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番外編 合コン
8話 きっとずっと隠して生きていくのだろうな。番外編 合コン(終)
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勇太はそう答え黎を睨みつけた。
「─────確かにそうだが
亮はまた弟を好きになる。
その前に…亮を諦められたらと思う。時間はかかる。だが…いつか、お前らの恋を応援できならな…と思っているんだ。」
「…思いを消すのは簡単じゃねぇだろうが。バカか。」
勇太のその答えにふっと黎は笑ってしまった。
「やはり───勇太は優しいな。」
「あっ!?」
「───おれを捨てればいいのにな。」
黎の言葉に勇太は反応する。
「てめぇが…いいこちゃんじゃなけりゃあ…そうしてたよ。」
勇太は自分の手を撫でて笑みを浮かべていた。
「───おれは、引くつもりはねぇ。
てめぇが…どう来ようがおれはお前にも誰にも兄貴は渡さねぇ。」
「…そうか。ならよかった。」
「…バカにしてんのか?」
「してなどいない。
とても──尊敬しているぞ。」
黎の笑みに勇太は何度もため息をついてしまう。
(…ほんと、話にならねぇ…。)
「それで…今日、亮は休んでいるようだが…監禁なんてしていないよな?」
「…そうしたっていったら?」
「ここでお前をぶっ刺して殺そう。」
「応援…すんじゃねぇのか?」
「…なんのことだ?」
にこにこと笑い黎と勇太は向かい合っていた。
「まぁ、想像にお任せってところだ。」
「…そうか。」
黎はふぅっと息を吐いて吸った。
「───なら、勝手に想像するとするか。」
「あぁ。勝手に想像してろ。」
勇太はそういうとそのまま話は終わったと歩き始めた。
「─────弟。」
「…なんだよ。」
勇太が動き出してから数秒経った後、黎が声を掛けた。
「おれは…亮が好きだ。ずっと前から小さい頃からずっと好きだ。
この思いは…本物だ。
だからこそ──お前にすべてを渡そう。
だが、お前が亮を傷つけることがあればおれはお前を許さない。
そして───どんな手を使っても奪ってみせる。
そのときに────亮を守るのはおれになっているだろうな。」
黎の挑発に勇太はははっと笑った。
「いいな、そういうの。
笑えるな。
けど────んなことは天地がひっくり返ってもねぇよ。
諦めろ、バーカ!」
「それは…残念だな。」
そう、言葉を掛け合い勇太はその場をゆっくり離れたのだった。
(つい…心にもないことを言ってしまった…。)
黎はそう感じ少し反省していた。
つい、勇太の前に立つと意地悪をしてしまう衝動に駆られる。
「…亮。」
亮のことが──好きだ。
それは小さいころからずっと。
そして───これからも。
亮を好きでいることはおれの生きる意味。だけど…時々辛くなる。
おれのこの思いは…意味がないと思うからだ。
亮にこの思いを隠すと決めてからずっと痛い。痛い、痛いっ…。
(…とても、苦しい。)
もし、この思いが爆発してしまったら、この思いが…抑えられなくなったら…。
おれは死んでしまうかもしれない。
期待する気持ちはないとはいえない。
けど、亮の心は勇太にあることを知っていた。
亮は───勇太に助けを求めている。
決して──おれなんかじゃない。
そう思っているからこそ、諦められる。ただの妄想で抑えられる。
けれど───もし。
勇太が消えてしまったら───。
勇太が─────なかったことになったら。
そしたら、そのときは───。
(…自分の気持ちを抑えることが…出来なくなるかもしれない。)
だから、そんなことが起こる前に早くこの気持ちをなかったことにしたい。
この…亮への思いを───消してしまいたい。
そう、考えるたび───
涙が一粒零れてくる。
(─────早く消えてくれ。)
けれど、長年思っていた気持ちが消えることなんかない。
ずっとずっと亮が好きだったのだから。
(──────助けて)
ポタポタと涙が流れる。この気持ちが消えたらどんなにいいことだろう。
おれは亮の隣へ堂々と立っていられるのに…なのに。
今のおれは────中途半端だった。
(好きだ好きだっ…好きだっ…。)
好きは消えない。なら、このままでいることを望む。
このまま変わらないことを望む。
(だから───お願いだ。)
このままで、いさせてくれ。
このまま────おれは何もないおれでいてくれ。
そう願えば願うほど…気持ちが高まっていく。
そして────涙が零れる。
二人が結ばれればいいと思いながらどこかでそれを否定したい気持ちと…戦いながらおれは───生きていく。
(────あぁ、助けてっ…)
流れる涙は止まらない。おれはこの思いとずっと向き合っていく。
考えて悩んで…苦しんで──
そして───その思いに押しつぶされながらおれは────
誰にも気づかれず───生きていくのだ
おれの辛い思いを知るものはいない。おれの苦しみを共感するものはいない。
なぜって───すべて
自分で隠し───壊してしまったから
合コン 終わり
番外編はここで終わりです。
本編が続くに連れて関係が番外編の
ようになっていきます。
続きは本編の方を読んでくださると
嬉しいです!
