告白したのは…誰?

あああ

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4話 素直じゃないやつ

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─────だが、


「…委員長って…全然素直になれねぇやつなのな…。」

あれから数日が経っても委員長はおれにあたってくる。

いつもは死ね死ねっと殺意を飛ばすところだが、

まぁ、おれを好きなのだから仕方がないと様子をみていたのだ。

なのに───

「…いつまで経ってもデレをみせねぇ!!」

ツンツンばっか!デレろよ!!

あげて落としてやるから!

委員長がヘタレすぎていたずらすらできない始末。

このままじゃ…埒があかない。

────なら、


「委員長っ!!一緒にご飯、食べない?」

おれはそういって弁当を2つ用意する。

はっ、おれから来てやったぞ?

嬉しいだろ!?しかも弁当、お前の分もあるんだぜ!?

どうだ!!


「え、いや、おれはパンを買ったからいらないな。というかなんでお前と食べなければならない?
飯が不味くなるだろう?」


───────はっ!?

なにこいつ、ツンデレ?いや、ツンツンモードなの!?

せっかくこっちが話しかけてやったのに…!!

そんなツンツンしてたら叶う恋も叶わねぇぞ!?…ほんと、損な性格してんな。

「…まぁまぁ、おまえが素直になれねぇのは、仕方がないだろうな!

だが、食べろ、一緒に。」

「…えぇ…。」

なんだ、その顔。露骨に嫌そうな顔だな…。いや、これもツンツンか!?

委員長、演技力あるな。

「はい、委員長の弁当!」
「いや、おれはパンが…」
「パンばっか食べてると体壊すぞ!
ほら、食べろ!」
「…お前、なんだ?毒でも…」
「入ってねぇよ!!」

委員長はめちゃくちゃ警戒しながらおれのつくった弁当を食べていた。

…そんな警戒しなくても、毒なんて入れねぇっつの!!

「美味しい…。」
「それはな!おれがつくったからな!」
「え、お前がつくったのか!?わざわざ?」
「あ?そうだけど…?」

普通、好きな人から作られた弁当。

普通なら───嬉しいに決まってる。

なのにっ───

「えっ…じゃあ、いらないな。」

いや、なんでだよ!!!


「なんで!?おれのつくった弁当だぞ!?食べろよ!!」
「えっ…男の手作り弁当なんて…」
「うるせぇ!くえよ!!」

そういうと委員長はしぶしぶと食べ始めた。は?なんでおれが『弁当あなたに食べてほしいです、お願いします』みたいに頼み込む感じになってんの!?

好きな子からの弁当だぞ!?喜べよ!!

「…すべて食べた。おいしかった。じゃあな。」

委員長は食べ終わるとすぐ席をはずそうとする。

「おいおいおいっ!!なんですぐおれから離れようとする!?」
「え?生徒会の書類やらないと…」
「は!?」

好きな人がそばにいるってのに生徒会の仕事!?書類だ!???


「委員長…お前…ほんと、損な性格してんなぁ。」
「意味がわからんがムカついた。」

その後おれがギャーギャー話していた委員長はいつの間にかいなくなっていた。

逃げたか…!!

て、逃げるっておかしくね!??

おれは委員長にめちゃくちゃ構った。

なのに…───

「一緒に帰ろ!」
「生徒会の仕事があるから無理だ。」


「ねぇ、委員長!」
「なんだ?」
「呼んでみただけ!」
「どこか遠く彼方へ消えてくれないか?」


なんていう風に素直じゃない。

というか、おれのこと本当に好きなの?

どう考えても嫌いだよね?

はぁっとため息をついていると親友、海知が話しかけた。

「どうした?誠也。

ため息ついて。なんか具合が悪いならいえよ。」

「…なぁ、海知。」

「ん?」

「好きな奴が───弁当つくってくれたらどう思う?」

「え?普通に嬉しいけど?」
「そうだよなぁ。ずっとそばにいたくなるよなぁ。」
「そうだな。おれだったら…なんか理由くっつけて一秒でも長くいたいって想うな。」
「…そーだよな。」


やっぱり、普通は好きな人が話しかけてくれたら嬉しいものだし、一緒に長くいたいと思うはず!なのに…

あのクソ委員長は────!!!

「ヘタレにもほどがあんだろっ…!」
「ん?なんの話?」
「いや…こっちの話…。」

はぁっ…とため息をついた瞬間…あ、いいこと思い出した!

おれはひらめいた。
ある方法を…。

おれは委員長に嫌々アプローチをした。だが、委員長はツンツンデレの性格上おれのアプローチを拒否してしまう。

きっとおれからぐいぐいいくとダメなんだ…。

委員長はおれが寝てるときに告白したのならば────…また同じ状況をつくればいい!!

おれはあははっと笑い、早速作戦を開始する。

「委員長っ~」
「なんだ?話しかけるな。空気が汚れる。」

うっわ、最初からツンツンかよ…。

「委員長…おれ、具合悪くてさ…」
「なんだ、ならそこら辺りで死んでればいいだろ。」

ほんっとガチでイラつく…。いや、我慢我慢…。

「ほんと!倒れそうなくらい!!ほんとやべぇの!!」
「そうか。よかったな。」
「だから───…保健室で休んでくるな。」

そう言葉を出すとピクッと委員長の体が動いた。ほうほう、反応したな…?

にやにやとして委員長の様子を見ていると…

「あぁ。なら行けばいい。
そして、二度と帰ってくるな。」

素っ気ない言葉で返す。…あっれ?
もっと反応ねぇのかよ。

「おれさぁ、昨日なかなか眠れなくて、もう保健室のベットだったら爆睡するかもなぁっ!
おれ、寝てたら耳元でどんなに大きな音出されても起きないんだよなぁ!」

そう、情報を流し、すぐさま保健室へ向かった。

は!これで…委員長は知ることが出来た…!おれが保健室で爆睡するということを…。

そうすれば───…きっと委員長はまた、同じように…保健室に来て告白すんだろうなぁ。

おれが好きです───ってな!!!

ざまぁ!!そう囁いた瞬間に

『きめぇ、死ね!!』

って言ってやるわ!!!

失恋、ウケるwwww

おれは保健室のベットでゲハハゲハハと笑っていた。
だが…その内本当にどんどん眠くなっていってしまう…。
あ、くそっ…寝るなっ…ここで寝たら作戦が…!
そう、思ったときには───おれは寝てしまった。

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