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黎編

18話 逃げられない

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黎{side }

朝、声がする。最悪の声、最低な気分。

「れーくん、おはよう。」

バンっと鞭で叩かれる音がする。おれは恐怖でそのまま起き上がる。

「れーくん、おはよう。」
「おはっ…よう。」
「れーくん、敬語、でしょ?」
「っ…。おはよう…ございます。」

おれはそう言わされベットから起き上がり、毛布をどかした。

毛布をどかすとおれの身体が素っ裸であることを強調された。
おれは監禁されてから服を着ることを許されてはいなかった。

もし、逃げ出してもどこにもいけないようにおれは常に裸の状態だった。

「れーくんは本当に可愛いね♡」

正兄はそういってうっとりとした表情をした。

「…っ。」

おれはそんな目で正兄に見られて嫌だった。一刻も早く抜け出したいという思いが頭の中で悶々と浮かび上がっていた。

「…れーくん、何考えてるの?
だめだよ…ちゃんと僕のことだけを考えないと。」

そういってバチっとおれの腕に鞭を当てた。当てられた腕は真っ赤になっていた。

「…あっ…おれはっ…正兄のことを考えていた。」
「あ、なんだぁっ!」

正兄は嬉しそうに顔を明るくさせた。

「そうだよねぇ。れーくんは僕のこと、大好きだもんね。」
「…。」

圧力を感じた。『大好き』と言えという強い圧力。でも…おれは言いたくなどなかった。
嘘など…もう、これ以上つきたくない。

「…ねぇ、れーくん、大好きだよね?」
「っ…。」

おれが黙っていると正兄はバチンっ!と鞭を背中に打つ。

「れーくん?」
「…。」

背中に何回も鞭をバンバンっ!と打たれた。
「…っ。」
「─────へぇ。」

正兄はそういって鞭をその場に置いた。
正兄は真っ赤になった背中を触っていた。

「─────っ。」
「痛い?痛いよね?僕がつけた跡だよ。真っ赤だ。」

正兄はそういってにこっとおれの体を触ろうとしていた。
おれは逃げるタイミングを失いそのまま体を触られてしまう。
…どっちにしろ、おれは逃げれない状況にいる。

「ほーんと、れーくんの肌はすべすべ。

かー、わいいっ!」
「…っ、さ、触るなっ…!」
「なんで、こんなに──可愛いのに。」

そういって正兄はおれをベットに再び連れ出し無理やり押し倒す。

おれは嫌だと必死にもがくが両手に鎖をつけられた状態ではどんなに抵抗しても無意味だった。
それに、上にのっかられているせいでびくともしない。
おれはその状況に一気に自分の温度が下がっていくのを感じた。
正兄のおれより大きな手がおれの身体をベタベタと触っていく。
その手はまるでおれを壊すナイフのように感じられた。

(触るなっ…!その手でおれを───もう、汚さないでくれっ…!!)

何度もそう思ってもその手が止まることはない。

「かわいいっ、かわいいっ!れーくんは可愛いね!一生懸命、ジタバタするれーくんも、少し怖くて震えてるれーくんも────とっても魅力的♡」
「黙れっ───んぐっ…!?」

唇を塞がられおれの言葉はキスでかき消された。
キスは深く歯列を割られ、舌を乱暴に舐めとられた。

「……っ、…んっ!!」

 気持ち悪い気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっ…!!

嫌だ嫌だとどんなに体を動かしても無駄だった。体に全く力が入らなかった。体が…震えていたからだ。
これから───どうなってしまうのか、わからない戸惑いもあった。
吸い上げられた舌をしゃぶられ、まるで獣のようなキスをされた。

「んぐっ…、はぁっ…んっ!」

(気持ち悪い、助けてほしいっ…!)

そんな願いは叶わず正兄の好き勝手におれの体が遊ばれていた。

「ふっ…はぁっ…っあっ!?」

ようやく唇が離れたかと思ったら正兄の手が上半身から下半身へ移動していた。そして、その手は躊躇もなくおれの昂りへと絡みつき、やわやわと揉みだした。

「なっ…!?やめっ…、何してっ──!!」

おれは驚いて思いっきり身体を揺らす。なのに、びくともしない正兄はなんともないといったように続けて黎のそれを触っていく。

(こんなのっ…!嫌だっ…!怖い、またっ…こんな思いしたくない───!)

昔の記憶がバカみたいに蘇る。
おれは、どうなったっけ?

おれは───正兄に性器を触られ、そして、おれっ…。

考えていると頭の中がぼぉっとして何もかんがえられなくなる。

「───かわいい、本当に…れーくんはかわいいっ♡♡

ずっとこうしたかった!!」

剥き出しの性器を思いっきり掴まれそのまま擦られる。何度も何度も乱暴に擦られていく内に黎の欲望は完全に芯を持って立ち上がってしまった。

「ほら、れーくんのもそれを望んでる♡♡れーくんもずっとこうしたかったんでしょ!?
れーくんは変態のエッチさんだもんね♡♡」

「違うっ…そんなわけっ…」

「じゃあ───その起ってるのはなに?」

「…んっ、いやっ…だっ…!」

正兄はそういって現れた黎の形を確かめるようにして性器を触っていった。
嫌だ嫌だと思っているのに触られた性器は黎の意志と反対に起っていく。

(いやだっ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ──!)

