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- 26章 -
※ー 聖誕祭 ー※
しおりを挟む心頭滅却し成されるがまま身を任せていると次第に落ち着きを取り戻し再び眠気が舞い降りてくる。しかしここで寝てしまうのはなんだか勿体ない気がして落ちる目蓋を名残惜しくこじ開けた。
「ありがと睦月。少し楽になった気がする」
「そ。それは良かった。じゃぁ次はー」
『次?』
「ーー んぁッ //」
「……………」
「っーー!ぃやっ…!」
「……お前」
「ちがっ…!違うっ、今のは違うっ!!」
“次は”の言葉が放たれたかと思うと突如腰から移動した市ノ瀬の手が臀部を包み込み、反射的に漏れ出した声を全力で否定する。
市ノ瀬は純粋に労いマッサージをしてくれているだけで他意などない。分かってる。分かってるのだけどっ…!
「今のはそのっ!急だったから驚いただけでっ!」
『最悪だっ、最低だ!!あり得ないっ…あり得ないっっ!!』
気使って親切心でしてくれている相手にこんな反応を返してしまうなんて。
『っていうか、それもあるけど普通に恥ずかしいっ』
朝からなに考えてんだって引かれたかもしれない。
しかしそんな安積の反応に市ノ瀬がそれ以上突っ込む事はなく、何事もなかったかのように再び動き出した手が優しく円を描き傷んだ筋肉を揉みほぐしていく。
腰と同様マッサージを続け、一通り終えると今度は片足が持ち上げられた。そして市ノ瀬の肩へ乗せられたかと思うと膝に添えられた両手がスルスルと内転筋へと移動していく。
『他意ないっ、他意ないっ、他意ないっっ!!』
なにか言って欲しい気持ちはあったけれど、あえて流す大人の対応をしてくれたのかもと思うとそれはそれでありがたい。
しばらく続いたそれも終わりを知らせるように軽く2回叩かれ、両手が肩甲骨へと移動しギュッと抱き締められる。
嬉しいような名残惜しいような、何事もなく終ったことにホッとしたような、悲しいような。
複雑な心情を押し込めて同じく両手を回し返した。
「あのっ……あり、がと」
「…どういたしまして」
それでも抱き締め合う優しい温もりに、邪心は徐々に姿を消していき、穏やかな時間がー
穏やかな時間が………
「……あっ、あの、むつき??」
「ぅん?」
「うんっ?……じゃなくてっ」
回された腕がゆっくりと離れ、その指先が背骨に這うようにぽこぽこと波打ちながらゆっくりと降下していく。
「えっと……」
背骨に沿って這う指が尾骨を乗り越えそのまま止まることなくスルスルと突き進むと、反射的に力を込めた隙間へと遠慮なく押し入りー
「ちょっ、ちょっとむっー」
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