Pop Step ☆毎日投稿中☆

慰弦

文字の大きさ
上 下
950 / 1,055
- 27章 -

- 謹賀新年-

しおりを挟む


市ノ瀬が現在進行形で聞き入っているが、次の人が来れば退くだろう。

と思ったのだが、悪戯に笑ったまま退く事なくその場にとどまり、予想外に至近距離となってしまった顔に反射的に背中を仰け反らせた。


「おまっ、譲れよ人にっ!?」

「あぁ、悪い悪い。あまりにも綺麗な音だったから、つい」

「嘘つけっ!!」

「はいはい、いちゃつくなら人の居ないところでしてくださいねー」

「どっからどー見てもからかって遊んでるだけでしょコレっ!!?あっきー目ぇ悪くないっ!?」

「おかしいですね。2.0あるんですけど」

「無駄に良いなっ!?」


慌てて市ノ瀬へ苦言を申すも楽しそうに笑うだけでまるで糠に釘だ。場所をあけ渡され音を楽しもうと耳を当てるも、心臓の方が煩すぎて楽しむどころではなくなってしまった。

『もうっ、折角来たのに台無しじゃんっ!!ホントにもうっ…ホントにもうっ!!いつもいつもっ!!』

しかしこう言う所も嫌ではなく、むしろ少し嬉しいと思っている節があるのも事実で…

『だって本当に楽しそうにしてんだもんっ!質悪すぎっ!』


「いちゃついてるとこ悪いんだが」

「がっくんまでそれ言うっ!?」

「次行かないのか?」

「あっ、行く行くっ!次はねっ…!」


帰ろうと言われなかったことに内心驚きを感じつつも、美術館前の階段を駆け降り少し進んだ所で手招きをする。招かれるままに集まった一行に笑顔を向けた安積は目的地へと指を指し示した。


「あそこっ!!」

「…分かった。じゃぁ、行こう」


そこは道中の飛び石からも見えていた所で、恐らくこの後向かうだろうと鈴橋も予想はして居たのだけれど…。

『やっぱり行くよな…あそこ…』

遠くに見えている小さな建物を視界に捉え気が重くなる。でも、折角ここまで来たのだし、なんだか少し、ほんの少しだけ楽しくなってきた。

…気がする。

来た道を少し戻り、指差された建物を目指し進んでいく。道中池を見渡せる休憩場所を発見し、腰を下ろしたくなる気持ちを押さえつつひたすら進みー


「浮島到着ーー!」

「いや、島じゃねぇだろ」

浮御堂うきみどうって言うんですよ」


漸くたどり着いた一行の目の前には小さな小屋が浮かぶ様に池の上に建てられており、公園最奥とあってか人は少ない。それでも足を運ぶ人は絶えず、緩やかに入れ替わり立ち替わりしている。


「思ったよりも狭いな」

「でもこのコンパクト感落ち着くねぇー」

「ってか柵低くね?」

「落ちないで下さいね」

「…俺より安積だろ」

「なんで俺っ!?」

「そうですよ。安積より睦月の方がよく転けるんですから。気をつけてくださいよ?危なっかしい」

「えっ、意外っ!そーなの??」

「………もう良いだろ、その話題は」

「図星か」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の彼氏は義兄に犯され、奪われました。

天災
BL
 私の彼氏は、義兄に奪われました。いや、犯されもしました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

3人の弟に逆らえない

ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。 主人公:高校2年生の瑠璃 長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。 次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。 三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい? 3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。 しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか? そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。 調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

穴奴隷調教ショー

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 穴奴隷調教済の捜査官が怪しい店で見世物になって陵辱される話です。

モブ男子ですが、生徒会長の一軍イケメンに捕まったもんで

天災
BL
 モブ男子なのに…

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

処理中です...