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飛鳥告白編

11話 飛鳥君が…怖い

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「勇太君が僕を好き?んなわけないだろ!そうやって何度君は勇太君に騙されるんだ?
まぁそういうところがかわいいと思う───けど。

そんな嘘、もう信じるな!!

信じるのは僕だけでいい!!だって…あんなやつ、
もう怖くないんだから。」

飛鳥君はあはあはっと笑い出す。なんだ、誰だ?飛鳥君なのか…?


「ねぇ。」


「僕は…君が好きだって言ったんだけど?」
 
飛鳥君はそういうと少し苛立ったような声を出した。

「おれは…」 

「また…勇太?弟のためなの?」

飛鳥君はそういうと見たことのない顔をしていた。

「少しでもおれとのこと考えてくれないの?弟が大切だから…そういったんだろ?」

飛鳥君がそんなこと言わない。知らない声を聞いておれは体が震える。そして飛鳥君が怒っていることがわかる。

「ねぇ…おれはね、中学のときから亮君のことばかり考えてるんだ。君を守り君を救うことしかね…。」
 
中学…?そういえば飛鳥君は前も…

「おれは飛鳥君と…会っていたっていってたよな…。ごめん、おれは覚えてなくて。」

「いいんだよ…おれは覚えてるから。好きだった。中学のとき君はおれを助けてくれた。だからもう、あんな奴に渡さないと決めたんだ。」

「あんなやつ…」 



「そんなの1人だけだ──勇太だ。」


「あいつはおれの計画をつぶしそして絶望に落とす。それは亮君、君もだ。」

「あいつは亮を独占させたいだけなだ…自分のものにして自分を保ちたいだけ…!そんなやつにお前はやらない…」

「まっ…!!おれはっ…勇太のものじゃないし…!
飛鳥君のものでもないっ…!!」



「────なにいってるの?亮君は僕のものだ。」



そういうと俺の手をぐっと掴む。 

「やめっ…!!」

「どうして?逃げるの??僕は君のことを愛しているんだ。君には僕しかいないように…僕にも君しかいない──」

「っ…!!」

「って勇太に洗脳されてたんだろう?」

洗脳…?飛鳥君は何を言っているんだ?

「やめっ…そんなことはないっ!」

「今だって残っているはずだ。亮君は思っているだろ?おれはお兄ちゃんだから勇太を守らないと、そうしないと勇太は生きれない───そう、思っているはずだ。」

「それはっ…!!」

なんで…そんなこと?おれの気持ちがバラバラになる。どうして飛鳥君がおれのことを知っている…?

「それは勇太がそう言っていたからだろう?ずっとずっと…小さい頃から呪文のように!」

「っ…!?」

「でも大丈夫。もう、おれしかいない。おれはそんなことさせない。でも、それだけじゃない。」

「え?」

「ねぇ。亮君僕のものになってよ。僕色に染まってよ───そしたらもう、君は僕と離れられない…。」


おれのもの?僕色…?意味がわからない…。おれは


「なれないっ…おれはっ…!」


「弟が好きだから?そんなことを言ったら…おれの出る幕がないじゃないか…。
けど、そんなの関係ない。おれは君の意思はまるっきり無視しているんだから」

「無視…。」

そうだ、おれは弟にどう思われるかばかりで飛鳥君の気持ちを考えてなかった。

「ねぇ?君は勇太君に言われたから僕の告白を断ったんだよね…?そうなんでしょ!?」

「っ。」

そうなのかもしれない。
おれはただただ弟に嫌われたくなくて…だからそういっめ…誤魔化そうとした。
向き合うのが大変だからと、考えるのが難しいからと────なら。


「飛鳥君っ。ごめんっ!おれは…弟のことで断ったって言われてもその通りだ。弟に嫌われるのが怖かった。」

「…そっか。」

飛鳥君はそういうとにこっと笑う。とても嬉しそうに。

「なら───弟がいなくなったら、君は僕を認めてくれるの?」

あはっと飛鳥君はそう笑う。

「っ!やった!そうだよね!そうすればいいんだ!僕の読みは当たっていたんだ!!そう、消せばいい!そう、決めたんだ!中学の頃からずっと!!」

あはあはと飛鳥君は笑うとおれに顔を近づける。

「ねぇ、聞かせてよ。勇太君が迷惑ですって。」

「迷惑…?」

「そうだよ!あんなやつ…あんなやつがいるから、君は傷ついたんだっ…!あんなやつ消しとけばよかった…。」

ふふっと飛鳥君は笑う。その笑いがおれは怖かった。

何を考えているのかわからなかったから。

「あ、飛鳥君…。、なにいってるの?」


怖かった──────
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