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- 26章 -
※- 冴ゆる星 -※
しおりを挟む『誰も来ないだろう…けど、外だし…』
2人を繋ぐ糸がプツリと千切れ、手の甲で拭いながらうつむき乱れた息を整えていく。白い息を立ち上げながら体全体で深呼吸を繰り返す、そんなどれ程求めてくれて居たのか一目瞭然の姿が愛おしくてしょうがない。
そっと手を伸ばし抱き締めると、大きく前後する背中を落ち着かせるように撫でる。それは自分自身も落ち着かせる為の行動ではあったのだけれど、耳元で聞こえる荒い息使いは少し逆効果だった。
とは言え、これ以上はー
深い呼吸が落とされると共に静寂が戻り気だるそうに首を傾かせながら見上げてくる鈴橋の表情は、苦しそうで、切なそうで、そんなどこか扇情的な視線に小さく喉がなる。
なにも言えないままに見つめ返すと、不意に伸ばされた指がつっと唇をなぞった。
「……綾雪」
「ん?」
「足りない」
「………」
もう、どうにかなってしまいそうだ。
これ以上は駄目だとずっと頭の中に響く警告に従うべきだと思いながらも、体はそれに従わない。
煽ったのが悪い。
腰に手を伸ばし逃げられないよう引き寄せ密着させると、空いているもう片方の手で後頭部を掴みしっかりと固定する。
突然の行動に驚いたように引き結んだ唇に無理矢理捩じ込み侵入させると、準備の出来ていない鈴橋の唇がそれを拒むように絡め上げた。
拒ませはしないと顎を掴み大きく開かせると、キュッと奥へと逃げた舌を逃すことなく追いかける。
しかし驚き逃げたのはほんの数秒。
直ぐに順応し応え始める動きに、強気な姿勢は混ざりあう唾液と共に飲み込まれどんどんと翻弄されていく。
「ちょっ……」
「…なに?」
「ちょっと待ってっ!」
「なんで?」
「なんでって………」
翻弄される頭を無理矢理捩じ伏せ両肩を掴み引き剥がすと不満そうに苦言を呈される。
どこまでいっても渋谷は……
波にのっても調子に乗るなってやつだ……
『いや、俺だって本当は止めたくないですって…』
「いやっ、その…これ以上はほら、場所がね、悪いって言うか…それに、ちょっと…」
「ちょっと?」
「……痛い、というか…そろそろ限界。この辺で勘弁してください」
暗くて見えないだろうけれど、そうだとしても恥ずかし過ぎて顔を付き合わせる事が出来ない。普段であれば流石にこれだけでここまでなる事はないのだが、今日は朝からずっと側で触れたいのを我慢していたから…
両手で顔を覆い隠し、深呼吸してなんとか落ち着かせようと試みる。
『…あぁもうっ、そんなまじまじ見ないでっ!』
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