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17話 弟が…また黒こげ弁当作ってる…。うぅ…食べる、食べるけどさ…

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朝─────焦げ臭い匂いがして早く起きてしまった。昨日と同じ独特な匂いっ…。

のそっと起き上がり欠伸をついていると…

ドカドカっガッシャーン!!

と壮大な音が台所から響き渡る。
あぁ…見なくてもわかる。…勇太か。

ガチャっと自分の部屋のドアを開け、また不抜けた欠伸を一つして台所に向かった。

─────────台所には勇太が立っていた。
かわいいひよこのアップリケのついたエプロンを
着て、にこにこしながらおれを見ていた。

「おはよう、お兄ちゃん。もう一生起きなくてよかったのに…。」

だが…言っている言葉はなかなかトゲがある。…朝からおれには本当に厳しいっ。

「…またお弁当つくってんの?」

「うん!昨日飛鳥君が褒めてくれて…!とってもうれしかったんだぁ~~♡♡だから今日も飛鳥君にプレゼントしてあげようと思って~♡♡飛鳥君褒めてくれるかな??」

キャッ~~、恥ずかしいいっ!といいながら顔を手で隠そうとする姿は…まるで恋する女子っ…をみているみたいで気持ち悪い…。なにこのテンション。おれものったほうがいいの?

「うん、そうだねっ~。勇太、一生懸命作ったんだから大丈夫だよぉ~♡ファイトっ!」

「てめぇ、きめぇんだよ。朝から何だ、そのブリッコは。おい、頭おかしくなったのかよ。」

…、さんざんな言われよう…。

「おれは…勇太を真似してっ…」

「あぁ?真似だ?おれはあんなことしてねぇだろうが。殺すぞ。萌殺す。」

…なんか怒られた。
勇太ははぁっとため息をついた後
「で、お兄ちゃんにはこれ。」

といってどんっとおれの目の前にお弁当箱を置いた。中身を見ると…案の定黒い物体が
詰められていた。
見事に中身は黒黒黒!!
何を作ったのか全くもってわからない…。
だが玉子焼だけは黄色い綺麗な色をしていた。
…どうしよう、これは何か言った方がいいのだろうか?

「えっと…ありが「お兄ちゃんはこのお弁当を全部たいらげてガンにでもなればいいよ!ざまぁ!」

「えっ…、あ、はいっ。」

あれっ…昨日は
『こんなん食べるとガンになるぞ!何全部食ってんだよ!バカだろ!このクソ兄貴がっ!』とか
『食べたのかよっ…くそっ。』
とか言ってくれたのに…。
1日ですごい変わりようっ…悲しいよぉ!
お兄ちゃん、泣いちゃう!!
勇太はにこにこしながらおれにぐいっとお弁当を渡す。
重いっ…結構入ってるんだな…。
弟はおれにその弁当を渡してはちらっとおれの顔を見つめていた。
目があうとさっと目線を伏せる。
…?何なんだろうか…。
弟の奇妙な行動に戸惑いが隠せない。
さっきから…ちらちらおれを見ている…?
いっそ聞いて見ようかとも思ったが…弟のことだから『あ?見てねぇし!おい、クソ兄貴、自意識過剰なんじゃねぇの?殺すぞ、ゴラァ。』とか
『お兄ちゃんみたいなゴミ、僕が見るわけないじゃない☆☆バカだよね、頭大丈夫?』
とかいわれたら…朝から気分が悪くなりそうだな…。と思い放っておくことした。だが弟が先に口をあけた。
「……っ嘘、だ。」
「え?」
「……それ、あんま食べんなよ。」
「…えっ?」
「…病気に、…なるから。」
「えっ!?、あ、うん。」
「…玉子焼は絶対食べろよ。食べなかったら殺す。」
「え、うん、そうだな、食べるよもちろん!」
「…なら、いい。」
弟はそういうとプイッと後ろを向いた。そして────
「わぁ~い♡飛鳥君にお弁当渡すの楽しみだなぁ♡喜んでくれるかなぁ?」

と輝かしい笑顔を浮かべた。
…まるで何かを誤魔化すかのように。
おれは深くは突っ込まず勇太のことを見ていた。
…勇太のことが、わからない。
優しくなったり急に怒りだしたり…辛そうな顔をしておれを見ていたり…。
勇太、お前はおれにどうして欲しいんだよ。
どうして…急にキャラを変えたんだ?
…勇太は勇太のままがいいんだぞ?
そのまま…ただ俺のそばにいてくれる、
それだけでいいんだ。
それだけで…満足なんだ。
今のおれには勇太の考えることが何一つとしてわからない。
…だがいつか─────知りたいと思った。
そう、思ってしまった。
ほっといた方がいいのかもしれない。

でも───大切な弟のことだから、助けてあげたいと強く願ってしまうんだ。

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