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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む「あれ、なんだろ。めちゃでかいな?」
市ノ瀬の見上げる先へと目をやった安積は、仕舞い込まれた記憶をたどるように視線をさ迷わせる。
「えーと、なんだったかなぁ…確か平和の大塔?とかなんとか。入ったことないけど、歴史展示場的なのがあったり、仏像が展示されてたり、とかだったと思う」
「…ふーん」
「すっごく興味なさそうっ!?」
「仏像って言われると、ダイ○チがセ○ジュだった事に衝撃受けた記憶しか浮かばねぇなぁ…最早誰状態w」
「それなっwしかもあのお転婆さんがガンダーラのリーダーだもんねぇ。そもそも出てきた事事態が衝撃…じゃなくてそこっ!? いや、分からなくもないけどっww」
「突っ込み遅せぇよw」
果たして自分達意外に通じる人がどれくらい居るのだろうか?そんなコアな話題を交わしながら、興味のなさを表す様に2人は1度も立ち止まる事なく大塔を素通りしていく。
「あ、でも大塔前の広場に西洋花壇があるから、がっくんは喜ぶかもっ!!」
「あぁ、確かに。…でも」
通りすぎてきた大塔を1度振り返ると、大塔下に伸びた花壇に通じる二股の階段には、大本堂前ほどではないが沢山の人々が集まっていた。
公園入り口も近いとあって、来やすいというのもあるのだろう。
「今の学が来たいと思うかどうか…」
「だいぶお疲れだもんねw」
普段の鈴橋を鑑みれば、かなり無理をしているのは明白だ。それなりに楽しんでくれて居るようではあるが、今すぐにでも自宅に戻ってゆっくり休みたいという気持ちもあるだろう。
そんな中で、西洋花壇の為にあの人混みに突撃する気力が残って居るだろうか。いや、しかし花壇だ。花だ。あの鈴橋が意気揚々と語る数少ない物だ。
デザートは別腹的な底力を出すかもしれない。
いやしかし、今はそんな事よりー
「なぁ、安積」
「ぅん?」
「さっきから地味に気になってたんだけどさ」
「え、なに?」
その後に続いた市ノ瀬の言葉に、青ざめた表情を浮かべた安積は全集中で耳を澄ました。それは確かに、微かにだけれど確実に聞こえてくる。その音は今まさに向かっている出入口方面からのもので、確かめる為に自然と早足になりながらそちらへと向かう。
「…ここって」
「えっ、いや、でも…来た時はなかった、よね?」
眼前に現れたそれを信じられないと言った目で見上げる安積を横目に、市ノ瀬はスマホを取り出しマップ検索をかける。表示されたマップを身を寄せ腑に落ちない顔をしつつ覗き込んだ安積と2人、拡大しながら現在地を確認していく。
今向かっている出入口は、実は自分達が入って来た出入口とは違う物であり、そしてその2つの出入口は…
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