ありがとうございました!
「─────確かにそうだが
亮はまた弟を好きになる。
その前に…亮を諦められたらと思う。時間はかかる。だが…いつか、お前らの恋を応援できならな…と思っているんだ。」
「…思いを消すのは簡単じゃねぇだろうが。バカか。」
勇太のその答えにふっと黎は笑ってしまった。
「やはり───勇太は優しいな。」
「あっ!?」
「───おれを捨てればいいのにな。」
黎の言葉に勇太は反応する。
「てめぇが…いいこちゃんじゃなけりゃあ…そうしてたよ。」
勇太は自分の手を撫でて笑みを浮かべていた。
「───おれは、引くつもりはねぇ。
てめぇが…どう来ようがおれはお前にも誰にも兄貴は渡さねぇ。」
「…そうか。ならよかった。」
「…バカにしてんのか?」
「してなどいない。
とても──尊敬しているぞ。」
黎の笑みに勇太は何度もため息をついてしまう。
(…ほんと、話にならねぇ…。)
「それで…今日、亮は休んでいるようだが…監禁なんてしていないよな?」
「…そうしたっていったら?」
「ここでお前をぶっ刺して殺そう。」
「応援…すんじゃねぇのか?」
「…なんのことだ?」
にこにこと笑い黎と勇太は向かい合っていた。
「まぁ、想像にお任せってところだ。」
「…そうか。」
黎はふぅっと息を吐いて吸った。
「───なら、勝手に想像するとするか。」
「あぁ。勝手に想像してろ。」
勇太はそういうとそのまま話は終わったと歩き始めた。
「─────弟。」
「…なんだよ。」
勇太が動き出してから数秒経った後、黎が声を掛けた。
「おれは…亮が好きだ。ずっと前から小さい頃からずっと好きだ。
この思いは…本物だ。
だからこそ──お前にすべてを渡そう。
だが、お前が亮を傷つけることがあればおれはお前を許さない。
そして───どんな手を使っても奪ってみせる。
そのときに────亮を守るのはおれになっているだろうな。」
黎の挑発に勇太はははっと笑った。
「いいな、そういうの。
笑えるな。
けど────んなことは天地がひっくり返ってもねぇよ。
諦めろ、バーカ!」
「それは…残念だな。」
そう、言葉を掛け合い勇太はその場をゆっくり離れたのだった。
(つい…心にもないことを言ってしまった…。)
黎はそう感じ少し反省していた。
つい、勇太の前に立つと意地悪をしてしまう衝動に駆られる。
「…亮。」
亮のことが──好きだ。
それは小さいころからずっと。
そして───これからも。
亮を好きでいることはおれの生きる意味。だけど…時々辛くなる。
おれのこの思いは…意味がないと思うからだ。
亮にこの思いを隠すと決めてからずっと痛い。痛い、痛いっ…。
(…とても、苦しい。)
もし、この思いが爆発してしまったら、この思いが…抑えられなくなったら…。
おれは死んでしまうかもしれない。
期待する気持ちはないとはいえない。
けど、亮の心は勇太にあることを知っていた。
亮は───勇太に助けを求めている。
決して──おれなんかじゃない。
そう思っているからこそ、諦められる。ただの妄想で抑えられる。
けれど───もし。
勇太が消えてしまったら───。
勇太が─────なかったことになったら。
そしたら、そのときは───。
(…自分の気持ちを抑えることが…出来なくなるかもしれない。)
だから、そんなことが起こる前に早くこの気持ちをなかったことにしたい。
この…亮への思いを───消してしまいたい。
そう、考えるたび───
涙が一粒零れてくる。
(─────早く消えてくれ。)
けれど、長年思っていた気持ちが消えることなんかない。
ずっとずっと亮が好きだったのだから。
(──────助けて)
ポタポタと涙が流れる。この気持ちが消えたらどんなにいいことだろう。
おれは亮の隣へ堂々と立っていられるのに…なのに。
今のおれは────中途半端だった。
(好きだ好きだっ…好きだっ…。)
好きは消えない。なら、このままでいることを望む。
このまま変わらないことを望む。
(だから───お願いだ。)
このままで、いさせてくれ。
このまま────おれは何もないおれでいてくれ。
そう願えば願うほど…気持ちが高まっていく。
そして────涙が零れる。
二人が結ばれればいいと思いながらどこかでそれを否定したい気持ちと…戦いながらおれは───生きていく。
(────あぁ、助けてっ…)
流れる涙は止まらない。おれはこの思いとずっと向き合っていく。
考えて悩んで…苦しんで──
そして───その思いに押しつぶされながらおれは────
誰にも気づかれず───生きていくのだ
おれの辛い思いを知るものはいない。おれの苦しみを共感するものはいない。
なぜって───すべて
自分で隠し───壊してしまったから
合コン 終わり
番外編はここで終わりです。
本編が続くに連れて関係が番外編の
ようになっていきます。
続きは本編の方を読んでくださると
嬉しいです!
ありがとうございました!
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