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- 26章 -
- 冴ゆる星 -
しおりを挟む『でもがっくんの言ってる事は正しい…今の状況でもし病気にでもなったら…色々とまずい』
まだ2人の関係を言えていない状態でもし万一病気にでもかかったら…
保険証を使わなければバレないだろうがそれで病院にかかれるほど金銭面に余裕があるわけではないし、かといって使えば親に知れる可能性は高い。
同性と付き合っている事をカミングアウトする前に病気になってそれが原因で知られるなんて…
そんなカミングアウトのしかたをしてしまったら2人の関係も親との関係もうまく行くわけがない。
そもそも普通に付き合ってると報告した所で受け入れられるとも限らないのだから…
やはり報告出来てない今の状態であれば、鈴橋の言う通り就職して扶養を外れて1人前の大人になって、ある程度認めてもらってからじゃないと。
病気にかかると決まってる訳でもないし “ もしも ” の話で慎重になりすぎるのもどうかとは思うけれど、現段階でだって高いか低いかの問題で病気になる可能性は秘めてるのだ。
妊娠の心配はないのだからと下衆な事を言うつもりはないし、それより何より鈴橋がそうしたいと思うのならその気持ちを大切にしたい。
『慎重に、ならないと…』
すんなりと自分たちの関係を認めて貰えれば1番手っ取り早いのだが、そう簡単に行く問題ではないだろう…
「そう、だよね。確かに…」
「でも…」
「ぅん?」
「そんなに待てそうもない」
「………」
「どうしよう?」
先程の迷いがあるような表情はこのせいか。珍しく考えあぐね困り果てている様な顔で、それでも考える事は止めていない鈴橋の横顔を眺める。
「……親に言ってみる?」
「今のままじゃ難しいだろうな。俺達になにかあったら保護者が責任を問われるし、俺だって迷惑をかけるのは本意じゃない」
「そう、だよね」
「もちろん共感してもらえるような話ではないし、自分が納得出来る理由や根拠が両親に取ってもそうとは限らないから…」
「…うん」
「今すぐに両親を納得させる根拠諸々を見つけるのは難しいだろうし、少しずつ信頼を得ていかないと。自分の事は自分で責任が取れるようになれば…今よりは認めてもらいやすくなるんじゃないかって」
「たしかに…」
恋人が出来ましたと言うのは簡単かもしれない。
でも自分達は “ 普通じゃない ” 。
それに納得させるだけの材料はまだ手にしてない。
“ 好き ” と言う気持ちだけの今のままでは、子供の恋愛だと、若気の至りだと、考え足らずの一時の気の迷いだと、そう一蹴されてしまってもしょうがない。
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