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- 26章 -
- 貴方に送る祝福と -
しおりを挟む「いや、なんかね、なにを伝えたいかって考えたら、やっぱりありがとうかなぁって」
「ありがとう…ですか」
「そうっ!! 」
チラリと目を合わせてから再び向けられた2人の不思議そうな視線に少しの気まずさを感じつつも意を決して口を開く。
「俺さっ!あっきーに会えた事すっごく感謝してるんだよねっ!静創学園に聖が通ってたって知って、会えなくても良いから少しでも近づきたいっていうか…本当その勢いだけで転校してきたからさ。結構緊張してたんだよね」
「…あれで?」
「あれ?」
「あれでって言わないでよw」
私の為に争うのは止めてと叫びながら登場し、人見知りなシャイボーイと事実とはまったく異なる自己紹介をした
『あれで??』
当時の事を知らない市ノ瀬が興味ありげな顔をしているが、安積と言えど少し恥ずかしいのか。その視線には綺麗なスルーを決め話を進めた。
「初めて声かけてくれた時さ。物腰柔らかいしめっちゃ優しそうな人だなぁって、すっごく安心したんだよね!学校案内してくれて綾とがっくんに会わせてくれて、部活決めるのも色々気を使ってくれてさ。その他もいっぱい!喘息の事も心配して本気で怒ってくれて凄く嬉しかったし、いつも何気なくフォローしてくれるからめちゃくちゃ助かってる!」
「いえ…そんな」
「あとっ!一緒にご飯食べ行ったりてきとーにその辺ぶらぶらしたりするのも楽しいし、公園で練習したのも良い思い出だし、演劇部会議もお泊まり練習もめっちゃ楽しい!あとっー」
「……止まんねぇな」
「ぁはは………」
指折りあれもこれもと喋り続ける安積の誉め殺しに照れ臭さいやら居たたまれないやら。片手で顔を覆い隠した班乃がもう片方の手を差し出してストップをかけた。
「ぁあのっ、分かりましたから…もう、十分ですから…。その、ありがとうございます」
「えぇー…まだまだあるんだけど」
「愛されてんなぁあっきー。良かったじゃん」
言い足りなさを全面に醸し出す安積と目も合わせられず数々の感謝の言葉に珍しく赤面し狼狽する班乃の姿に茶々を居れるのは野暮な気がして、取りあえず素直に良かったねと言った市ノ瀬の気遣いはー
「…で、オチは?」
「おち? あっ、オチ! そう、だから何が言いたいかって言うとね、今までずっと一緒に居てくれてありがとう!ずっと親友で居てくれてありがとう!おっきな怪我とか病気とかもしないで無事に誕生日を迎えてくれて、そんなおめでたい日を俺達と居る事を選んでくれてありがとう!」
「………」
「で、欲を言えば…これからも一緒にいてくれたら、もっとありがとう!」
「…お前、上げて上げて絶妙に落とすよな」
「えっ、なんでっ!?」
「…いえ、気にしないでください」
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