製の小屋はすぐに燃え始めた。
中からはクマの断末魔が聞こえてくる。
パチパチと炎が爆ぜ、黒い煙が上がった。
「やった・・・・・五人を殺したクマを退治したんだ!」
俺が喜びの声を上げたとき、
「五人じゃないでしょ。クマの被害者は四人だ。あなたは知ってるはずだ」
下塚はゆっくりと言った。
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