自分の意識が追いついていかなかった。自分が何をされているのか知りたくない。目をつぶりたかった。

でも、目をつぶっても変わらない。
おれは───正兄に襲われている。

「れーくん、認めなよ。

れーくんは性器をおれの手で起ってしまった変態です♡

いかせてください───って。」

「誰がっ…そんなことっ…」

「─────れーくん。」

正兄はそういうと鞭を取り出しておれのお尻を思いっきり叩いた。
パチンっ!とした音が部屋に響き渡る。お尻がヒリヒリして痛い。

「だーかーらー、れーくんの意志はいらないんだって。

れーくんはただただ僕に従えばいいの。

ねぇ?────奴隷のくせに口答えするな。」

正兄がまた鞭を振り上げておれのお尻めがけて鞭を打つ。おれは痛いのと怖いのとで身体が震えた。

「ほーら、謝って。

正兄、ごめんなさい。って」
「…っ、嫌だっ…」

バンバンっ!!

「ぐっ…あぁぁっ…!!」

おれが嫌だと悲鳴を上げれば上げるほど正兄はうれしそうだった。

「ほーら、これ以上逆らうとれーくんのお尻壊れちゃうよ?

これ以上赤くなったらお風呂に入るの大変になっちゃう。

ほら────ねぇ?」

低い声でそう言われ続け、鞭を打たれ続けた。

もうお尻は真っ赤だ。おれの意識がどんどん遠のいていく。

「ごめ…んなさいっ…」
「うん。」
「正兄っ…」
「────最初っからそう言えばいいのに。」

正兄はそういうと再び黎の性器を乱暴に擦りはじめた。

「なっ…!?」

また、触られるとは思わなかったため、おれの身体が跳ねた。性器を触られるくらいなら…鞭で打たれた方が何倍もましだった。

「あら、やっぱり鞭で打ったから萎えちゃってるね。」

そういって正兄は根本の膨らみをもみし抱きながら黎の性器を舐めていく。

「それっ…、嘘っ…やだ、やだっ!」

ちゅるっ…じゅるっ、じゅるるっ…

音を立てて自分のが咥えられているのを見ると泣きそうになった。
そして口に入れられるだなんて思ってもなかったため、おれは顔を真っ青にした。

気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっ──

そういう思いとは裏腹にあっという間に強張った黎の性器はすでに硬く先端を滲ませていた。

(こんなの、見たくない───)

そう、目を閉じていたが正兄はそれを許さなかった。

「ほら、れーくん、いやいやいいながら体は正直だよね♡♡

れーくんも、正直になっていいなよ。

『いかせてください』って。」

「いやっ…だっ!」
「なんで?気持ちいいでしょ?ねぇ、れーくん。
れーくんはお兄ちゃんにいかされる変態さんだもんね♡
 
変態さんは───もう、いきなよ。」

体液が零れる昂ぶりの先端を口に含んでいく。生温かいねっとりとしたものがどんどん感じられる。

「やぁっ…っ、あ、あぁっ…。」

括れたあたりを擦られて先端を舌先で抉られる。そうやってどんどん与えられる刺激は次第に黎の思考も理性も溶かしていく。

「────出して、僕に服従を誓うんだ。」
「はっ…や、やだっ…」
「やだ?いいの間違えでしょっ──ほらっ!!」
「んっ…っ!!」

自分の荒い呼吸が、心臓のバクバクとした音が聞こえる。

嫌な快感がどんどん頭の中に入っていき襲われていく。

「はっ…やっ…だぁっ…」

喉から出る声はもう、自分のものだと思えなかった。

嫌だ、気持ち悪いのに───体は全く言うことを聞かなかった。

もう、限界────っといったところで正兄は黎のそれを強く吸い上げた。

「だっ…あ、あ、あっ───!!」

びくびくと身体が動き出し震える。それとともにおれは熱を吐き出してしまった。

いきたくなどなかった──なのに、いってしまった。

そのことにおれはショックを受けた。そして、嫌だと体がびくびくと震える。

正兄はおれのすべてを口腔で受け止め、おれに口を開けて見せてきた。

「ほらっ…んっ…これ、れーくんの精液だよ。」

そういうとそのまま──おれの唇と正兄の唇を合わせてきた。

「んっ…!?」

唇から何やら液体が入っていく。その苦々とした液体は───さっき、吐き出したおれの精液だった。

(いやだ、いやだっ────)

と首を振るが正兄は両手で頭を抑えつけ、自分の精液を飲ませた。

「んっ…くっ。」

苦々しい液が口の中で暴れていた。
正兄の口の中に入っていた精液は全部おれの口に入る。

「はーい、ぶくぶくして飲んで♡」

(いやだっ──)

首をぶんぶん振ると鼻をぐいっと摘まわれた。
「んぐっ…!?」

いきなり摘まわれたためおれはびっくりしてそのまま飲んでしまった。

「ぐっ…ごほっ、ごほっ…!」

残りわずかの精液が口の中から出てきた。

気持ち悪かった。自分の出したものなんて飲みたくもなかった。なのに…。おれは飲まされた。

「ほら、何ぼっーとしてるの?」

正兄はそういうとおれをまた、押し倒して言う。

「まだ────始まったばかりだろ?

楽しもう───これからずっと。」

その声がおれの心を暗くどん底へ落としていく。

嫌だと叫んでも意味などない。

おれに──もう、逃げ場はない

そう、思ったとき────

ふと、昔を思い出した。

思い出したくもない──昔の記憶だった。
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