102 / 186
飛鳥告白編
25話 お兄ちゃん、逃げても無駄だよ
しおりを挟む「おれはあいつに勝ったんだっ…!って思える!!おれは、もうあいつの言うとおりにならなくてもいい…!!おれは自由なんだっ…!!そうやって、思える─────!!
だから刺してよかったって!
思えるんだっ…!!
おれの選択はあってたんだって…!
あいつを刺せてよかった…!!
あいつを─────消せてよかった…!!」
黎がうっとりとした顔でナイフを見つめていた。それだけを見ていると…病んでるようにしか見えないのだが…。
「だから、亮。」
黎は血のついたナイフを持ちながら俺に、言う。
「もし、邪魔な奴がいたら言ってくれ。
もし、殺したいほど憎んでいる奴がいたらおれが、なんとかしてやる。
だって、それは自己防衛だから。
相手が自分に被害を与えたんだ。
そのぐらい…していいんだ。
もし、亮が邪魔だと思う奴がいたら──
おれが───────
このナイフでぶっ刺してやるから。」
黎の表情はただただ穏やかだった。
だから、普通のことを言っているように思える。
けど…違う、違うっ…!
「れ、黎…!」
「…なんだ?」
黎のこと、おれは大切だ。
だから、間違った道に言ってほしくないと思ってる。
今、どうみても、黎は間違ってる。
「黎、あのさ───『プルプル』」
おれが黎に声を駆けようとするとブーブーと携帯電話がなった。
電話の主は…勇太だった。
「…勇太っ…!」
「出たほうがいいんじゃないか?」
「…え?」
「多分、今無視しても何回もかかってくるはずだ。」
「…そ、そうだね。」
黎のことも気になったが
後で怒られても困るため、おれは勇太の電話を出た。
「え、勇太「どこ?」え、?」
「今、どこにいるかっていってんの。」
苛立ったような勇太の声が聞こえる。ヤバい…今、勇太に会うべきではないと思った。
「いや、えーと、今は勇太もイライラしてるだろ?だから、一旦落ち着いてから話しても」
「ムカついてるよ。」
弟の鋭く低い声が聞こえる。やっぱりイラついてるんだ…。やっぱ飛鳥君と会ったからなのかな…?
「ご、ごめん。でもね、飛鳥君の告白は断ってさ、もう、大丈夫だから!」
「何が大丈夫なの?」
「もう、勇太の邪魔しないから──」
がんっ!!そのとき、携帯電話からそんな音がした。
「ゆ、勇太…?」
「あ、ごめん、携帯電話落としただけだから。」
…怒ってんじゃん!絶対!!
「お兄ちゃん、それだけじゃないでしょ?」
「え?」
「飛鳥君に何をされたのか、言ってみてよ。」
そう聞かれ、おれは身体が震えた。飛鳥君に、何をされたのか…。身体を触られて…耳を、舐められた。
他にも色々された。
「ねぇ、なにされたの?」
「何にもされてねぇよ。」
勇太に言えることじゃないと思いおれは黙った。
「…僕に言えないこと、したんだ。」
「そんな、ことは…!」
「大丈夫だよ。知ってるから。」
─────え?知ってる?勇太は知ってると言ったのか?
「ちなみに、お兄ちゃんが今どこにいるのかもちゃんとわかってるからね。」
あはっと勇太の笑い声がする。その声が…耳の中に残る。
「お兄ちゃん、逃げても無駄だよ。」
0
お気に入りに追加
422
あなたにおすすめの小説
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
生徒会長親衛隊長を辞めたい!
佳奈
BL
私立黎明学園という全寮制男子校に通っている鮎川頼は幼なじみの生徒会長の親衛隊長をしている。
その役職により頼は全校生徒から嫌われていたがなんだかんだ平和に過ごしていた。
しかし季節外れの転校生の出現により大混乱発生
面倒事には関わりたくないけどいろんなことに巻き込まれてしまう嫌われ親衛隊長の総愛され物語!
嫌われ要素は少なめです。タイトル回収まで気持ち長いかもしれません。
一旦考えているところまで不定期更新です。ちょくちょく手直ししながら更新したいと思います。
*王道学園の設定を使用してるため設定や名称などが被りますが他作品などとは関係ありません。全てフィクションです。
素人の文のため暖かい目で見ていただけると幸いです。よろしくお願いします。
BL学園の姫になってしまいました!
内田ぴえろ
BL
人里離れた場所にある全寮制の男子校、私立百華咲学園。
その学園で、姫として生徒から持て囃されているのは、高等部の2年生である白川 雪月(しらかわ ゆづき)。
彼は、前世の記憶を持つ転生者で、前世ではオタクで腐女子だった。
何の因果か、男に生まれ変わって男子校に入学してしまい、同じ転生者&前世の魂の双子であり、今世では黒騎士と呼ばれている、黒瀬 凪(くろせ なぎ)と共に学園生活を送ることに。
歓喜に震えながらも姫としての体裁を守るために腐っていることを隠しつつ、今世で出来たリアルの推しに貢ぐことをやめない、波乱万丈なオタ活BL学園ライフが今始まる!
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
【好きと言えるまで】 -LIKEとLOVEの違い、分かる?-
悠里
BL
「LIKEとLOVEの違い、分かる?」
「オレがお前のこと、好きなのは、LOVEの方だよ」
告白されて。答えが出るまで何年でも待つと言われて。
4か月ずーっと、ふわふわ考え中…。
その快斗が、夏休みにすこしだけ帰ってくる。
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる