25 / 60
第一章 逃走と合流
第25話 街道にて(2)
しおりを挟む
「あっ、モモ。殺すのはやめろ」
俺はモモの行動を止める。彼女はその態勢のまま俺のほうへと振り向き、不思議そうな顔をして首をかしげる。その可愛らしい大きな目には、疑問が浮かんでいるようだった。
「どうしてですか?」
軍隊にいたからか、彼女たちは人を殺すのに躊躇がない。それはそうだろう、そんな事を迷っていたら、先に殺されてしまうからだ。
下になっている山賊が苦しいのか、それとも反撃しようとしているのか、腕を少し動かす。それを見逃さずに、「動くな」と威圧するように低い声で言うと、モモは再びこちらを向いた。
「いや、下手に殺すとやっかい事になる可能性があるからな」
「ええと、相手は山賊ですよ」
モモはさも殺されて当然の輩だ、と言わんばかりに正義感丸出しで言った。
その言葉を後ろで会話を聞いていたラフランは、少し慌てたように口をはさんでくる。
「そうか、こいつらの仲間がいたらやっかいですよね」
そうか、もしあの逃げた男が仲間に合流するとして、戻ってきて仲間が生きていれば、そんなにやっきになって探しに来ない。ナイスだ、ラフラン。
俺はラフランの言葉にのっかる事にした。
「よく気がついたなラフラン。仲間が生きていれば、そんなにやっきになって探しに来ないからな。ここに縛っておいとこう」
「はい! よーし、ライム縛るぞ!」
ラフランは褒められたのが嬉しかったのか、ライムに声をかける。
「はい!」
ラフランは我先にと茂みから山賊のものと思われる荷物を探し出す。そして、その荷物の中からロープを見つけると、ライムとモモへと手渡し、三人一緒に山賊たちを縛りあげた。
「俺にも一本くれ」
「はい! 隊長」
俺の言葉にいつの間にか一人を縛りあげていたモモ。彼女はそんな返事と共に残りのロープを俺のほうへ放り投げる。
俺はそれを難なく掴むと、これも動きを体が覚えていたのか、簡単に目の前の男を縛りあげる事ができた。
「よし、これでいいだろ」
「はい!」
三人はそう答えると、それぞれ自分の荷物を抱えると村に向かって歩き出した。
「さすが隊長です。まったく思いつきませんでした」
モモは俺のとなりにくると、その可愛らしい笑顔を俺に向けると言った。
俺は「ん、そうか?」と少し照れ隠しに言うと、モモは「ええ」と答えて満足そうに前を向いて歩くのだった。
俺はモモの行動を止める。彼女はその態勢のまま俺のほうへと振り向き、不思議そうな顔をして首をかしげる。その可愛らしい大きな目には、疑問が浮かんでいるようだった。
「どうしてですか?」
軍隊にいたからか、彼女たちは人を殺すのに躊躇がない。それはそうだろう、そんな事を迷っていたら、先に殺されてしまうからだ。
下になっている山賊が苦しいのか、それとも反撃しようとしているのか、腕を少し動かす。それを見逃さずに、「動くな」と威圧するように低い声で言うと、モモは再びこちらを向いた。
「いや、下手に殺すとやっかい事になる可能性があるからな」
「ええと、相手は山賊ですよ」
モモはさも殺されて当然の輩だ、と言わんばかりに正義感丸出しで言った。
その言葉を後ろで会話を聞いていたラフランは、少し慌てたように口をはさんでくる。
「そうか、こいつらの仲間がいたらやっかいですよね」
そうか、もしあの逃げた男が仲間に合流するとして、戻ってきて仲間が生きていれば、そんなにやっきになって探しに来ない。ナイスだ、ラフラン。
俺はラフランの言葉にのっかる事にした。
「よく気がついたなラフラン。仲間が生きていれば、そんなにやっきになって探しに来ないからな。ここに縛っておいとこう」
「はい! よーし、ライム縛るぞ!」
ラフランは褒められたのが嬉しかったのか、ライムに声をかける。
「はい!」
ラフランは我先にと茂みから山賊のものと思われる荷物を探し出す。そして、その荷物の中からロープを見つけると、ライムとモモへと手渡し、三人一緒に山賊たちを縛りあげた。
「俺にも一本くれ」
「はい! 隊長」
俺の言葉にいつの間にか一人を縛りあげていたモモ。彼女はそんな返事と共に残りのロープを俺のほうへ放り投げる。
俺はそれを難なく掴むと、これも動きを体が覚えていたのか、簡単に目の前の男を縛りあげる事ができた。
「よし、これでいいだろ」
「はい!」
三人はそう答えると、それぞれ自分の荷物を抱えると村に向かって歩き出した。
「さすが隊長です。まったく思いつきませんでした」
モモは俺のとなりにくると、その可愛らしい笑顔を俺に向けると言った。
俺は「ん、そうか?」と少し照れ隠しに言うと、モモは「ええ」と答えて満足そうに前を向いて歩くのだった。
23
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中
佐藤うわ。
ファンタジー
ファンタジー架空戦記建国もの+ほのぼの日常魔法ラブコメです!!
ひょんな事から主人公は硬くなったり雷が出るだけの単純な能力を貰い銀髪三白眼少年になって異世界転生させられるが、ちょっとだけ変態の少し痛い性格になってしまう……
無限の魔力があるが魔法が使えなくなり家出した小国の王女で超絶美少女雪乃フルエレの危機を救い、一目惚れされ良いゴーレムと勘違いされ、砂緒という名前を貰って仲間になり特に目的も無いので彼女と旅をしたり魔法ロボットで戦ったりする内に自分好みの国を建国します!
砂緒はひたすら彼女を助け必死に守っていく健気な物語ですが時々浮気もします……
お気に入り支援お願いします!! 小説家になろうで重複投稿しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜
雅
ファンタジー
【HOTランキング入り!】【ファンタジーランキング入り!】
【次世代ファンタジーカップ参加】応援よろしくお願いします。
異世界転移し創造神様から【創造眼】の力を授かる主人公あさひ!
そして、あさひの精神世界には女神のような謎の美女ユヅキが現れる!
転移した先には絶世の美女ステラ!
ステラとの共同生活が始まり、ステラに惹かれながらも、強くなる為に努力するあさひ!
勇者は神眼、魔王は魔眼を持っているだと?
いずれあさひが無双するお話です。
二章後半からちょっとエッチな展開が増えます。
あさひはこれから少しずつ強くなっていきます!お楽しみください。
ざまぁはかなり後半になります。
小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しています。
二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜
北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。
この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。
※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※
カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!!
*毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。*
※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※
表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
ゆったりおじさんの魔導具作り~召喚に巻き込んどいて王国を救え? 勇者に言えよ!~
ぬこまる
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界の食堂と道具屋で働くおじさん・ヤマザキは、武装したお姫様ハニィとともに、腐敗する王国の統治をすることとなる。
ゆったり魔導具作り! 悪者をざまぁ!! 可愛い女の子たちとのラブコメ♡ でおくる痛快感動ファンタジー爆誕!!
※表紙・挿絵の画像はAI生成ツールを使用して作成したものです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる