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第一章 決戦ソウルトーナメント

第5話 選別

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ー影山sideー



俺には小さい時に失踪した父親がいる。


警察が捜査をしても居場所は見つからず手掛かりも何一つない。


でも、俺にはそんな父親を見つける一つの希望の光がある。




ーーーーーーーーーーーーーーー

No.92
逢魔の剣/ランクS

ATK:1500

闇夜に黒く輝く剣。
漆黒の魂を纏い朧月の宵、真の力が目醒める。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 


強く握りしめたこのチップは失踪前日に父親が俺に渡してきたものだ。


昔はよく意味も分からずに持っていただけだったが、今となってはこのチップの価値がとんでもないことを実感している。


この世界にSランクのチップは10種類しかない。


その内の1つが今この俺の掌にあるんだ。


この事は誰にも言っていないし、言うつもりもない。


大会でも当然使用しないつもりだ。


ーーーーそれより。


父親の失踪を独自で調べていると、奇妙な情報を耳にした。


「Soul World(ソウルワールド)。何やら、ソウルデバイスのアバターとソウルのシンクロ率が100%になると行くことができる世界があるらしいぜ?」


チップ販売者であり、情報屋のテリーさんと言う人がそう言った。


だとしたら俺達一般人は到底知り得ない事が世界で起きているんじゃないだろうか?


ソウルバトルトーナメントで何か情報を掴めないだろうか……。


「ありがとう。また来るよテリーさん……」


「ちょっと待ってくれ影山君!!」


テリーさんが呼び止め、帰ろうとする俺の腕を掴んできた。


「!!!」


驚く俺をテリーさんは真剣な表情で見つめている。


「間違ってもその黒棺は絶対に使ったらいけないよ!!」


「何で!?」


「そのチップは、人格を変えてしまうチップと言われている。力を求める者に力を与えて代償に理性を奪うらしいんだ」


そうだったのか。


「ははっ、大丈夫。使わないさ」


俺は手をどけて、店を後にした。


「君が影山ジン君だね!?」


店の外に出ると黒髪の長髪の男が腕を組んで立っていた。


俺のことを知っているのか?


「俺に何にか?」


「君を俺達の組織に勧誘しようと思ってたんだ」


何やら嘘くさい人物に違いないな。


「悪いけど、俺は組織とかチームとか興味ないんだ。帰ってくれ」


男を軽くあしらうと、ニヤリとして一枚の写真を俺に見せつけてきた。


「……!!」


「俺は君のお父さんの居場所を知っている、と言ったら!?」


高鳴る鼓動を、俺は必死に押さえつけた。


「どこでそれを……?」


「俺達の組織に入ってくれたら教えてあげるよ。何やら東雲様が言うには君には見込みがいがあるみたいなんだ」


意味深に笑みを浮かべる男は、今まで出会ってきた誰よりも気味が悪かった。


「まぁ、良い。君が東雲様の期待通りの人間なのか俺が確認してやろうか、君が得意なソウルバトルでな!!」


男はソウルデバイスを構えてきた。


練習にもなるし、ただの対戦なら別にいいか。


「俺が勝ったら諦めて父さんの情報を教えてくれるか?」


ーーーー今の俺は負ける気がしない。
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