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- 26章 -

- Merry Christmas -

確かに最初から無理だと決めつけるのは良くない事ではあるけれど、無理なものは無理だ。


「お兄ちゃん！これ良い？？」

「良いよ。綺麗なのいっぱい選んだな。華やかになりそうで良いじゃないか」

「うん！いっぱいキラキラさせるっ！！」


両手いっぱいに折り紙やらを抱え走り寄ってきた妹に腰を屈めてかごを差し出し、変哲のないただのかごがお楽しみ箱のような心踊る物へと豹変する。

つい先程まで苛立ったような表情を浮かべていたのにも関わらず、即座に優しい笑みを浮かべる切り替えの早さや子供に対する心使いに、感心と愛念の情が深く深く突き刺さっていく。

『やっぱり困るななんて、無理だよねぇー…』

意思の齟齬で意向までもがすれ違ってしまうのはなかなかに悲しい。訂正する間もないまま仲良く妹の手を引きレジへと歩いていく後ろを追いかけながら、訂正の言葉を探していく。


「TPOってあるじゃん？」


妹が楽しそうに話す飾りつけの話を相槌と共に聞きながらも、何の脈絡もないような植野の言葉にチラリと視線を投げる鈴橋だったがそれは直ぐ様反らされてしまう。
それでも耳は傾けてくれているだろうと言葉を繋げていく。


「俺達はまだ子供だけど、それを鑑みなくても許される程子供じゃないじゃない？」


一歩また一歩と進む列に遅れない様に足を進めながら、返答はなくても微かにこちらに向けられた耳になんだか安心する。


「でもさ、好きな子に2人きりになりたいなんて言われちゃったらさ」

「そんな言い方してない」

「まぁまぁ w」


眉間にシワを寄せ遮るように発せられた否定的な言葉も、意識的に反らされていたはずの視線が思わずと言った感じで向けられた事に、なんだか “ してやったり ” な気分になる。
少し性格悪いかなとも思うけれど、別に狙った訳ではないしと気を取り直し誤解を紐解く為にと更に言葉を繋げていく。


「でさ、大好きな子にそんな事言われちゃったらさ、それがどこであっても手繋ぎたいなぁ、とか、ぎゅってしたいなぁー、可愛い好きすぎるどーしよー！とかさ、思っちゃうじゃない。でもやっぱり我慢しなきゃだから、そりゃ困っちゃうよねぇ」

「……」

「俺だけ？」

「…否定は、しきれないな。ごめん」

「いや、いいいい！この間の事言ってるなら全然良い！むしろありがとうございましたっ！」

「………」


確かに好意を向ける相手の言動に自制が効かなくなってしまう時はある。我慢出来ず、それ故に取ってしまった一昨日の行動が瞬時に思い出された鈴橋は意思の弱さに頭が痛くなると同時に、けして誉められた事ではなかった自身の行動に反省の念が押し寄せる。