おれの邪魔、すんじゃねぇ！

9話 伝えた方がいいよな

「おい、優。ぶっ飛ばすぞ。」
「…え、なに？」

おれは苛立っていた。
だって…なんで…

竜の好きな人が─────


優なんだよ！！！！


「お前、まじ、許さねぇ。
まじ、殺す。」
「待って、状況が掴めてないから。全く。」

おれはさっき…竜に振られたことそして、竜が優のことを好きだと言ったことを伝えた。

すると、優は顔を真っ青にしていた。

「…まじか、冗談なのかと思ったのに…。」
「あん？」
「…最悪。まじ、無理。」
「何が？」
「…無理ぃ。」

優はどんどん顔色が悪くなっていく。
なに、優、なんかあったのか？
てか、優…。

「優、お前、竜が自分のこと好きだってわかってたのか？」
「…わかった。」
「おまっ、おれが振られるってわかって…！お前、最低だな！」
「待って、わかったのは律君が告白するって宣言した後だから。
わかってたら流石に止めたって。」

優はそういうと深いため息をついた。

「…というか、律君、やめたら？」
「あ？」
「あんな奴、好きにならなくていいって。マジで。」
「は？あんな奴って竜のこと？
おい、竜の悪口言うんじゃねぇよ！」
「…言うよ。最悪じゃん、あいつ。ほんと、意味わかんないし…。」

優はそういうと深い深いため息をついた。

…なんかあったのか？と思ったけどそれより…。

「竜、すげぇ優しいだろ？なにいってんだよ。」
「優しい？どこが！？優しさの欠片もなかったんですけど！？

無理やり！押さえつけられっ…！おれっ…！！」
「え？」
「…いや、なんでもない。」

優ははぁっとため息をついた。
なに、こいつ。おれの方がため息つきたいんですけど？
振られたら抱き締めてやるって言ったくせに無視じゃん。

「…竜がお前のこと好きとかムカつくけど…まぁ、お前だったら…。」
「いや、いらないです。」
「は？」
「願い下げですから。」
「あん！？」

こいつ、なんなん？おれがせっかく竜と付き合ってもいい許可を与えてやったってのに！

「お前っ！振られたおれの気持ち考えろ！！竜が好きっていってんだ！いいじゃねぇか！つき合えば！」
「は、なにそれ？意味がわかんないんですけど？
いや、ないない。
マジでないわぁ。」

なんでそんなにガンとして！？

おれは優のことがわからなかった。

「…お前、竜のこと嫌いだっけ？」
「今さっき、大嫌いになりました。」
「何があった？」

おれがそう聞くと優は苦い顔をした。

「ねぇ、律君。」
「な、なに？」

「おれと付き合わない？」

─────は？

「おまっ…なんなの？優、おちつけ。」
「あんな奴に自分の神経潰されるくらいなら律君と付き合った方がいいかなぁって。
竜も律君なら手出せないかもだし。」
「なに、おい、やけになんなよ。」
「律君がかわいく思えてきたぁ。付き合う？」
「ねぇ、マジでねぇ！！」

何故か優が壊れている。
ん？何かあったのだろうか…？

「てか、お前が好きなのは龍だろ！」
「…あ、うん。」
「チャンスじゃねぇか！竜が龍のこと好きな訳じゃねぇんだから！よかったな！」
「…いや、でも竜がおれのこと好きとかいってんじゃん。
なんか、圧が強かったし。怖ぇよあいつ。」

ほんと、何があったんだか。

竜が優のことが好きだなんてムカつくけど…なんか落ち込んだりはしなかった。
だって…びっくりの方が勝っていたからだ。

「…。」

でも、竜が優のことが好きってことは…振られたのはおれだけではない。

龍も…。

自動的に振られたことになんのか。

もし、それを龍がしったらどう思うのだろう。妬む？恨む？

わからんなぁ。

龍のこと知らないし。

でも、早く。

「…早く伝えた方がいいよな。」
「ん？なに？」
「…別に。」