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- 26章 -
※- 冴ゆる星 -※
しおりを挟む「…だからって悪化させるのはどうかと」
「それは…途中で止めるから」
「………」
「このままじゃ辛いと思って…嫌だったなら謝る」
「嫌なわけないっ、し、辛くないとも言えないけどもっ!」
「…………」
けども、だ。
『誰が好き好んで止めるものですかこんな美味しい展開っ!!』
今すぐにでもこの握り潰されるような強烈な痛みから解放されたい。それだけじゃない。好きな人が楽にしてくれると言うなら誰だって鼻血垂らしながらよろしくお願いしまーすっ!と叫びたくもなるだろう。
例に漏れず自分だって勿論。
ただ、ここが公園なんて場所じゃなければ…。
腕の中で身動きすらせず黙り込んだままの鈴橋が何を考えているのかは気になるけれど、取りあえず今は落ち着くのが最優先だ。
とは言え気持ちは落ち着いても体はと言う所で…ここまでなってしまっては1度吐き出さない限り落ち着くのはなかなかに難しい。
大人であったなら、親の比護下でないのなら、時間なんて気にせずやりようはあるのだろうが…
『やめやめっ、考えてもどうしようもない事考えるなんて時間の無駄だっ』
もっと一緒に居たい気持ちはあるけれどあまり遅くなると鈴橋の両親が心配するだろうし、正直早く楽になりたいと言う気持ちもある。
『家までのしんぼーだ………がんばろ』
そろそろ帰ろうかと抱き締める腕を緩めるとゆっくりと体が離れていき、寂しい風が2人の間に吹き込んだ。
落ち込んだように落とされた鈴橋の手を取り繋ぎ合わせてみるが、俯いたまま顔を上げる気配すらなく微動だにしない。繋いだ軽く手を軽く降ってみるがまったくの無反応だ。
「がっくん?」
「………ごめん」
「えっ、なにが?」
「ごめん、綾雪………ごめん」
問いかけにも応えず繰り返し受ける謝罪になんだか不安になる。一体何に謝っているのか…寸止め状態にしてしまったことなのか、自分の取った行動に対してなのか分からないけれど、それは別に謝る事ではない。ただタイミングが悪かっただけの事と
……鈴橋が可愛すぎたせいだ。
「ちょっと、どーしたの? なにそんなに謝ってー」
「………….止められない」
「えっ?」
「ちょっと、周り見てて」
「まっ、まわり?」
戸惑う植野に応えることなく姿勢を低くした鈴橋は植野のコートの中へと潜り太股の間へと頭を沈み込ませた。
いったい何が起こったのか。植野の理解が現状に及ぶよりも前に膨張した敏感な部分へと柔らかな物が触れる。
「ちょっ、がっ……んっ」
咄嗟に制止しようとする声はふんわりと吹き込まれた熱い吐息によってかき消され、控えめな口づけがぽつぽつと落とされていくのを感じる。
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