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監禁編

22話 僕は君のストーカーです

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しかし…そいつはおれに突き飛ばされることを予測していたようで…ひらりと交わした。

「ひっどいなぁっ!僕は勇太君に会えるのを何日も…何日も待っていたというのに…!!等の勇太君はなぁんにも感じないんだから!酷い酷いっ!!」

「酷くねぇ。おれは兄貴以外の奴に抱きしめられるとか耐えられねぇんだよ。」

「はぁ…しかも相変わらずのブラコンだぁ…。まぁそういうところも僕は大好きだけどねっ!」

そいつはあはっと笑う。

こいつの笑顔は…めちゃくちゃうざい。
おれはいらっとして壁をガンっと叩いた。

「あらら?ご機嫌ななめなのかな?」
「てめぇ…なんでおれの部屋にいんだよ。」
「部屋?あー、君の部屋は相変わらずだよね…。壁という壁にぎっしり亮君の写真なんか飾って…。こんなの亮君に見られたら引かれるよ?」
「見られなければいい話だろ。」
「見られない前提に話をしているわけだね。」

そいつはあはあはと笑うと『そういう勇太君、大好き』と言ってくる。…死ね。

「で?なんかようかよ。」
「えー、なにその早く話終わらせろみたいなのっ。久しぶりだってのにぃ。」
「うぜぇ。きめぇ。死ね。」
「暴言ばっかり吐いてると嫌われるよ~、お兄さんに。」
「…うぜぇ。」

そいつははぁっと息を吐くとにこにこしながら話をしてくる。

「監禁…しなかったんだね?」
「…は?」

いきなりそんな話をもってきやがったこいつのそういうところがマジで嫌いだ。
…ほんと、人の心の中に入り込もうとする。

「だーかーら、監禁だよっ!」
「…てめぇ、なんでそのこと知ってやがる。」
「え?僕は勇太君のストーカーだからなんでも知ってるよ!」

こんなこと本人の前で堂々と言えてしまうこいつの頭はおかしいと思った。

「…しねぇ。」
「なんで?監禁すればよかったじゃん!すればずっとお兄さんといられるのに…!」

そいつはしようよ、しようよ~!と訳もわからず提案をしてくる。

「…お前になんの利益があんだよ。」
「監禁したら、僕は亮君に会えるからね!そしたら消してやろうかと…♪」
「…おい、それマジで言ってたら殺す。」
「ちょっと!なにマジになってんの!冗談冗談!」

こいつの名前は───海翔(かいと)。名字は興味がないから知らねえ。
こいつはいきなりおれの前に現れおれのストーカーとか自分でいいやがる。

ほんと…頭が狂ってる。

「睨まないでよっ!かっこいいお顔が台無しだよっ!僕はその顔が大好きなんだから!!その、顔が怒りで崩れるところとかっ!」
「…怒らせてんのはてめぇなんだよ。マジで…殺してやりたい…。」
「うんうん、僕にそんなに強い感情を持ってくれるなんて…!!嬉しいよっ!!」

本当にこいつは頭が狂っているんだと思う。…おれが言えることではないけど。

「んで?」
「ん?」
「何しにきた?」
「…あー。」

海翔はそういうとうーんっと考える素振りをした。

「…まぁ、直球に言うと邪魔。」
「は?」
「亮君が邪魔だから排除しに来ました。」
「…なら今ここでお前を排除する。」

「そういうすぐ行動に起こそうとするところ嫌いじゃないよ。」

海翔はそういうとじいっとおれを見つめていた。

「君はもう、亮君に何か求めるのは止めた方がいい。」
「…何がいいたい?」
「もう、君の言いなりになっていた亮君はいないってこと。」
「…は?意味がわかんねぇ。」
「え?わかるでしょ。君は今も昔も亮君に依存している。」

『まぁ、僕も君に依存してるんだけどっ』と呟き海翔はクルッと体を動かす。その一つ一つの動きが目に触る。

「依存するのも無理はないよ。君たちは双子でずっと一緒にいたんだ。…ほんと、妬けちゃうけど。
でも…もう、やめてほしい。もう、一緒にいなくていい、いや、いるな。」

海翔はそう言って笑顔でおれに話しかける。

「無理だといったら?」
「無理やり剥がすしかないかなぁ。」

海翔はそういうとソファーに座り足をバタバタさせた。

「僕は勇太君と亮君が一緒にいるのが耐えられない。好きだから、大好きなんだから!!」
「…お前の意志なんてどうでもいい。」
「…そう。」

海翔はそういうとはぁっとためいきをついた。…つきたいのはこっちなんだけどなっ

「勇太君はなんで僕が来たのかわからない?」
「わかんねぇよ。」


「…僕は君のストーカーです。」


「…は?」

「ずっとずっと前から君を見てきました。ストーカー歴は…7年は経つかな?」

「…はっ!?」
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