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- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟む一連の流れを知る店員から離れることで少しずつ頭も冷え冷静になってくる。
突拍子もない鈴橋の言葉に困惑し頭の回転も止まってしまっていた植野だったが、冷静になった今改めて考えると時間を早めてまで2人で買い物に来たその理由が店員との会話の中で明らかになっていた事に気がついた。
それは他の誰でもなく、植野へのプレゼントを買う為だったと言う事で、更にはー
『…口、出さなくて良かった。本当に良かった』
そのおかげで起こった偶然に心が踊る。
自分を全力で誉めてあげたいくらいだ。
「がっくんありがとうっ!!なんか色々吃驚したけど思わぬサプライズ嬉しかったーって、どうしたのがっくんっ!?」
「………ぃや、ちょっと」
『えっ、あれっ!?ついさっきまで普通に歩いてたよねっ…!?』
隣を見ると近くの手摺に手を掛けた鈴橋が盛大なため息と共に項垂れていた。
突然なにが彼をこうさせたのか。
もしかして具合でも悪かったのだろうか?
背中に手を起き覗き込んだその顔は心なしか青ざめている気がする。
「大丈夫っ!? 具合悪い!? どっかで少し休む?」
「いや、大丈夫。そうじゃない。……ただ」
「ただ?」
「……少し、冷静じゃなかったと、思って」
「…え?」
『冷静じゃなかった??って、どこが??』
ずっと通常運転な顔してその口から発せられる数々の言葉にずっと冷静じゃなかったのは自分の方だ。
…あとレジの店員さん。
それなのに、いったいなにを言い出すんだろう。
鈴橋が冷静じゃなかったというなら自分とあの店員さんはもう暴走モードだったと言えるのではないだろうか?
「…がっくんはいつも通りだったと思うけど」
「…本当はあんな事言うつもりはなかったんだ」
「あんな事?」
『どれの事??』
彼女じゃなくて彼氏発言か、公言するようなあの言葉の事か、あるいはそのどちらもか?分かりかねていると顔色の悪い目が自分を捉えた。
「綾雪が彼氏だって、捉えられかねないような事」
「あぁ、そっち…確かにあれは驚いたなぁ。ってか自覚あったんだ?w」
「…悪かった」
「なにが?」
「殆んど来ないデパートの店員に彼氏が居るって事を隠す必要はないと思ったんだ。でもお前がそうだって思われる事は言うべきじゃなかった…悪かったな。巻き込んで」
「そんな、巻き込むなんてー」
「少し…浮かれてた。ごめん」
『……浮かれてた?がっくんが?』
頭に手をやり酷く落ち込んでいる所申し訳ないのだけれど……
「…なに笑ってんだよ?」
「いやごめん。ちょっと、嬉しくて」
「はぁ?」
「だってさ。家族や俺と一緒に過ごすクリスマスにテンションあがってたって事でしょ?それだけ楽しみにしてくれてたって事でしょ?そんなん、もう嬉しいしかないって」
「それは……そうだけど。でもだからって…」
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