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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む「同じような事、さっきがっくんも言ってたから」
「同じって?」
「良いことしたら神様も見てくれてるし、怒らないよ、って」
「へぇ、良い事いうじゃん。アイツも意外と優しいとこあんのな」
「ねっ!」
「…まったくもって褒められてる気はしないな。むしろ遠回しに自分アゲてるだけだろ。お上手な事だ」
「そりゃどーも。得意だからな、そーいうの」
「どうも?なに1つ褒めてないぞ。もう少し読解力つけたほうが良いんじゃないか?」
「せっかく褒めてやってんのに、可愛くねぇ奴だなぁ」
「可愛いなんて思われたくないし、褒めてるのは〝自分〟だろ」
「ま、概ねそれが正解だけどな」
「概ね?」
「主に自分を褒めてんの」
「…あぁ、そぅ。そりゃ、どーも」
「どーいたしまして」
『もうっ!素直じゃないなぁ、2人ともっ!!』
素直に褒められる事も素直に褒める事もしない鈴橋と、素直に褒められ素直に文句を言い、しかし素直じゃない遠回しな褒め方をする市ノ瀬の、似てないようで似ている2人の、一見険悪にも見える会話が繰り広げられる。
そのやり取りは、レスポンスは速いが会話は遠回りという、テンポが良いのか悪いのか分からないもので…
喧嘩になってしまわないか若干ハラハラとさせられたが、最後には、素直な礼を素直に受け取るという、謎の綺麗な着地を見せた。
良くもまぁ、こんな会話の裏を読んだような会話がぽんぽんと出来るものだ。
しかしこれはこれで、2人らしさが爆発しているようにも思え、関心を通りこし最早微笑ましくも思える。
『っと、お祈りお祈りっ!』
いつまでも1人ほっこりしている場合ではない。せっかく皆が来てくれたのだ。祈りやすいよう、鈴橋等がお膳立てもしてくれたのだ。
無下にするわけにはいかないと班乃達に少し遅れて手を合わせ、お賽銭を納められなかった事に謝罪をしつつお願い事を唱える。
『…でも、きっと神様にお願いしなくてもー』
チラリと市ノ瀬を見ると、既に祈願は済んでいた様でばっちっと目が合ってしまい気まずさにパッと反らした。
『睦月ならずっと一緒に居てくれる気がする』
根拠はないけど、不思議とそんな気にさせてくれる。いつだって隣で自信満々に笑って、大きな優しさで包み込んでくれる。
今までも、そしてこれからも。
そう思える。
自然と浮かぶ笑顔を隠すことなくお祈りを終わらせると、全員へと向き直った。
「じゃぁ、この後どうしよっか!?」
「特に用事はないですけど」
「じゃぁさ、ちょっと休憩がてら散歩しようよ!成田山公園めっちゃ良い所だよっ!」
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