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6話 弟が弁当をつくりました!(…おれのじゃないのか…(泣))
しおりを挟む朝─────いつもは弟に起こされるのだが…
今日は目がさえていた。
…何か匂いがする。…こげた匂い…?
あとガチャガチャと台所の方から音がした。
パッと起き上がり台所にいくと
──────弟がかわいいエプロン姿で立っていた。
「あ~、おはよう!お兄ちゃん!」
弟はにこっと微笑みながらおれに挨拶をした。
「…おはよう。」
「なんだ、起きちゃったのか!今日はお兄ちゃんを起こさず学校にいってやろうって思ったのになぁ~。なんで起きちゃったの?」
弟は残念そうにため息をついた。うっ…危ねぇ。本気の目をしてやがる。…まぁ自分で起きれないおれが悪いんだけどさ。
「まだ朝6時じゃねぇか。…こんな朝早くから何して…」
「見てわかんない?バカだな~お兄ちゃんは!じゃ~ん!!見て!お弁当、つくってるの!!」
弟はかわいいブリッコポーズをしてテヘッとおれにお弁当を見せてきた。
お弁当…こんな朝早く起きてっ…おれのためにっ…!なんて、おれのためにつくってる訳じゃないことは考えなくてもわかる。
いつものおれの弁当は日の丸弁当だ。
ただ米がぎっしり詰まっているだけ、
真ん中に梅干しがのっている。
おかずなんて一つもない。
おれも弟も料理は親に任せっきり
だったため料理なんてできない。
(だが弟は朝飯の味噌汁と玉子焼だねつくれる。)だから───二週間おれはいつもこの日の丸弁当で我慢していた。
そして───今日弟は弁当を作っている。
「…へぇ。誰かにあげんの?」
「そう!!」
そういうと弟は顔をぐぃっとおれに近づけた。近い、近いから!
「飛鳥くんにお弁当あげるんだぁ~!!」
弟はおれにドヤ顔をしていった。
「──────へぇ。」
昨日…弟が飛鳥くんのことが好きだといっていたが…本当だったのか…と実感した。なんか…心がモヤモヤする…。
「だーかーらーお兄ちゃん!」
弟はおれの胸倉をぐぃっと掴みかかる。
ガッとおれを片手で持ち上げ弟の目の瞳が見える。目の前に弟の顔が写る。
「─────飛鳥に近づくんじゃねぇ。」
真剣な顔をしておれを見る弟。おれは呼吸が止まってしまうかと思った────だって近い。
「話すのも同じ空間に入るのも会うのも禁止だ。もしのもし二人っきりなんかになっちまったら───ヤるからな。」
「えぇ!?」
ゴゴゴっと後ろから強いオーラを感じる。なんか…怒ってる?そんなに…飛鳥くんが好きなのかよっ!!また…モヤモヤが溜まる。
「…てか、おれと飛鳥くんに接点なんかねぇし…もう話すことなんかないと思うから…大丈夫だって…。」
「話す?そんなことさせねぇよ。クソ兄貴は二度と飛鳥に話しかけんな、近づくな、二度とだ!!わかったか?あぁ!?」
ギロッと睨まれる目の瞳が冷たかった。おれの心は気持ち悪くなっていた。
…なんで、そんなおれのことを…邪魔みたいにいうんだよ。そんなに…おれが嫌いかよ。ひでぇ。
「…お前…意味わかんねぇよ。」
「あ?」
「…別に…おれ…お前と飛鳥くんの邪魔するつもりねぇし…。」
これは飛鳥くんと勇太の二人の問題で…おれには関係ない…なのになんでおれに当たるんだよ、バカ。
「うん、ならいいよ。お兄ちゃんは───何もしないでね。僕の邪魔──しないでね。」
にこっと笑ってお弁当、お弁当っといいお弁当づくりに戻る。
弟が…おれのことを好いてないことはわかる。邪魔だって思っていることも───
でも───おれは、そんなこと思ってねぇし。大切な弟だし…。
なのに─────
『お兄ちゃんは────邪魔しないでね。』
なんていわれると…やっぱ傷つく。それに…おれにはつくってくれない弁当を飛鳥くんにはつくるんだなって思うと…イライラして…。
────て、バカかおれは。
おれはモヤモヤした気持ちをなんとか消そうとして────でもどうしても消えなかったんだ。
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