生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています！

21話 弟が…黎に近づくなと言ってます…

おれには勇太、弟だけ？そんなの…嫌だ。そんなの…小さい頃と同じじゃねぇか。

「嫌だよ。おれは友達が欲しい。黎のこと大切だ。おれは…中学みたいに一人になりたくない。」

中学のときおれは一人だった。
というのも弟のせいでもあるんだがな。

だがあの三年間は楽で平和だった。

───けど、とてもつまらなかった。

「いらねぇ。兄貴には友達なんかいらねぇよ。大人しくおれのそばにいればいい。
それに…中学のとき楽だっただろ？
前みてぇな思いしなくてすんだだろ？
…それでいいじゃねぇか。

よかったな、おれがいて。」

──────そんなの、嫌だ。


「嫌だっ、おれは嫌だった。
あの時みたいにお前に守られてるだけなんて…おれは、おれなんだし…
もう、大丈夫なんだ。
おれは───一人で大丈夫だから、
もうほっといてくれ。」

そういうと勇太はおれをギロッと睨んできた。

そして────ぐっとおれの首に手をかけた。
いつの間にか弟とおれの距離は近くなり

──気がついたらおれは弟に首を締められていた。

「やっ…っ…なぁっ！？」

必死に弟の手を離そうとするが

───ダメだ、力が強すぎる。

「一人で？なにいってんだ？
一人で大丈夫な訳ねぇだろ。
一人だったから──てめぇは────
苦しんだんだろうが！
おれがいたからだろ！？
おれがいなかったら────お前はどうなってたと思ってんだ？…っくそが！！」

勇太の顔は─────怖かった。
おれを見つめる瞳が怒りでいっぱいになっていた。怖いっ…勇太…。どうして…怒ってるの？

「っ…勇太っ…やめてっ…苦しっ…」

勇太はおれの首をぐっと締めてくる。苦しい、つらいっ…。勇太っ…

おれは────たぶん勇太に依存し過ぎなんだ。

だから────勇太も──

「っ────勇太っ！！」

おれがそう怒鳴るとパッと勇太がおれの首を離した。おれはそのままドサッと地面に倒れてしまった。
「─────っごはっ！」

よく見るとおれの首にはうっすらと勇太の手の赤い跡が残っていた。

「っ…おれっ…」
勇太はカタカタと身体を揺らして立っていた。そして、おれの顔を見るとすぐに冷静さを取り戻した。

「ごめんね、お兄ちゃん。
ちょっと感情的になりすぎちゃった。本当にごめんね？苦しかったよね？」

にこっと微笑む勇太はとても恐ろしく怖かった。そして───とても悲しそうだ。

でも…勇太、おれは…。

「勇太がおれのこと心配してくれてるのは分かった。
嬉しい、ありがとう。
でも…黎はおれにとって大切な友達だから……勇太のお願いでも聞けないよ。」

「でもさ…もし」

「え？」

「裏切られたら───どうするの？」