823 / 1,055
- 26章 -
- それは白く輝く -
しおりを挟む「それはないだろ。昨日もめちゃくちゃ落ち込んでる感じでもなかったし、今日だって後ろ向きな話じゃないって明自身も言ってたし」
「そー…かな?」
「そうだろ」
「そっか。そうだよな。お前に言われるとなんかホッとするわ」
「そりゃ良かった」
小さく息を吐きだし力なく笑った安積の膝を叩くと、頭に思い浮かぶのはやはり班乃の事だ。
自分だったら班乃のように祝ってくれる誰かの気持ちを受けとる事も、墓の前で穏やかに笑って話す事も、指輪を投げ捨てた誰かを許す事だって絶対に出来ないと思う。
『凄いな…あいつは』
班乃自身の強さも勿論、話を聞く限り安積があの場所に行ったのは2回目のようだ。きっと安積の力も大きかったに違いない。
指輪を投げ捨てた時物凄い剣幕で安積が殴りかかってきたのもその時には班乃の事情を知っていたからなのだろう。
今日班乃が居なくなったと聞いた時、青ざめた顔で必死に探し見つけ出した時、その他常日頃の安積を見ていても分かる。冬の寒い時期に川へ浸かりながら遅くまで探し続けるなんて荒業だってやってのけるのだ。
安積が全身全霊で班乃の支えになりたいと思い、そしてなっていただろう事は。
『そんなの、好きになるよな…』
疲れきった様子でぼんやりとしている安積に目をやり何度めかの溜め息をつく。今日を予定どおりに祝えなかったのは残念だけれどとても攻める気になんてなれない。
「少し寝てれば? 駅着いたら起こすし」
「でも…」
「大丈夫。眠くねぇから降り過ごさないって」
「や、そうじゃなくて…」
「なんだよ?」
「だって……今日は、お前とー…」
「………」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる