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- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟む『いやいや、でももしかしたらその誰かはっ』
「どうかしたか?」
「あっ、ご、ごめんっ、なんでもないっ!!」
ついつい考え込み立ち止まると、少し前を歩いていた鈴橋が振り返り心配そうに植野を見つめた。
『やめだやめだ!こんな日にぐだぐだ変な事悩んでもやもやするなんて良くないっ!』
無理矢理頭を切り替え時計を見ると間もなく昼時だ。となればー
『買い物終わったらご飯食べ行こっ!!ごはんごはんっ!!がっくんとごはんっ!!』
鈴橋と2人きりというだけで曇った気持ちが晴れてしまう自分の単純さに少し笑えてくるけれど、なかなか2人きりの時間が取れない恋人との貴重な時間ともなれば誰だってそうなるだろう。
「ねぇがっくんっ!買い物終わったらご飯行こうよっ!良い時間だし!」
「もうそんな時間か。そうだな。丁度腹もすいたし」
「やったっ!!」
笑顔で隣に並び肩に触れると不安げに結ばれていた鈴橋の口角が優しげに上げられる。その笑みや身長差で伏せ目がちに見える目、その目を恥ずかしげに隠す緩やかに伸びた睫もすごくすごく綺麗だ。
『まぁ、どんながっくんだってそう見えるんだろうけど』
レジへと並び会計を済ませる鈴橋の隣で何を食べに行こうかと頭を働かせる。やはり和食だろうか?このデパートに来ることはあまりないのでどんな店があるか把握はしきれていない。
『マップを見て決めるか…』
もしくは店内をまわりつつ決めるのも良いかもしれない。なんかデートみたいで…
『って、デートってっ!!』
最早お昼ごはんデートで頭をいっぱいにしてる植野の事など気にも止めずに、会計をしつつ鈴橋が包装を申し出る。
「かしこまりました。包装紙はどちらに致しましょう?」
「こっちで」
「リボンはいかがいたしますか? 彼女様にでしたらこの辺りのお色などー」
「いえ、彼氏です」
「…………えっ」
「…………へっ!?」
サラリと言ったその言葉の強烈さと言ったら。
そのあまりのパワーワードに一直線にお昼ごはんに向かっていた植野の思考が一気に鈴橋へと引き戻された。
『なっ、なんて!?今何て言ったのっ!?』
「なにか?」
「あっ、いえっ、もっ、申し訳ございませんっ!ではそのっ、この辺りのお色などいかがでしょうか?」
『店員さんもキョドっちゃってんじゃんっ!!ってかなにその平常心っ!?』
戸惑う2人の視線などお構いなしに鈴橋は顎に手を当て差し出されたリボンのサンプルを眺めている。
何かを疑っているように植野と鈴橋をチラチラと見比べる店員の視線に鈴橋以外の気まずさがどんどんと上昇していく。
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