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運命の赤い糸
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島のはずれの森の中にある古びた館--大魔女の館で、魔女は真剣な眼差しで水晶を見つめていた。
この水晶には今、テスの人生に大きく関わる人物が映し出されている。
父親であったり母親であったりと、何人かの姿が映し出されていく中から、目的の人物を探していた。
クラスタの姫君テスと、運命の赤い糸で結ばれているであろう人物を。
「まったく……人の話を聞かないジジイどもが……今度こそしっかりと目に焼き付けてもらって……」
長老たちが勝手に別の人物……一緒に映っていた茶髪の青年ジーグをテスの相手だと勘違いしたままなので、どうにか説得を試みようとしていたのだ。
しかしタイミングがいいのか悪いのか、毎度毎度、ジーグが黒髪の青年ジャックと一緒に映り込んでしまうため、「やはりこの茶髪の青年じゃ!」と逆に信じ込んでしまってる状態だ。
「……おや?」
ようやく水晶が、それらしい人物を映し出した……のだが。
「……んん?」
魔女は驚きのあまり、椅子から勢いよく立ち上がる。
そして、水晶に顔をこれでもかというほど近づけて、水晶に映る人物を凝視した。
その水晶に映るのは、
「誰だい、この男は……?」
これまでに映し出されていた両親やジャックではない、まったく見覚えのない人物だったのだ。
長い金髪を一つにくくり、どこか冷たい目をした容姿端麗な青年。
着ている服から察するに、おそらく彼も地上の人間なのだろう。
一体、どういうことなのだろうか。
運命の赤い糸で結ばれた相手……だとすると、あの黒髪の青年は?
魔女がよく目をこらして見てみると、水晶に黒いモヤがかかっていることに気が付いた。
そこで魔女はハッとする。
この水晶が映し出すのは、なにも運命の赤い糸で結ばれた人間だけではない。
テスの人生に良くも悪くも大きく関わる人物を、映し出すのだ。
「……こやつ……もしや、姫様の身に何か災いを……?」
嫌な予感がしてならない。
このような黒いモヤは、何かよくない事の前触れかもしれない。
魔女はクラスタの国王へ報告すべく、すぐさま館を飛び出した。
島のはずれの森の中にある古びた館--大魔女の館で、魔女は真剣な眼差しで水晶を見つめていた。
この水晶には今、テスの人生に大きく関わる人物が映し出されている。
父親であったり母親であったりと、何人かの姿が映し出されていく中から、目的の人物を探していた。
クラスタの姫君テスと、運命の赤い糸で結ばれているであろう人物を。
「まったく……人の話を聞かないジジイどもが……今度こそしっかりと目に焼き付けてもらって……」
長老たちが勝手に別の人物……一緒に映っていた茶髪の青年ジーグをテスの相手だと勘違いしたままなので、どうにか説得を試みようとしていたのだ。
しかしタイミングがいいのか悪いのか、毎度毎度、ジーグが黒髪の青年ジャックと一緒に映り込んでしまうため、「やはりこの茶髪の青年じゃ!」と逆に信じ込んでしまってる状態だ。
「……おや?」
ようやく水晶が、それらしい人物を映し出した……のだが。
「……んん?」
魔女は驚きのあまり、椅子から勢いよく立ち上がる。
そして、水晶に顔をこれでもかというほど近づけて、水晶に映る人物を凝視した。
その水晶に映るのは、
「誰だい、この男は……?」
これまでに映し出されていた両親やジャックではない、まったく見覚えのない人物だったのだ。
長い金髪を一つにくくり、どこか冷たい目をした容姿端麗な青年。
着ている服から察するに、おそらく彼も地上の人間なのだろう。
一体、どういうことなのだろうか。
運命の赤い糸で結ばれた相手……だとすると、あの黒髪の青年は?
魔女がよく目をこらして見てみると、水晶に黒いモヤがかかっていることに気が付いた。
そこで魔女はハッとする。
この水晶が映し出すのは、なにも運命の赤い糸で結ばれた人間だけではない。
テスの人生に良くも悪くも大きく関わる人物を、映し出すのだ。
「……こやつ……もしや、姫様の身に何か災いを……?」
嫌な予感がしてならない。
このような黒いモヤは、何かよくない事の前触れかもしれない。
魔女はクラスタの国王へ報告すべく、すぐさま館を飛び出した。
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